異世界漫遊記 〜異世界に来たので仲間と楽しく、美味しく世界を旅します〜

カイ

文字の大きさ
407 / 526
第9章 ネシアのダンジョン編

15階層のフロアボス

しおりを挟む
翌朝、早めに寝たこともあって、かなり気分爽快で起きることができた。やっぱりお風呂サイコーだね!

昨夜はお風呂入った後に用意しておいた夕飯をみんな揃って食べ、子供組の俺とユーリは早々にベッドに向かった。

大人組の皆はそれから少しだけ飲むとのことで、俺は寝る前につまみになるような物を2品ほど作って出しておいたよ。

お酒はスコットさん達の自前で飲んでちょうだい!



今朝は本当に寝起きが良かったので、誰よりも早く起きたらしい。……いや、大人組は飲み過ぎか?

多分飲み過ぎだろうと予測をつけて、今朝は胃に優しい鶏ガラ出汁で作った雑炊にしようかな!

材料はこの前山田に頼んで買っておいてもらった鶏ひざ軟骨のパックと鶏もも肉、長ネギ、玉子、中華の鶏ガラだし顆粒、塩、料理酒、生姜チューブ、そしてご飯だ。

とりあえず時間がかかるので鍋に鶏ひざ軟骨と水を入れて茹で、そこに臭み取りの料理酒を入れる。

アクを丁寧に取り除きながら、その合間に鶏もも肉を一口大に切り、長ネギは細い斜め切りにする。

ある程度鍋の水が少なくなってきたら、水を足しつつ鶏もも肉と改めて料理酒を少し入れ、火が通ってきたら長ネギと適量より少し多めの鶏ガラだし顆粒を入れて味をみる。

味が薄かったら塩で調え、そこに洗っておいたご飯を投入。

そこに溶き卵を回しかけて少しほぐすように混ぜ、味をみて適宜塩や生姜を少量加えて調えれば完成だ。

胃にも優しくてもボリュームを感じる一品になっている。

俺が朝食を作り終えた頃、ようやくみんなが起き出してきた。おはよう、みんな!

「……今日は元気だなぁ、シエルは。」

起き出してきたリッキーはそう言ってまたあくびをした。……起きたんじゃないの?

リッキー以外のメンバーはそんなに飲まなかったのかとても元気なようで、俺が作った寸胴鍋いっぱいの雑炊を見て「いい匂いだ!腹減ったよ!」と言っている。

まだ作りたてで熱々なので、早速みんなに盛ってあげる。今日は各自取りに来てもらう配給スタイルだ。

みんな席についていただきますをすると、早速パクリ!うん、少量だったけど生姜が効いているからなんだか身体がポカポカしてくる感じだね。

「やっぱり飲んだ翌日はあっさりとした物が食いたくなるよな!」

「……まぁな。だがお前、魔道具が浄化できないほど飲まなければ良かったのに。今日はボス戦だぞ?」

スコットさんはリッキーの話に同意はしつつも、呆れた声でそう言った。

そう言われたリッキーは頭を軽く掻きながら「流石にもうしねぇよ」と苦笑いをする。

「パニアはこのフロアのボスは何なのか知ってるのか?」

スコットさんが食べながらパニアさんに聞く。

聞かれたパニアさんは首を横に振り、「以前とは出てくる魔物が違っているら参考にならないぞ」と返した。

「でもまぁ参考程度にするというなら言うけど、このフロアのボスは巨大な熊が出てきていた。たが、このフロアまで来る間の昆虫ゾーンでさえも本来は虫じゃなくて狼とかの魔物が出てくるはずだったんだが、それも変わっている。だからこのフロアのボスも今までとは全く違うんじゃないか、っていうのが俺の意見だ。」

……なるほど、11~14階層の出現する魔物からして、以前とは違っていたんだね。

でも森にいそうな魔物が出てきていたという共通点が以前の魔物にはあったのなら、今回の11~14階層に昆虫が出てきていたということは、ボスも昆虫なのかもしれない。

……まぁ、これも単なる予想だけどね。



そんな話をしながら食事をとった後、綺麗にお片付けをして休憩所を出発する準備を整える。

この際だから10階層の休憩所と同じように、休憩所に張った結界は今後のためにも張ったままにしておく。

これなら夜といわずに1日中結界が張ってあるから、ここにさえ入れば安心できる『セーフティルーム』となってくれるだろう。

……そうだ、それならここには『万が一』の時のために外へと連絡のできる装置が置けないものだろうか?

俺はそう思って魔石を2個取り出し。それぞれにリンクするように魔法をこめる。

こめる魔法は『片方を起動するともう片方も起動し、言葉を届ける』という魔法だ。

初めて作ってみた魔法だが、上手くいったかどうかの作動確認はする暇が無いので、そのまま休憩所の中央に台座を作ってその上に置いておく。



それから俺達は休憩所を出発して、一路ボス部屋へ。

パニアさんの案内と俺とリッキーの索敵魔法により、森の中を迷うことなくボス部屋に辿り着けた。

ボス部屋は休憩所と同じく開けた広場にあった。

その広場は周りを森に囲まれてはいるが、上空まで木々で覆われているわけでは無いので閉塞感はない。

そのボス部屋だが……正確に言うと、『部屋』というものはない。

その広場の中央に、2メートルくらいの高さの塀があるだけだ。屋根はない。

とりあえず俺達は塀の所にある扉を開く。

中を覗くとまだ何もなく、ただがらんとしているだけだ。

ここも他のボス部屋と同じく、中に全員が入って扉を閉めるとボスが出現するタイプなのだろう。

そして案の定、皆が中に入ると中央に光が出てきた。

今回の光は上にも横にも広がり、巨大な光の球へとなって弾けた。

その一瞬の眩しさに目を瞑り、そして目を開くと目の前には変わった魔物がいた。


なんていうんだろう……蜘蛛の胴体に、その頭の部分から女性の身体が生えている?

そんな表現しかできないが、まさにそんな感じだ。

ただ、女性の部分はきちんと服を着ており、まるで冒険者のような服を着ている。

その女性を見ると、彼女は生きているのか死んでいるのか分からないような虚ろな目をし、焦点も合っていないようだ。

……なんにせよ、人っぽい魔物と対するのはオーク以来なので、これはとても戦いづらそうだ。

とりあえず向こうから来る様子がないと思ったその時、突然リッキーが叫んだ。

「おいっ!あの魔物、魔物と人の『合成』で出来てるぞ!」

この部屋に入ってからずっとその魔物を見ていたリッキーが、そんな事を言う。

ならばそれは『見た目だけじゃない』ってことだ。

まだリッキーの能力を知らない獣人3人組は苦笑いをしているが、その他のメンバーは驚いた顔でその魔物を見ている。

そりゃそうだろう、確かに見た目からして『蜘蛛と人の合成』だ。

だがそれが『1つの体じゃない』となれば、話は別だ。

「どういう事だ?」

スコットさんがリッキーにそう問いかける。

多分頭では分かっているのだろう。だが信じたくないのだ。

そんなスコットさん以外にも聞こえる声で、はっきりとリッキーは答えた。

「あの魔物、本体はあの蜘蛛だ。上の女性は取り込まれているのか、蜘蛛の身体に合成されている。女性の辛うじて残っている意識が、『助けて』と言っているんだ。」



それを聞いた俺は、一気に怒りが沸点に達した。

間違いなくこれをやったのは、このダンジョンのダンジョンマスターだ。

そいつは一体、冒険者をなんだと思っているのか?

自分のおもちゃ?それとも自分の栄養源?

なんにせよ、『人の命』を軽んじているのが許せない。

俺は怒りに身を任せつつ、頭の芯は冷静に魔力を紡ぐ。

この魔物に囚われた哀れな女性を救うために、どうすれば救えるのか考える。

そして1つの魔法が完成すると、それを魔物へと撃ち込んだ。

その魔法は蜘蛛の身体にぶち当たると一気に広がり、一瞬で蜘蛛の部分を消し去った。

俺は魔法を打ち出した後、蜘蛛に魔法が当たる前に蜘蛛に向かって走り出しており、到着した時はちょうど蜘蛛の部分が消え去って女性の身体だけになっていた。

地面に横たわっているその女性は俺の予想通り、蜘蛛にくっついていた部分から下が、無い。

まだ辛うじて息をしているので、俺はすぐに彼女に神聖魔法の回復魔法をかけ続ける。

すると徐々に消え去っていた部分が再生し始めた。

……良かった、間に合ったんだね。


俺は安堵のため息をつき、回復魔法をかけつつ周りを見る。

するとスノーホワイトのメンバーと4属性竜の長達はすぐにこちらへとやってきたようだ。

獣人3人組はまだ驚いた顔で、その場で固まっている。

やはり俺との付き合いが長い人はすぐに動き出せるようだ。……びっくりさせてごめんね?



「……その女性、助かったのか?」

こちらへとやってきたスコットさんが、俺にそう聞いた。

俺は頷き、「多分大丈夫だと思う」と答える。

現在、まだ腿から下を再生中だからだ。

もちろん下半身には布をかけておいてあるから、そのまま再生しても安心だよ!


1度魔物に取り込まれてしまい体の組成が少し変わり始めていたので、それを元に戻しつつの再生だから時間がかかるのだ。



その再生が完了してホッとした頃、突如その場に拍手が鳴り響く。

みんな驚き、一斉にそちらを振り向いた。

「いやぁ~、お見事!流石『勇者』だねぇ?」

そこにいたのは俺と同じくらいか、もしくは少し上に見える男の子だ。……一体、誰だ?

俺たちが訝しそうな顔で見ていると、その子はさらに言う。

「これまでの『余興』は楽しんでもらえたかな?」

その子は口元だけをニヤリとした、冷たい目で俺たちの方を見ている。

「初めまして、『勇者』殿。僕が、このダンジョンのダンジョンマスターをしている者だよ。よろしくね?」

彼はそう1言言うと、一瞬で俺のそばまでやってきた。

俺は咄嗟に、そばにいるみんなに結界を張る。

次の瞬間、彼は俺の胸へとその鋭い爪を持った手を伸ばす。


だが、それは届かない。

『例の人』からもらった魔道具が、その鋭い爪から守ってくれたのだ。

「チッ!結界か!」

ダンジョンマスターは一旦距離を取ると、苦々しげにこちらを見ている。

今のうちに俺は仲間への結界をもう1枚張る。

これでみんなも安全だ。

「まさか結界を張っていたとは思わなかった。これじゃあ君には手出しできないね。」

ダンジョンマスターは肩をすくめてそう言った。

一体、彼は何の為に目の前へと現れたのだろうか……?
しおりを挟む
感想 30

あなたにおすすめの小説

転生無双なんて大層なこと、できるわけないでしょう! 公爵令息が家族、友達、精霊と送る仲良しスローライフ

幸運寺大大吉丸◎ 書籍発売中
ファンタジー
アルファポリス様より書籍化! 転生したラインハルトはその際に超説明が適当な女神から、訳も分からず、チートスキルをもらう。 どこに転生するか、どんなスキルを貰ったのか、どんな身分に転生したのか全てを分からず転生したラインハルトが平和な?日常生活を送る話。 - カクヨム様にて、週間総合ランキングにランクインしました! - アルファポリス様にて、人気ランキング、HOTランキングにランクインしました! - この話はフィクションです。

底辺から始まった俺の異世界冒険物語!

ちかっぱ雪比呂
ファンタジー
 40歳の真島光流(ましまみつる)は、ある日突然、他数人とともに異世界に召喚された。  しかし、彼自身は勇者召喚に巻き込まれた一般人にすぎず、ステータスも低かったため、利用価値がないと判断され、追放されてしまう。  おまけに、道を歩いているとチンピラに身ぐるみを剥がされる始末。いきなり異世界で路頭に迷う彼だったが、路上生活をしているらしき男、シオンと出会ったことで、少しだけ道が開けた。  漁れる残飯、眠れる舗道、そして裏ギルドで受けられる雑用仕事など――生きていく方法を、教えてくれたのだ。  この世界では『ミーツ』と名乗ることにし、安い賃金ながらも洗濯などの雑用をこなしていくうちに、金が貯まり余裕も生まれてきた。その頃、ミーツは気付く。自分の使っている魔法が、非常識なほどチートなことに――

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~

イノナかノかワズ
ファンタジー
 助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。  *話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。  *他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。  *頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。  *本作の無断転載、無断翻訳、無断利用を禁止します。   小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。 カクヨムにても公開しています。 更新は不定期です。

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです

yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~ 旧タイトルに、もどしました。 日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。 まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。 劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。 日々の衣食住にも困る。 幸せ?生まれてこのかた一度もない。 ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・ 目覚めると、真っ白な世界。 目の前には神々しい人。 地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・ 短編→長編に変更しました。 R4.6.20 完結しました。 長らくお読みいただき、ありがとうございました。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

処理中です...