異世界漫遊記 〜異世界に来たので仲間と楽しく、美味しく世界を旅します〜

カイ

文字の大きさ
420 / 526
第9章 ネシアのダンジョン編

国王との謁見 (クレイン編)

しおりを挟む
城の門を入り、橋を渡って城の出入り口にいる門番さんのところまで向かうと、いきなり敬礼をされた。

えっ……何?どういうこと?

「ルーシェ殿、姿が見えましたので魔法師団長殿に連絡をいたしましたので、もうしばらくお待ち下さい。」

「……なるほど、その敬礼はそういう事なんだね。」

ルーシェさんは門番の言葉に苦笑いをしている。

そっか、ルーシェさんの場合は顔を覚えられているんだね!


そんな話をしていると、目の前に光の球が現れる。

俺たちはその玉から少し距離を取って見ていると、転移してきたのはやはりリーシェさんだった。

「やあ、待たせたねぇ。国王も待っていることだし、さあ行こうか。ほら、私につかまって?」

リーシェさんの言葉に従ってつかまると、きちんとつかまっていることを確認後に転移を開始した。



そうやって転移してきた所はどうやら直接国王の私室だった様で、ソファーに座ってお茶を飲んでいた。

……あれ?謁見だったんじゃないの?

「よく来たね。さあこちらに来てソファーに座りなさい。」

国王はそう言って目の前にあるソファーを指さす。

俺たちは急いでソファーに座るが、国王の目の前に座ったのは俺とリッキー、ルーシェさんの3人だけで、リーシェさんは国王の隣に座った。

「さて、ここに来た理由は『例のダンジョン』の件であろう?あれに関してネシア側からの話を持ってきたんだと思ったんだが、違うだろうか?」

国王は俺を見ながらそう切り出してきた。

俺は素直に頷き、ネシア側からは軍の練習場代わりに実戦を経験させてやりたいらしいと報告した。

流石に軍隊が国境に集まってしまうので、前もってそういう事情を話しておかないと誤解されてしまうはずだと言われたことも伝えておく。

「なるほど……ではあのダンジョンはクレインとネシアの両国で共同管理をするのだな?外側でクレインが冒険者を管理し、内側でネシアが演習がてら冒険者の不正などを起こさせないよう見張る、と。そういう認識で良いのだな?」

「多分それでいいと思います。あちら側からは特にこちらへの要請は何も聞いてませんので。もちろんクライン側もたまには中に入って見回ることも必要かと思います。流石に最古のダンジョン、最深部はまだ誰も行ったことはないので。多分そのせいで『変換期』が来た時に上手くいかなかったのでしょう。それにネシア側は話で聞いている通りに実戦は初めてらしいので、逆に最初の頃は一緒に行動したほうが良いのでは?」

国王の言葉に対して、俺たちに代わってルーシェさんが答えてくれた。

そうだね、あっちからはこちらに対して何も言われていない。

だけど流石に初の実戦にネシア軍だけで行くのは危険すぎないか?

そこら辺はパニアさんに聞いてこなかったけど、彼ら冒険者がついていくんじゃないかな?

俺がそんな事を考えている間に、リッキーが同じような事を話していた。

そうだよね、やっぱりそう思うよね?

「ではこちらとしては、やはり基本は『入る時と出る時のチェックや救助要請があった時にすぐに行けるようにする』事で良さそうであるな。もし向こうから要請があれば入れるように常駐の人数は『ロック』よりも多めにしておかなければいかんだろう。なぁリーシェ、騎士団の方からだけではなく、魔法師団の方からも数人ほど手練れを配置できないか皆と相談してはくれないか?」

「了解しました、ロイ。団へ帰ったらその話をいたしましょう。流石に脳筋ばかりの騎士団では魔法が使えませんので、何かあった場合の救助要請に対処するのも大変そうですし……それにネシア軍と何か問題を起こさないとは限りませんもんね。」

「……そうであった。その問題もあるかもしれん。やはりしっかりとした人材をあそこには置く必要がありそうであるな。」

国王はリーシェさんの言葉に、頭が痛いとでも言いたげな顔で頭を押さえる。

……そんなに騎士団って問題ある人ばかりなの?ミラーさんだけではなく?

「陛下、実はそれ以外にも今回謁見を望んだ理由があるんです。ほらシエル、手紙を出してくれないか?」

話のキリがいいところでリッキーが俺にそう言った。

俺はすぐにネシアの陛下から預かった手紙を国王に差し出す。

国王はそのまま手紙を受け取ると、「誰からの手紙であるか?」と聞いてきた。

あ、しまった、言ってなかったね!

「これはネシアの国王からの『頼み』が書かれている手紙です。」

「頼み?あのダンジョンの件に関してか?」

「いえ、それとは別の話になります。」

不思議そうな顔をした国王に対し、俺は苦笑いをして答える。

まさか「こちらのセインのような王子を国立学校へ中途編入させてほしい」と言うわけにいかないからな。

俺の返答に目をパチクリさせた国王は、ハサミで丁寧に封を切り、中を取り出して目を通す。

すると国王も俺の苦笑いの理由に気がつき、自身も苦笑いの表情になった。

「……なるほど。あちらも大変であるな。特にあちらは『子が1人である』という事が、王子を助長しておるのであろう。かといって次の御子を、と言ってもこの手紙の内容であるならば高齢でもう無理なのであろう?」

国王は全部読み終えて顔を上げると、リッキーへと話を振る。

リッキーは少し考えてから「よくわかりません」と答えた。

「よく分からない、とはどういう意味だね?」

「それはですね、『見た目からは年令による加齢がわからない』ということです。見た目はまるでリーシェさんの様ですから。ただ、もう400年ほど生きているとのことで、そちらの方の機能があるのかどうかはちょっと……。」

苦笑いしたリッキーの言葉に、驚く3人。

そりゃそうだよね、普通の獣人では100年も生きられないと聞く。

だから先代の『風の長』は、ネシアの国王を産んだ女性の死後にまた故郷へと戻ってきて『風』属性の竜と子を成し、グリーさんが産まれたのだ。

グリーさんによると、先代の『風』属性の長は『番』と認定してきた女性とは死ぬまで仲睦まじかったそうだが、その死後直後からはまるで夢から覚めたかのような感じがしたと聞かされたんだって。

だからすぐに故郷の山に戻り、子孫を作るために竜の『番』を探したのだそうだ。

同じ獣人同士であればそんなことはないらしいけど、他種族の場合は相手側は『番』認識はないっていうからね。

ただ、『番』と認識した獣人から『番』にしか作用しない香りが出るらしく、それによって獣人と同じような認識になるらしい。

……と、フォードさんが言っていたよ。


ホント、この世界は不思議だらけだ!
しおりを挟む
感想 30

あなたにおすすめの小説

転生無双なんて大層なこと、できるわけないでしょう! 公爵令息が家族、友達、精霊と送る仲良しスローライフ

幸運寺大大吉丸◎ 書籍発売中
ファンタジー
アルファポリス様より書籍化! 転生したラインハルトはその際に超説明が適当な女神から、訳も分からず、チートスキルをもらう。 どこに転生するか、どんなスキルを貰ったのか、どんな身分に転生したのか全てを分からず転生したラインハルトが平和な?日常生活を送る話。 - カクヨム様にて、週間総合ランキングにランクインしました! - アルファポリス様にて、人気ランキング、HOTランキングにランクインしました! - この話はフィクションです。

底辺から始まった俺の異世界冒険物語!

ちかっぱ雪比呂
ファンタジー
 40歳の真島光流(ましまみつる)は、ある日突然、他数人とともに異世界に召喚された。  しかし、彼自身は勇者召喚に巻き込まれた一般人にすぎず、ステータスも低かったため、利用価値がないと判断され、追放されてしまう。  おまけに、道を歩いているとチンピラに身ぐるみを剥がされる始末。いきなり異世界で路頭に迷う彼だったが、路上生活をしているらしき男、シオンと出会ったことで、少しだけ道が開けた。  漁れる残飯、眠れる舗道、そして裏ギルドで受けられる雑用仕事など――生きていく方法を、教えてくれたのだ。  この世界では『ミーツ』と名乗ることにし、安い賃金ながらも洗濯などの雑用をこなしていくうちに、金が貯まり余裕も生まれてきた。その頃、ミーツは気付く。自分の使っている魔法が、非常識なほどチートなことに――

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~

イノナかノかワズ
ファンタジー
 助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。  *話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。  *他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。  *頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。  *本作の無断転載、無断翻訳、無断利用を禁止します。   小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。 カクヨムにても公開しています。 更新は不定期です。

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです

yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~ 旧タイトルに、もどしました。 日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。 まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。 劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。 日々の衣食住にも困る。 幸せ?生まれてこのかた一度もない。 ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・ 目覚めると、真っ白な世界。 目の前には神々しい人。 地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・ 短編→長編に変更しました。 R4.6.20 完結しました。 長らくお読みいただき、ありがとうございました。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

処理中です...