異世界漫遊記 〜異世界に来たので仲間と楽しく、美味しく世界を旅します〜

カイ

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第10章 国立学校 (後期)

『ブレイズ』へのダンジョン遠征 13

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14階層で恐怖を味わった俺たちだが、前回このダンジョンへ来ていたこともあって、迷うことなく15階層の休憩所へと到着した。

この頃にはもう辺りは暗くなり始めている。


今夜は俺の手持ちのカレーとご飯で夕飯を食べようと思ったので、着いて早々に皆で手分けしてテントを張る。

そしてここでも一応、全部のテントに個々で結界を張っておいた。


そしてふと思い出したのだが、この休憩所には確か『通信機』として作った魔石を台座に一つ置いてきたはずだ。

対の魔石は軍に知り合いがいるというパニアさんに預けてあるので、このダンジョンに入ったら使えるように軍の手に渡っていることだろう。

置いておいた台座をみたがそこには魔石などなく、台座も壊されて端の方に放置されていた。

……せっかく『このフロアから外へと会話ができるように』と作ったのに、魔石だけ持っていってまるで『証拠隠滅』みたいに台座を壊すのってどうなんだ?


俺は顔を顰めてそう考え、そこで思い出した。

例の3人組が『仲間と連絡できる魔道具』を持っていたことを。

えっ、あの人達、この魔道具を使っているの!?

俺はそのことに思い当たると、軽くショックを受けてしまう。

まさか持ち出されて、本来の使い方になっていなかったとは思いもしなかった……。


とりあえずこの事は後で共有する事にし、俺はまたお風呂も用意しておく事にした。

みんなあの昆虫ゾーンで疲弊しているだろうからね。


……あ、そうそう。

腕輪に収納した人も出さないとね!

俺はすぐに彼女たちを外に出してあげた。

出てきた人たちは周りを見て安堵の表情だ。

もう昆虫ゾーンも通り過ぎたから、ここからはまた一緒で構わないだろう。


……その夜は例の3人組がいないからか、終始なんだか和やかなムードで過ごせていた。

みんなしっかりと夕飯を食べてお風呂に浸かり、疲れを取ったので、明日のボス戦はしっかりと戦えるだろう。



翌日、みんなと軽く朝食を食べると、早速近くにあるボス部屋へと向かう。

昨夜の内にダンジョンマスターのブレイズに連絡を取り、今このダンジョンに入っているネシア軍の最前線は何処なのかを聞いてみたら、案外近くの20階層なんだそうだ。

つまり、もうすぐでネシア軍の集団と鉢合わせをするはず。

……その中に例の3人組もいるのだろうか?

いるのだとしたら、その中に仲間がいるのかもしれない。

そうなったら要注意、だな。

俺はそんな事を思いながらみんなと歩いていたが、昨日ブレイズに聞いたボス部屋の場所は以前来た時の場所と違うことに気づく。

以前は森の中だったが、いま辿り着いた場所は森の中ではなくて『森の入り口手前』って感じだ。

……何故、場所を変えたんだろう?

俺は不思議に思いながらも、ちゃんとした『ボス部屋』の扉を開く。

変わったのは場所だけではなく、見た目も塀だけではなくてちゃんと屋根もあるものに変わっていたのだ。

ただ、中を開けると相変わらずのがらんどうで、そして案の定、皆が中に入ると中央に光が出てきた。

ブレイズによるとこのフロアのボスは元の通りに巨大な熊だとの事だったので、今回は皆の協力によって倒すために俺たち強者は手を出さない事になっている。

中央に現れたその光が大きくなって弾け、一瞬の眩しさに目を瞑り、そして目を開くと目の前には確かに巨大な熊がいた。

多分これは以前戦ったことのあるフォレストベアなのだろう。

「みんな注目!あいつはその硬い毛皮で刃物を通さないから、魔法を使えるやつは使うといいぞ!ある程度弱ってきたら剣や槍なんかは有効だと思う。」

スコットさんは大きな声でアドバイスを送ると、中央に2本足で立ち上がって威嚇している熊を指差す。

それを聞いたみんなは、最初に魔法を使える集団で戦い、その後に騎士達の様な武器を扱う者が戦う戦法にしたようだ。

準備ができたら一斉に魔法を次々と撃っていく。

あまりの数に、一旦は相手の姿が見えないほどの土煙や煙が辺りに立ち込める。

それを見たグリーさんがその煙を吹き飛ばし、ボスの姿を出したが……ほとんどダメージを負ってないように見える。

……やはりもう少し強めの魔法じゃないと効かないのかな?

俺がそう思ってリーシェさんに聞くと、「いや、少しずつでもダメージが蓄積されているから、まったく効果がないわけではないよ」と答えてくれた。

それを聞いたみんなは改めて魔法を撃ち、その煙をグリーさんが吹き飛ばす……を何度か繰り返した後、熊が仁王立ちできずに四つ足になったところを見て、騎士達武器を扱う者が突っ込んでいった。


熊は意外とダメージを負っていたようで、もう立ち上がることはなく、近づいてきた奴に突進して吹き飛ばしたり、前足で引っ掻こうとしてはくるが、その勢いはまったくなかった。


やがて熊が地面にぐてっとなった頃、その姿はドロップ品へと変わった。

それを見たみんなは口々に「俺たちもやればできる!」や「なんだか体が動きやすくなっている気がする!」とか言って喜んでいる。


そうだね、みんなダンジョンに入る前よりかなりレベルは上がったんじゃないかな?

まだあと4日ほどあるけど、この分だとかなりの成長を見せるはず。

俺がうんうんと頷いていると、リーシェさんも「彼らは近年にないほどの『当たり年』になりそうですね」と笑顔で喜んでいた。

どうやら彼らの半数はクレイン国の騎士団や魔法師団へと入団するので、それが楽しみだとの事らしい。

俺としては俺だけ目立つ活躍をするのではなく、皆も強くなって俺が目立たないほどになってもらえると良いな!とは思っているが……頑張ってね!


それから俺たちは16階層へと向かう。

ここからは俺たちスノーホワイトも初めての領域だから、何が出てくるのかは全く分からない。

だとしても、これだけ皆も成長したのだから、今までと同じようにどんどん進めると良いね!
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