異世界のんびり漫遊記

カイ

文字の大きさ
351 / 603
第8章 国立学校編

少しは学校に馴染んできたかな?

あの日から1週間が経った。

その間、国王からの『聖剣喪失』の発表もなく、王族3人組の婚約者選定がまだ難航しているのもあって、暫くは相変わらずの毎日だった。

だが、どうやらローラは国王に「シエルを自分の婚約者にしろ」という事を言いに行ったようだ。

その事については以前国王が言っていたように、リーシェさん同席の上での話し合いになったらしい。

その結果、国王からは「あれほど『スノーホワイト』には関わるなと言っていたはずだ。それなのに『婚約者に』とは何事だ?」とかなり叱られたらしい。

その翌日には丸一日機嫌が最高潮に悪かったので、一旦は諦めざるを得なかったのだろう。

それからはそんな発言もなく、俺としてはそっちの意味では穏やかな学園生活を送れている。



だがこの前の模擬試合のこともあってか、あちこちの部活動から勧誘の声がかかって、それはなかなか躱すのに一苦労している。

まぁ、部活動っていっても剣術クラブや格闘クラブ、魔術師クラブ、魔法陣研究会とかだから、日本でいう『部活動』より実践に近い集まりだ。

剣術や格闘は国の騎士団方面、魔術師はそのまま魔法師団方面、魔法陣は生活を豊かにする魔道具を作る魔道具師方面に進む人が多いそうで、そもそもが自分たちの将来の勉強の為に入っているんだろうな。

そんな彼らが自らの能力を高めるために俺を自分たちの部に入れて、いろいろな能力を得ようとと思っているのだろう。

でも俺は別にこれ以上時間を割きたくないから、どれにも入る予定はないのだ。


今日も登校して教室に入るまでの間にそれぞれの部活の人が声をかけてきたが、俺はいつも「入る気ないから!」と言って断りまくっている。

なんとか教室に入ると、クラスメイトは憐れみの目で俺を見てきた。……早くこの勧誘なくならないかなぁ。

俺はため息をつくといつもの席へと向かう。

この頃になるとみんな各自座る席が決まってきていて、俺がいつも座る場所はちゃんと開けてくれている。

そして、その周りには王族3人が座るのがデフォになりつつある。……まぁ、変に絡んでこなければ気にしないけどね。


「今日も大変だったな?」

そう声をかけてきたのは眉尻を下げたクロードだ。

彼は俺がいつも勧誘に苦労している事を知って、よく一緒に行動してくれるのだ。

そうすると大抵の人は勧誘を諦めてくれる。

……まぁ部長クラスはそれでも来るけどね?


「そりゃああんなに目立てば目をつけられるに決まってるじゃないか。」

そう言って呆れた顔をしたのはセインだ。

彼もまた、国王から何らかのお達しがあったらしく、俺に対して強気な上から目線で来ることはあまり無くなってきた。

どうやら『奴隷』の扱いをする予定だったのが、『友人』へとシフトしたのかもしれない。


「だから早く私のものになってしまえばいいのよ。そうすれば誰も手を出せないもの。」

そう言ってウフフと笑っているのは王族3人組の最後の1人、ローラだ。

積極的には来なくはなったが、彼女だけはいまだにこうやって何かあるとアプローチしてくる。

……まぁ、あの時みたいに上から目線で命令してくることがなくなっただけでも、だいぶ日常が過ごしやすいけどね。



そんな会話をしていると、今日の1限目の授業の講師が教室に入ってきた。

今日の最初の授業は、この世界のいろいろな国のことを教えてくれる『世界史』のような授業だ。

担当は教頭のクロニカ先生だ。

彼はリッキー達の時にも『世界史』やこの国の歴史について授業をしていたらしい。


「おはよう、みんな。今日は現代の『クレイン国の周囲にある国』について勉強しよう。」

クロニカ先生はそう言うと黒板に自分が持ってきた巨大な紙を貼る。

そこには世界地図のようなものが描かれていて、周囲の国との位置関係などが一目でわかるようになっていた。


このクレイン国は以前グリーさんが説明してくれたように、この大陸を歪な『X』で区切ったうちの北側にある。

区切っているものは巨大な森や川だ。


『X』の西側はかの神聖法国で、南側がフュサカ、東側がネシアだ。

……まぁ、この『X』の形は均等ではなくて極端に神聖法国が小さいんだけどね。


そしてこのクレイン国の王都はちょうど国の真ん中ほどにあり、俺が一番最初にこの世界に来た街『ローラン』はフュサカとの境にある森にほど近い。

『スノービーク』はちょうどこの大陸の最北端にある『竜の住む場所』に広がる森の手前に存在している。


こうやって見ると、案外クレイン国も大きな国なんだな、と分かる。

この前行ったネシアはこうやって地図で見るとクレイン国よりも領土は小さく、並んでいるようだ。

クロニカ先生の話では「国王は竜人の獣人で、国柄としては血の気の多い者が大半だ」とのことだ。

実際に行ってみて分かったのは「娯楽があまりなく、『闘技大会』がとても人気である」事で、そこからもクロニカ先生のいう「血の気が多い」事が分かる。


この大陸で一番大きい国はヒュサカで、とても平べったい形をした国だ。

まだ行ったことはないが、クロニカ先生によると「とても優れた魔道具職人がたくさんいる国」だそうで、あちこちの国から魔道具について学ぼうと留学してくる者が後を絶たないんだって。


他にもいろいろ学んだけど……俺としてはまだ見ぬ『ヒュサカ』に行くのがとても楽しみになったよ!

一体、どんな魔道具があるのかな~?
感想 32

あなたにおすすめの小説

本の虫な転生赤ちゃんは血塗りの宰相の義愛娘~本の世界に入れる『ひみちゅのちから』でピンチの帝国を救ったら、冷酷パパに溺愛されてます

青空あかな
ファンタジー
ブラック企業に勤める本の虫でアラサーOLの星花は、突然水に突き落とされた衝撃を感じる。 藻掻くうちに、自分はなぜか赤ちゃんになっていることを理解する。 溺死寸前の彼女を助けたのは、冷徹な手腕により周囲から「血塗りの宰相」と恐れられるアイザック・リヴィエール公爵だった。 その後、熱に浮かされながら見た夢で前世を思い出し、星花は異世界の赤ちゃんに転生したことを自覚する。 目覚めた彼女は周囲の会話から、赤ちゃんの自分を川に落としたのは実の両親だと知って、強いショックを受けた。 前世の両親もいわゆる毒親であり、今世では「親」に愛されたかったと……。 リヴィエール公爵家の屋敷に連れて行かれると、星花にはとても貴重な聖属性の魔力があるとわかった。 アイザックに星花は「ステラ」と名付けられ彼の屋敷で暮らすようになる。 当のアイザックとはほとんど会わない塩対応だが、屋敷の善良な人たちに温かく育てられる。 そんなある日、精霊と冒険する絵本を読んだステラはその世界に入り込み、実際に精霊と冒険した。 ステラには「本の世界に入り込み、その本の知識や内容を実際に体験したように習得できる特別な力」があったのだ。 彼女はその力を使って、隣国との条約締結に関する通訳不在問題や皇帝陛下の病気を治す薬草探索など、様々な問題を解決する。 やがて、アイザックは最初は煩わしかったはずのステラの活躍と愛らしさを目の当たりにし、彼女を「娘として」大切に思うようになる。 これは赤ちゃんに転生した本好きアラサーの社畜OLが、前世の知識と本好きの力を活かして活躍した結果、冷徹な義父から溺愛される話である。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

家族に忘れられていた第五王子は愛され生活を送る

りーさん
ファンタジー
 アズール王国の王宮には、多くの王子や王女が住んでいる蒼星宮という宮がある。  その宮にはとある噂が広まっていた。併設されている図書館に子どもの幽霊が現れると。  そんなある日、図書館に出入りしていた第一王子は子どものような人影を見かける。  その時、父である国王にすら忘れられ、存在を知られていなかった第五王子の才覚が露になっていく。

莫大な遺産を相続したら異世界でスローライフを楽しむ

翔千
ファンタジー
小鳥遊 紅音は働く28歳OL 十八歳の時に両親を事故で亡くし、引き取り手がなく天涯孤独に。 高校卒業後就職し、仕事に明け暮れる日々。 そんなある日、1人の弁護士が紅音の元を訪ねて来た。 要件は、紅音の母方の曾祖叔父が亡くなったと言うものだった。 曾祖叔父は若い頃に単身外国で会社を立ち上げ生涯独身を貫いき、血縁者が紅音だけだと知り、曾祖叔父の遺産を一部を紅音に譲ると遺言を遺した。 その額なんと、50億円。 あまりの巨額に驚くがなんとか手続きを終える事が出来たが、巨額な遺産の事を何処からか聞きつけ、金の無心に来る輩が次々に紅音の元を訪れ、疲弊した紅音は、誰も知らない土地で一人暮らしをすると決意。 だが、引っ越しを決めた直後、突然、異世界に召喚されてしまった。 だが、持っていた遺産はそのまま異世界でも使えたので、遺産を使って、スローライフを楽しむことにしました。

転移特典としてゲットしたチートな箱庭で現代技術アリのスローライフをしていたら、訳アリの女性たちが迷い込んできました。

山椒
ファンタジー
そのコンビニにいた人たち全員が異世界転移された。 異世界転移する前に神に世界を救うために呼んだと言われ特典のようなものを決めるように言われた。 その中の一人であるフリーターの優斗は異世界に行くのは納得しても世界を救う気などなくまったりと過ごすつもりだった。 攻撃、防御、速度、魔法、特殊の五項目に割り振るためのポイントは一億ポイントあったが、特殊に八割割り振り、魔法に二割割り振ったことでチートな箱庭をゲットする。 そのチートな箱庭は優斗が思った通りにできるチートな箱庭だった。 前の世界でやっている番組が見れるテレビが出せたり、両親に電話できるスマホを出せたりなど異世界にいることを嘲笑っているようであった。 そんなチートな箱庭でまったりと過ごしていれば迷い込んでくる女性たちがいた。 偽物の聖女が現れたせいで追放された本物の聖女やら国を乗っ取られて追放されたサキュバスの王女など。 チートな箱庭で作った現代技術たちを前に、女性たちは現代技術にどっぷりとはまっていく。

Sランクパーティを引退したおっさんは故郷でスローライフがしたい。~王都に残した仲間が事あるごとに呼び出してくる~

味のないお茶
ファンタジー
Sランクパーティのリーダーだったベルフォードは、冒険者歴二十年のベテランだった。 しかし、加齢による衰えを感じていた彼は後人に愛弟子のエリックを指名し一年間見守っていた。 彼のリーダー能力に安心したベルフォードは、冒険者家業の引退を決意する。 故郷に帰ってゆっくりと日々を過しながら、剣術道場を開いて結婚相手を探そう。 そう考えていたベルフォードだったが、周りは彼をほっておいてはくれなかった。 これはスローライフがしたい凄腕のおっさんと、彼を慕う人達が織り成す物語。

【完結】精霊に選ばれなかった私は…

まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。 しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。 選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。 選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。 貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…? ☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。

屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。

彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。 父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。 わー、凄いテンプレ展開ですね! ふふふ、私はこの時を待っていた! いざ行かん、正義の旅へ! え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。 でも……美味しいは正義、ですよね? 2021/02/19 第一部完結 2021/02/21 第二部連載開始 2021/05/05 第二部完結 新作 【あやかしたちのとまり木の日常】 連載開始しました。