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第9章 ネシアのダンジョン編
なんか……全然違うね?
1階層では初めて知る事実で相当ショックを受けてしまって全然戦闘的には使い物にはならなかったけど、2階層からは気持ちを切り替えていかないと流石に戦闘能力の高いメンバーが多いとはいえ、危険だよね!
俺は気を引き締めるために両手で頬を叩き、意識を切り替える。……よし、行くぞ!
俺は先頭の方で戦いを引き受けているメンバーのそばに向かった。
「おっ?話は終わったのか?」
リッキーは俺にそう聞いてきた。
そっか、戦闘をして守ってくれていた皆にはあまり聞こえてなかったようだ。
「ああ……話は終わったが、かなりショックを受けちゃったよ。」
「……まぁ、俺は前もって聞かされていたようなものだからなぁ……。『あの人』、お前の事『大切な魂』って言っていたし、何が何でも守りたいんじゃないか?」
「……。」
リッキーは俺にそんな事を言って苦笑いをしている。
……俺、その人が誰かも分からないんだけど?
俺は困惑しながらも、まぁユーリと長くいられるのはいい事だと思うことにして気にしない事にした。
「おっ?また来たぞ!」
リッキーは周りにいた仲間に大体どのくらいで敵とエンカウントするまでの時間と位置を叫んだ。
俺もそれを聞いて武器を取り出しておく。
そして予想通りに敵が来たんだが……量が多くない?
なんだか1階層より2階層のほうが敵の量が多いような気がするんだけど……?
俺はちょっと疑問に思ったが、やって来たウルフ系の魔物を次々と切り捨てていく。
そうでもないと悠馬を守れないからだ。
……これはやっぱり前もって悠馬には結界を張っておくかな。
俺はリッキーから借りた剣を使ってなんとか頑張っている悠馬の側へ行き、周りの魔物を一掃すると、向かっている間に構築しておいた結界魔法を悠馬に展開して張った。
「今、何したの、シエルにぃに?」
「いやな、なんか魔物の量が増えている気がするから、お前を守らために結界を張ったんだよ。これで敵からの攻撃はお前に当たらないから安心しろよ。」
悠馬は俺の言葉に少しホッとした顔をした。
やはり平和な日本ではこんな風に『戦う』なんていうのはゲームでしか無かっただろうに、平気そうに見えても「怪我をしたり、死ぬこともある」という現実は、心に負担になっていたのだろう。
それからも何度か魔物の襲撃はあったが、さすがにこの人数、強さなので問題はなかった。
少し心配していたヒューザやクーガーも、最初は討伐することに抵抗があったようだが、今ではかなり慣れたようで良い戦力になってくれている。
「それにしてもこのダンジョン、『ロック』よりもかなり魔物の数が多くないか?」
リッキーが魔物と戦いながら、そう疑問を投げかける。
そうだよね、俺もそう思った。
今のところは戦力的に問題は無いんだけど……だけどまだ2階層なんだよね。
ボス部屋まであと3階層もあるのに、今でこんな状態だとどうなるのかとても不安だ。
「……俺が来た時はこんなじゃなかったんだけどなぁ?」
パニアさんも戦いながら首を傾げる。
「ところでよぉ……っと!あっぶねぇなぁ!急に来んじゃねえよ……っと!」
ヒューザが話しかけようとしたところで、左脇から魔物が襲ってきて、ぶつぶつ言いながらも危なげなく対処している。流石、大会チャンピョン常連だ。
「で、ダンジョンって初めて来たんだが、こんなにも他の冒険者がいないものなのか?」
襲ってきた魔物がみんな討伐されてドロップ品を拾っている時、ヒューザが先ほど言おうと思った事を話してきた。
なるほど、確かに誰も居ない。
そう、『誰も居ない』のだ。
このダンジョン、まだ2階層だからなのか分からないが、俺達と魔物しか今のところいない。
この先ももしかしたら……と考えると、とても不気味だ。
どうしてこんなにも魔物が出現するのか、どうして誰もこのダンジョンにいないのか。
俺はそう考えた時、ふとこの前の『ロック』で起こった『変換期』を思い出した。
だがあの時はまだたくさんの冒険者がいたんだよね。
それにもし『変換期』なら、放置していたら魔物が外に溢れ出てくるほどの状態になると聞いたが……ここはそこまでの状態じゃない。
もう落ち着いた時期なんだろうか?
どうにも不安が拭えないが、とりあえず目の前の3階層への階段を降りて進むことに。
降りた先も似たような通路で、全然変わり映えがしない。まぁ、それは『ロック』も同じだったが。
降りてしばらく経った頃、とりあえず敵がいない間に袋小路で結界を張って昼食を取ることになった。
俺はみんなが結界に入ったことを確認し、地面にも結界の膜を張る念の入りようでしっかりと敵の侵入がないようにする。
食事や睡眠といった大事な時はしっかりとしないとね!
「それにしてもシエルの結界魔法、なんで便利なんだろうな。おかげでこんなにものんびりと食べられるよ。」
パニアさんは宿からもらったお弁当を食べながら、そんな事を言っている。
みんなもそれに同意なのか頷いているので、助かっているのかな?
「そういえばさっき倒した魔物だが、1、2階層とは違って巨大な虫だったな。数は相変わらず多いけど。」
クーガーが久々に自発的に話したと思ったら、そんな事を言っている。
まぁ確かに魔物の種類は変わったよね。
昆虫系が出てくるようになったからか、地上だけじゃなく横の壁や天井からも気にしなければならなくなったので、結構精神が擦り減っている。
「まぁ、1つの階層が『ロック』よりも格段に小さいから、そこまで走って移動しなくてもサクサク行けるのは助かるけどな。……そういえばこのダンジョンって『最古のダンジョン』って聞いているんだが、何階層まであるんだろうな?」
スコットさんがパニアさんにそう聞いた。
パニアさんは少し考えた後に「よく分からないな」と答える。
「実はこのダンジョン、まだ誰も踏破したって聞いたことないんだよな。失敗したなぁ……ここに入るんならネシアの冒険者ギルドで色々話を聞いてくるんだった。うっかりしていたよ。」
「すまなかった。前もって俺達も知らせるか、もしくは俺達がよく話を聞いてくれば良かったな。そこは申し訳なかった。」
「いや、しょうがないだろ、お前達もかなり色々あって余裕なかったんだろうしな。……ところで、今夏休みって聞いたが、休み明けはまた学校に戻るのか?」
「……学校?」
パニアさんとスコットさんの会話に、クーガーが入ってきた。
「そう、学校。こいつら、クレイン国の王都にある学校に行ってんだってよ。シエルが学生で、スコット、リッキー、エミリー、リリーが臨時講師なんだとよ。まぁ4人ともその道ではエキスパートらしいから、学生にも良い影響を与えていたらしく、夏休み前で終了する予定だったのを引き留められたんだとさ。」
2人が答える前に、ヒューザがクーガーに答えた。
それに興味津々なのはクーガーではなく、4属性竜の長達だ。
「ほんまでっか?それはえらい楽しそうでんなぁ。私らも少しだけでも行けるとええなぁ……?」
グリーさんがそんな事を言ってチラッとスコットさんを見る。
いや、みんな普通じゃないんだから無理だって。
それに俺たちと違って正体を明かすわけにはいかないんだから、どうやって学校に行くのさ?
「でもさ、僕は学校に通ってないんだから来てもしょうがなくない?」
「えっ、ユーリ様は通ってないんでっか!?」
「うん、僕は通ってないよ。にぃにのあの腕輪の中にいるんだよ。」
ユーリのその言葉に、初めて存在に気づいた4人。
首を傾げて「そういえば鞄はどないしたんです?」とグリーさんが聞いたので、この腕輪がそうだと答えた。
「……何でもありだな、お前。」
呆れた顔でクーガーがそう言って俺を見る、
……それ、自覚はあるよ?
それからしばらく雑談をしてゆっくりと過ごしてからボス部屋のある5階層の休憩所へと向かう。
今夜はそこで過ごす予定だ。
さあ、あともう一息。頑張りますか!
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