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第4章 ネシア国〜
ラブさんに会おう!
しおりを挟む俺が店内を見て回っているうちに先ほどの店員さんと一緒にもう1人、身なりがしっかりとした人がやってきた。
「初めまして、私がここの代表をしていますフォードと申します。この度は私の妻に会いたいとのことですが、どのようなご要件でしょうか?」
この人もにこやかな顔で対応してくれているが、なんだかピリピリしている気がする……。
リッキーを見上げると、苦笑いしながらフォードさんに話しかけた。
「そんなに警戒しないでください。彼女の幼馴染のパニアさんと友人でして、少し込み入った話があるのでここでは話せませんが、気になるようであればご一緒に話を聞いてもらっても構いませんよ?」
すると少しだけフォードさんの表情が和らいだ……様な気がする。
「ではお言葉に甘えて、私も同席させていただきます。それであれば面会は許可いたしましょう。現在、妻は妊娠中なもので、こちらも少しピリピリしてしまってすみません。」
「いえいえ、それはしょうがないと思いますよ?同じ獣人ならともかく、人族である俺たちが会いたいと言えば何事かと思いますよね。配慮が足らずにすみません。」
「いえ、大丈夫です。……では早速行きますか?家はここからすぐですので。」
それを聞いてリッキーは俺の方を振り向き、「店内見てからにするか?」と聞いてきた。
でも店内は金物系ばかりなので、食材がないなら見てもしょうがないかと思い始めている。
そんな俺にリッキーは笑い、フォードさんに話しかけた。
「少しお伺いしたいのですが、こちらのお店では何を販売していますか?」
「うちは1階と2階が金物系、3階が食材売り場になっています。」
「シエル、食材は3階だと。時間かけて見たいだろうし、面会後に見に来るか?」
「うん、そうしよう!」
俺は喜んで頷く。
そっか、3階に食材があるんだね!楽しみだ!
それから俺たちは5人で店を後にし、フォードさんの自宅へと向かう。
なんと自宅は道を挟んで向かいにあった。
でかい屋敷が目の前にあるなとは思っていたんだ!
そっか、こんなに自宅が近いなら何かあってもすぐ戻れるもんね!
フォードさんの屋敷に行くと、玄関ではメイドさん達と執事らしき人が出迎えてくれた。
「おかえりなさいませ、旦那様。……そちらの方は?」
彼はチラリとこちらを見てそう言った。
フォードさんはまだ俺達の事はよくわからないまでも、「ラブの幼馴染の友人らしくて、何か話があるそうなんだ。」と説明した。
執事さんは少し考えると、メイドに何やら命令をしてどこかへ向かわせた。
「なるほど、奥様の友人の知り合いなんですね?先ほどメイドに先触れをお願いしましたので、私たちも向かいましょう。」
執事さんはそう言って、俺達を先導するように歩いていく。
両開きの大きな扉のある部屋に着くと、彼は「奥様はこちらにいらっしゃいます。」と言ってドアをノックする。
中から女性の声で「どうぞお入りください。」と言われ、執事さんは扉を開けてくれた。
中にはソファーに座った獣人の女性と、その背の方に立つピシッとした雰囲気のメイドさんがいた。
たぶん獣人の女性がラブさんなんだと思う。
彼女は人族の顔としても可愛らしく、頭にウサギの耳が生えているのでなおさら『可愛い』が強調されているようだ。
髪は肩につかないくらいの長さで、ウェーブがかっている。
見た目はほんわかした雰囲気の女性だ。
「あら、私の幼馴染の知り合いだということだったので獣人だと思ったんですけど、人族の方だったんですね。」
「ああ、店の方に来て『ラブさんの幼馴染のパニアさんの友人で、話があるから会わせてくれ』って言われてね。」
「まぁ!パニアの?彼とは獣人の国のネシアから出る時に一緒にパーティーも組んでいたのよ!もう2年ほど会っていないけど、元気してるのかしら?」
フォードさんがパニアさんの名前を出すと、ラブさんはとても嬉しそうにこちらを見た。
「ええ、彼は数日前には神聖法国にいたんですが、今はネシアに戻って元気に過ごしていますよ。」
俺がそう伝えるとラブさんは目を見開き、「神聖法国に!?」と大声で言った。
なので、俺が神聖法国に行ったことから話だし、彼との出会いやクーガーとのいざこざも話した。
神聖法国のくだりでは避難民達の事を聞いてとても辛そうな顔をしたが、俺が助け出してネシアにみんな連れて行った話をするととても感謝され、クーガーとの話になるととてもすまなそうな顔でリッキーに謝った。
……もちろん、クーガーの恋心も暴露したけどね!
「いえ、あなたが悪いわけではないので謝らなくて良いですよ?」
「いえ、私が国を出る時にきちんと話し合っておくべきだったんだわ。私はパニアとクーガーの兄弟とまるで本物の兄弟のように育ったの。だから私にとって2人は兄弟にしか思えないの。だからクーガーに『この国からでていかないで、残って欲しい。』って言われても、『私に対する恋心』なんて全く感じなかったもの。その時ちゃんと言われていたらキッパリと断ったのに……。」
「多分、それが分かっていたから『俺のそばに残ってくれ』とは言えなかったんじゃないかな。ラブのことを愛している俺なら、彼の気持ちがわかる気がするよ。」
しゅんと耳を垂らして落ち込んでしまったラブさんの肩を抱き、フォードさんはそう言って慰めた。
「でもだからって、そんな状態の彼がこうやって大会に出た人族を死なせる間際まで暴行するのは間違っているとも思うけどね。」
フォードさんはキッパリとそう言うと、こちらを見て告げた。
「私とラブをネシア国まで連れて行ってもらえないでしょうか?店なら暫く私がいなくてもやっていけますので。……どうでしょうか?」
う~ん……連れていくのは全然いいんだけど、問題は連れて行く方法だよね?
ラブさん妊娠中だから転移魔法は棄権な気がするし。
かといってグリーさんに乗ってだと、2人が怖がりそうな気がする……。
どうしたら良いかなぁ?
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