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第9章 ネシアのダンジョン編
久しぶりの顔ぶれ
しおりを挟む「な……なるほど。それほど生きているのであればどうかは分からぬが……ちなみにその王子はいくつなのだ?」
国王は少し戸惑いながらもリッキーにそう聞いた。
リッキーが「15歳だと聞いています」と答えると、国王は少し考えた後に「ではその王子は学園に通わせるという名目で預かることにしよう」と言った。
「王子がいない間にネシアの国王には頑張ってもらうしかあるまい。向こうの王妃は健在なのだろう?まだ王子が15歳なのであれば、そう若くないとはいえ生きているはずだからな。」
国王はかなりぶっちゃけた話をしてきたが、確かにそれはそうだよね。
まだ子を産んでから15年ほどしか経ってない。
……何歳で結婚したのかは分からないけど。
こちら側の要望としては、とりあえず王子はこちらで預かるから、同じ王妃または第二夫人を迎え入れても良いから、なんとか2番目の王子を作る方向で頑張ってもらう事を伝える事になった。
……俺は伝えないぞ?
「ところで君たちはお昼を食べてきたのかい?」
話が落ち着いたところでリーシェさんが俺たち3人にそう聞いてきた。
そういえばまだお昼食べてないかも?
俺はそう伝えると、国王が「では、ちょうどよいな。」と言って立ち上がる。ん?どこ行くの?
そのまま国王はドアの方へと歩いていき、リーシェさんもそれに続いた。
「ほら、君たちも一緒においで?」
リーシェさんは振り向いて、まだ座っている俺達に声をかける。
俺達は慌てて2人について部屋を出た。
国王はそのまま廊下を右に曲がってまっすぐ進むと、しばらくして左手側にある1つの扉の前に立った。
その扉は両開きの大きく開口することのできる物で、部屋は大きいんだろうな、というのは容易に想像できた。
国王は扉の両端に立っている兵士に声をかけて開けてもらった。
すると中には長テーブルがあり、すでに3人座っている人がいる。そう、セイン達3人だ。
「遅いですよ、父上!話が長すぎます!」
「そうよ、お父様!私達だってシエルと話をしたかったんだから!」
セインとローラの2人が、席に着いたばかりの国王に向かってそう文句をいう。
「まぁまぁ、今回彼が来たのはお前たちに会うためではなく、仕事の話で来たのだ。その話が長くなったとしてもしょうがなかろう?」
「そうだぞ、2人とも。この夏休みに会えただけでも良かったじゃないか。」
国王は苦笑いしてそう言い、クロードは呆れた顔で2人を諭す。
2人はまだブーブー言っていたが、それでも納得したらしく、大人しくなった。
それからしばらくは他愛ない話をしながら食事をし、半分ほど食事が進んだ頃にとうとう我慢できなくなったセインが「シエルの話が聞きたい!」と言い出す。
「セインや、食事が終わったら4人で話をすればよいではないか?もう少しぐらい……」
「いいえ、父上!父上は聞きたくないのですか!?シエルがこの夏休みに何をしてきたのかを!多分楽しい事をいっぱいしてきたんだと思うんです。我々はこの城から出ることが叶わなかったので、せめてシエルの旅を聞いて行った気になりたいのですよ!」
セインはよほどこの夏休みに鬱憤が溜まっていたのか、父親である国王の話を遮ってまで拳を握ってそう力説している。
それを聞いた国王は苦笑いをしてこちらを見た。
何せ先ほどそれに関する話をしていたのだから、聞きたいもなにもないのだ。
「まぁ、セイン。もう少しでみんな食べ終わるだろう?それから彼を連れて部屋へ戻り、話を聞いてもいいんじゃないか?ん~……あっ、ほら、お土産とかもあるかもしれないだろ?それならなおのこと、部屋で話したほうがいいと思わないか?」
俺たちの態度を見たクロードは、どうやらその国王の態度から先程までの話の内容に関わることだと気づいたようだ。
なんとかして食事後に部屋で話そうとしきりに説得している。
それを見たローラも何となく感じたらしく、「クロードと同じ意見だわ。もうすぐ食べ終わるのだから、移動してから話しましょうよ。」と加勢する。
……ただ『お土産』って言葉に釣られただけかもしれないけど。
そんな事もあり、俺は急いで食事を終えると3人と一緒に先に退室することを国王に願い出る。
もちろん国王も駄目とは言わない。可愛い息子のためだからね!
「じゃあシエル、頃合いを見て部屋に迎えに行くな!クロード様、それまでシエルをよろしく頼みます。」
リッキーがクロードに向かってそう言うと、クロードは苦笑いで「分かりました」と答え、残りの2人は少しむくれてしまった。
それくらいで拗ねないでくれよ~……。
「なぁ、シエル!お前この夏休みにどんな所に行ったんだ!?」
部屋に着くなりセインが俺にそう聞いてくる。
ちょっ!顔近いよっ!落ち着けって!
俺がセインを押し留めていると、クロードがセインを引き剥がしてソファーに座らせる。
続いてローラをその隣に座らせると、自分はローラの隣に座り、俺に向かいのソファーに座るよう勧めてきた。
俺が腰を落ち着けると、またもや身を乗り出し気味に聞いてきたセインを宥めて、俺は学校を出てからのことをポツポツと話し出す。
ダンジョンの話になるとセインもローラもはらはらした顔をしたり、心配そうな顔をしたり、しまいには元のダンジョンマスターに恐怖したりととても感情豊かに話を聞いてくれた。
こんなに話にのめり込んでくれると、話す方もなんだか嬉しいよね。
あっ、もちろんクロードも表情は2人ほど豊かではないけど、いろいろ思うことはあったようで、最後には考え出してしまった。
「……なぁ、もしかしてこのダンジョンの話、続きがあるんじゃねぇの?」
セインが少し期待したように俺を見る。
「そうだね、その話には続きがある。……その後、実は国王には言ってないが、ユーリに『神』が降りてね。元のダンジョンマスターから新しいダンジョンマスターへと替えるくれたんだ。」
俺は少し遠い目をしながら3人にそう話す。
3人は声を揃えて「神?」と言ったが、クロードだけはその神が誰を指すのかわかったようだ。
「……なるほど。それは父上には話せない内容だね。お前たちも話しては駄目だぞ?」
クロードがそう言うと、セインが首を傾げて「何でだ?」と聞く。
「何でって……ユーリくんが神竜だというのは多分父上も知っているんだと思う。だけどそのダンジョンに『創造神』が関与したとなれば、『ロック』以上にこの国にとって……いや、他国にとっても重要なダンジョンになるはずだ。なにせ初の『創造神の作ったダンジョンマスター』が管理しているダンジョンなんだから、とても神聖なダンジョンになってしまう。多分父上にはダンジョンマスターが入れ替わった……もしくは新しくなったとしか話してないんだろう?」
クロードの話に、俺は頷く。
そう、別に神聖な場所になったわけじゃないのに、そう見られて簡単に冒険者が入れなくなるのなら意味がない。
冒険者にとってはダンジョンで稼ぐ人がかなり多くいるからだ。
それを締め出して自分達の物にするのは、なんか違うと思う。
とりあえず3人とも今後の話でも国王に言ってないことは黙ってくれる事で合意したので、次に俺はネシアでの話をすることにした。
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