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第704話
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『アリス・ノア・キリ』
後ろ向きに器用に飛ぶディノを見つめながらノアがポツリと言う。
「はぁ……結局最後はこうなるんだね」
「いつもの事です。ペットの責任は飼い主が生涯持つ。鉄則です」
「はは、ペットって。いや、でもそれに近いのかもな、アリスと居るって事は」
「とうとう認めてくださいましたか、お嬢様がゴリラだと。長い道のりでした」
「いやいや、そうじゃなくて。一生僕が面倒見ないとなって意味では近いのかもって話だよ。アリスはゴリラじゃないよ! メッ!」
そもそもゴリラにも失礼な話だ。アリスに似ていると言われて喜ぶ生物など、バセット領の一部の動物ぐらいである。
「そうですか? お嬢様は俺の中ではずーっと猿かゴリラですね」
「それはさ、ステータス機能おかしくなってるからじゃない?」
シャルのとんでもない弄り方のおかげで今回のキリのステータス機能は完全にバグっている。
その時だ。突然ヴァニタスの叫び声が聞こえた。
「こら! そんな状態で暴れるな! 熱い! 我を蒸し鶏にする気か!!」
「大丈夫かな?」
「大丈夫でしょう。怒鳴る元気があるうちは」
「そうだね。本当に無理だって思ったら声も出せないもんね」
ノアの言葉に、後ろを向きながら飛んでいたディノが笑った。
「お前たちはアリスに関しては随分と達観しているのだな!」
「まぁ、そりゃほぼ生まれた時から一緒だからね」
「全くです。ノア様は良いです。自分で選んだ道なので。俺なんてノア様の側にいると決めた時点で必然的にお嬢様がついてくるのです。究極の二択でした」
「またまたそんな事言って! 何だかんだ言いながらキリだってアリスの事大好きでしょ?」
「……一体どこでそんな誤解が生まれたのでしょう?」
本気で分からない。首を傾げたキリを見て笑ったノアの顔が突然凍りついた。
その顔を見てキリがふと前方を見ると、ヴァニタスの叫び声と共にアリスが真っ逆さまに落ちていくのが見えたではないか。
「アリス!」
ノアが叫んだのと同時にキリがアリスが落ちて行く所に向かって防災頭巾を投げた。それにノアは大量の水を含ませる。
次の瞬間、アリスの体は無事に大量の水を吸った防災頭巾に受け止められて、そのまま水を蒸発させながらズブズブと埋まっていく。
「はぁ……ついてきて良かった」
「全くです」
こんな事はもう日常茶飯事だ。思わず額の汗を拭った二人の耳にアリスの声が聞こえてきた。
「二人共~! ありがと~! ナイスキャッチだよ~!」
いつの間についてきてくれていたのか、ヤバいと思った時には体は宙に浮いていた。辺りが光のせいで見えないおかげでどうなる事かと思ったが、どうやら後ろからノアとキリがついてきてくれていたらしい。
アリスは両手を振って二人にお礼を言ってまたディノによじ登る。
「……流石に少しイラっとしましたか?」
「少しだけ。でもあれもアリスの可愛いとこなんだよ。そう、可愛いの!」
「自分に言い聞かせないといけない時点でそれはもう可愛いとは言えないと思うのですが」
「そんな事無い! そんなリー君みたいな事言わないで!」
アリスは可愛い。これはもう疑いようもない事実なのだ。ノアは鼻を鳴らしてそれからもアリスの護衛をすべくディノの後を追った。
アリス達が辿り着いたのは最後の場所、北の大地だった。そこには話を聞きつけた妖精王とオズワルドが既に待機している。
この頃になると流石のアリスも疲れていて光は随分と弱まっていた。
「アリス、ディノに乗ってるだけでも体力使うだろうから下りておいで」
「うん……」
アリスはノアに言われてディノの体からズルリと滑り落ちた。そんなアリスをノアはしっかりと抱きとめてくれる。
もう限界だ。ここまではどうにか気力でカバーしてきたが、流石のアリスにも限界はある。何だか体の中が空っぽになった感じがしてノアに抱きつくと、ノアはアリスを抱きしめておでこにキスしてくれた。
「お疲れ様、アリス。もう十分だよ。君は本当によくやってくれた」
「そうですね。これはお嬢様でなければ出来ない事でしたから。ここから先は妖精王とオズ達に任せましょう」
そう言ってキリは珍しくぐったりとしたアリスの頭をポンポンと撫でた。そんなキリを見てアリスは少しだけ微笑む。
「……うん」
頑張った。この二人に褒められるのが何よりも嬉しいアリスだ。
特にキリにはいつもは鞭ばかりを貰うので、たまに配られる飴の美味しさと言ったら言葉には言い表せない。
ぐったりとしたアリスを見てノアはすぐにカインにまとまった食料を頼んだ。もうアリスの光は消えかけている。
そんなアリスの元に妖精王とオズワルドが近寄ってきた。
「北半球からは全員撤退させた。これで俺も力を使える。アリス、お前はもう休んでろ」
「すまなかったな、アリス。ここからは我とオズに安心して任せてくれ」
こんなにもぐったりしたアリスを見るのは初めてで、妖精王は何だか泣きそうになってしまった。アリスがここまでやったのだ。これ以上させては本当に妖精王の名が廃る。
妖精王とオズワルドの言葉にアリスはニコッと笑って親指を立てた。
「うん、任せたゾ! ニカ……グー」
アリスの意識はそこで途絶えた。
「あ、寝た」
突然寝落ちたアリスを見てポツリとノアが言うと、全員が頷く。
太陽のように光り倒して好き勝手に歌って大地を焦土にして回ったアリスは、残りの場所を妖精王とオズワルドに託して眠りについてしまった。
ノアはアリスをキリに預けて上着を脱ぐと、そこにアリスをそっと寝かせてやる。そんなアリスにいつかのようにドンとスキピオがまた花を添えていた。
「さて、それじゃあここから先は任せていいのかな?」
「ああ、もちろんだ。では行こうか、ディノ、オズ!」
ノアの言葉に妖精王は表情を引き締めた。そんな妖精王を見てオズワルドとディノも頷く。
「我らも行くぞ! 仲間たち」
そんな一同を空から見ていたヴァニタスが声を上げると、いつの間にかやってきていたアオサギの群れが北半球に向かって一羽、また一羽と飛び立って行く。
「では行こう! 我らの星を守るために!」
妖精王が声を上げて北半球に向かって進むと、その後をオズワルドとディノがついてきた。
しばらくすると、連絡を受けたカインがノア達の元にやってきた。
「おい、大丈夫かよ? アリスちゃんダウンしたって……うわ、マジじゃん。あ、はい、これローストビーフ」
「はは、ありがと。大分頑張ったからね。ついさっき寝落ちたんだよ」
ノアはカインから見事なローストビーフを受け取ってそれをそっとアリスの頭の上に置いてやった。
そこへ今度はリアンとオリバーがやってくる。
「ちょっと、アリス落ちたって……あ、またお供物されてる」
「ほんとっすね。いつか見た光景っす。あ、これローストビーフっす」
「ありがとね、二人共」
2つ目のローストビーフを並べて置いたノアがその光景を見て苦笑いしていると、そこへ続々と仲間たちがローストビーフを持ってやってきた。
「アリス! 大丈夫なの!?」
キャロラインは持ってきていたローストビーフをノアに渡して眠るアリスに覆いかぶさって涙を零しながら泥だらけになった顔の泥を拭ってやる。
「何てことなの……呪いの歌を歌いながら機嫌よく進んでいたと思ったら、こんな所で力尽きているなんて……」
一生懸命アリスの泥を拭うキャロラインを見てルイスがポツリと言う。
「キャロ、あれは呪いではなくてお前への賛美だったぞ……」
「え? 俺たちが聞いたのはルイスの悪口だったよな?」
「そうだねぇ~。この恨みは晴らさでおくべきかって言ってたもんねぇ~」
「俺たちが聞いたのはあいうえお作文だったが」
「ははは! 皆違う歌を聞いていたのかな?」
おかしそうにアンソニーが言うと、向かい側でノアが腕を組んで何かを考え込むようにアリスを見下ろしている。
「ねぇ、皆が凄く仲が良いのは分かるんだけど、どうして皆して同じもの持ってくるのかな?」
ノアがアリスを象るローストビーフに腕を組んで苦笑いすると、仲間たちもそんな光景を見て笑う。
「それは仕方ありませんよ、ノア。アリスと言えば肉ですから」
「シャルルまで!」
最後に現れたシャルルの手にもしっかりとローストビーフが握られていて、とうとうノアは吹き出した。
「で、今はどうなっているのかな?」
アンソニーが言うと、キリが今までの状況を説明している。
「なるほど。惜しいね。せめて最後はこの目で見たかったよ」
アンソニーが残念そうに言うと、アランがおもむろにどこからともなくモニターを取り出した。
「中継されていますよ? 見ます?」
「ん?」
「アリスさんの持っていたぬいぐるみを妖精王にお渡ししたので」
「え? あいつのぬいぐるみ?」
リアンが不思議に思って問いかけると、アランはコクリと頷く。
「ええ。アリスさんがずっと持っていたライラさんに貰ったという小さなぬいぐるみです。あれ、カメラが仕込んでありましたよ」
それに気付いたアランは気を失ったアリスから抜き取り妖精王に渡しておいたのだ。それを聞いてリアンは何とも言えない複雑な顔をしている。
「それで、あの子達は頑張ってるの?」
まるでもう我が子のような気持ちで妖精王とオズワルドを心配している観測者が言うと、アランがモニターのスイッチを入れた。それを全員で食い入るように見つめる。
これで本当に終わりだ。心の中でそんな事を誰もが考えていた。東の山の方から、ようやく今日の太陽が顔を出し始めていた。
後ろ向きに器用に飛ぶディノを見つめながらノアがポツリと言う。
「はぁ……結局最後はこうなるんだね」
「いつもの事です。ペットの責任は飼い主が生涯持つ。鉄則です」
「はは、ペットって。いや、でもそれに近いのかもな、アリスと居るって事は」
「とうとう認めてくださいましたか、お嬢様がゴリラだと。長い道のりでした」
「いやいや、そうじゃなくて。一生僕が面倒見ないとなって意味では近いのかもって話だよ。アリスはゴリラじゃないよ! メッ!」
そもそもゴリラにも失礼な話だ。アリスに似ていると言われて喜ぶ生物など、バセット領の一部の動物ぐらいである。
「そうですか? お嬢様は俺の中ではずーっと猿かゴリラですね」
「それはさ、ステータス機能おかしくなってるからじゃない?」
シャルのとんでもない弄り方のおかげで今回のキリのステータス機能は完全にバグっている。
その時だ。突然ヴァニタスの叫び声が聞こえた。
「こら! そんな状態で暴れるな! 熱い! 我を蒸し鶏にする気か!!」
「大丈夫かな?」
「大丈夫でしょう。怒鳴る元気があるうちは」
「そうだね。本当に無理だって思ったら声も出せないもんね」
ノアの言葉に、後ろを向きながら飛んでいたディノが笑った。
「お前たちはアリスに関しては随分と達観しているのだな!」
「まぁ、そりゃほぼ生まれた時から一緒だからね」
「全くです。ノア様は良いです。自分で選んだ道なので。俺なんてノア様の側にいると決めた時点で必然的にお嬢様がついてくるのです。究極の二択でした」
「またまたそんな事言って! 何だかんだ言いながらキリだってアリスの事大好きでしょ?」
「……一体どこでそんな誤解が生まれたのでしょう?」
本気で分からない。首を傾げたキリを見て笑ったノアの顔が突然凍りついた。
その顔を見てキリがふと前方を見ると、ヴァニタスの叫び声と共にアリスが真っ逆さまに落ちていくのが見えたではないか。
「アリス!」
ノアが叫んだのと同時にキリがアリスが落ちて行く所に向かって防災頭巾を投げた。それにノアは大量の水を含ませる。
次の瞬間、アリスの体は無事に大量の水を吸った防災頭巾に受け止められて、そのまま水を蒸発させながらズブズブと埋まっていく。
「はぁ……ついてきて良かった」
「全くです」
こんな事はもう日常茶飯事だ。思わず額の汗を拭った二人の耳にアリスの声が聞こえてきた。
「二人共~! ありがと~! ナイスキャッチだよ~!」
いつの間についてきてくれていたのか、ヤバいと思った時には体は宙に浮いていた。辺りが光のせいで見えないおかげでどうなる事かと思ったが、どうやら後ろからノアとキリがついてきてくれていたらしい。
アリスは両手を振って二人にお礼を言ってまたディノによじ登る。
「……流石に少しイラっとしましたか?」
「少しだけ。でもあれもアリスの可愛いとこなんだよ。そう、可愛いの!」
「自分に言い聞かせないといけない時点でそれはもう可愛いとは言えないと思うのですが」
「そんな事無い! そんなリー君みたいな事言わないで!」
アリスは可愛い。これはもう疑いようもない事実なのだ。ノアは鼻を鳴らしてそれからもアリスの護衛をすべくディノの後を追った。
アリス達が辿り着いたのは最後の場所、北の大地だった。そこには話を聞きつけた妖精王とオズワルドが既に待機している。
この頃になると流石のアリスも疲れていて光は随分と弱まっていた。
「アリス、ディノに乗ってるだけでも体力使うだろうから下りておいで」
「うん……」
アリスはノアに言われてディノの体からズルリと滑り落ちた。そんなアリスをノアはしっかりと抱きとめてくれる。
もう限界だ。ここまではどうにか気力でカバーしてきたが、流石のアリスにも限界はある。何だか体の中が空っぽになった感じがしてノアに抱きつくと、ノアはアリスを抱きしめておでこにキスしてくれた。
「お疲れ様、アリス。もう十分だよ。君は本当によくやってくれた」
「そうですね。これはお嬢様でなければ出来ない事でしたから。ここから先は妖精王とオズ達に任せましょう」
そう言ってキリは珍しくぐったりとしたアリスの頭をポンポンと撫でた。そんなキリを見てアリスは少しだけ微笑む。
「……うん」
頑張った。この二人に褒められるのが何よりも嬉しいアリスだ。
特にキリにはいつもは鞭ばかりを貰うので、たまに配られる飴の美味しさと言ったら言葉には言い表せない。
ぐったりとしたアリスを見てノアはすぐにカインにまとまった食料を頼んだ。もうアリスの光は消えかけている。
そんなアリスの元に妖精王とオズワルドが近寄ってきた。
「北半球からは全員撤退させた。これで俺も力を使える。アリス、お前はもう休んでろ」
「すまなかったな、アリス。ここからは我とオズに安心して任せてくれ」
こんなにもぐったりしたアリスを見るのは初めてで、妖精王は何だか泣きそうになってしまった。アリスがここまでやったのだ。これ以上させては本当に妖精王の名が廃る。
妖精王とオズワルドの言葉にアリスはニコッと笑って親指を立てた。
「うん、任せたゾ! ニカ……グー」
アリスの意識はそこで途絶えた。
「あ、寝た」
突然寝落ちたアリスを見てポツリとノアが言うと、全員が頷く。
太陽のように光り倒して好き勝手に歌って大地を焦土にして回ったアリスは、残りの場所を妖精王とオズワルドに託して眠りについてしまった。
ノアはアリスをキリに預けて上着を脱ぐと、そこにアリスをそっと寝かせてやる。そんなアリスにいつかのようにドンとスキピオがまた花を添えていた。
「さて、それじゃあここから先は任せていいのかな?」
「ああ、もちろんだ。では行こうか、ディノ、オズ!」
ノアの言葉に妖精王は表情を引き締めた。そんな妖精王を見てオズワルドとディノも頷く。
「我らも行くぞ! 仲間たち」
そんな一同を空から見ていたヴァニタスが声を上げると、いつの間にかやってきていたアオサギの群れが北半球に向かって一羽、また一羽と飛び立って行く。
「では行こう! 我らの星を守るために!」
妖精王が声を上げて北半球に向かって進むと、その後をオズワルドとディノがついてきた。
しばらくすると、連絡を受けたカインがノア達の元にやってきた。
「おい、大丈夫かよ? アリスちゃんダウンしたって……うわ、マジじゃん。あ、はい、これローストビーフ」
「はは、ありがと。大分頑張ったからね。ついさっき寝落ちたんだよ」
ノアはカインから見事なローストビーフを受け取ってそれをそっとアリスの頭の上に置いてやった。
そこへ今度はリアンとオリバーがやってくる。
「ちょっと、アリス落ちたって……あ、またお供物されてる」
「ほんとっすね。いつか見た光景っす。あ、これローストビーフっす」
「ありがとね、二人共」
2つ目のローストビーフを並べて置いたノアがその光景を見て苦笑いしていると、そこへ続々と仲間たちがローストビーフを持ってやってきた。
「アリス! 大丈夫なの!?」
キャロラインは持ってきていたローストビーフをノアに渡して眠るアリスに覆いかぶさって涙を零しながら泥だらけになった顔の泥を拭ってやる。
「何てことなの……呪いの歌を歌いながら機嫌よく進んでいたと思ったら、こんな所で力尽きているなんて……」
一生懸命アリスの泥を拭うキャロラインを見てルイスがポツリと言う。
「キャロ、あれは呪いではなくてお前への賛美だったぞ……」
「え? 俺たちが聞いたのはルイスの悪口だったよな?」
「そうだねぇ~。この恨みは晴らさでおくべきかって言ってたもんねぇ~」
「俺たちが聞いたのはあいうえお作文だったが」
「ははは! 皆違う歌を聞いていたのかな?」
おかしそうにアンソニーが言うと、向かい側でノアが腕を組んで何かを考え込むようにアリスを見下ろしている。
「ねぇ、皆が凄く仲が良いのは分かるんだけど、どうして皆して同じもの持ってくるのかな?」
ノアがアリスを象るローストビーフに腕を組んで苦笑いすると、仲間たちもそんな光景を見て笑う。
「それは仕方ありませんよ、ノア。アリスと言えば肉ですから」
「シャルルまで!」
最後に現れたシャルルの手にもしっかりとローストビーフが握られていて、とうとうノアは吹き出した。
「で、今はどうなっているのかな?」
アンソニーが言うと、キリが今までの状況を説明している。
「なるほど。惜しいね。せめて最後はこの目で見たかったよ」
アンソニーが残念そうに言うと、アランがおもむろにどこからともなくモニターを取り出した。
「中継されていますよ? 見ます?」
「ん?」
「アリスさんの持っていたぬいぐるみを妖精王にお渡ししたので」
「え? あいつのぬいぐるみ?」
リアンが不思議に思って問いかけると、アランはコクリと頷く。
「ええ。アリスさんがずっと持っていたライラさんに貰ったという小さなぬいぐるみです。あれ、カメラが仕込んでありましたよ」
それに気付いたアランは気を失ったアリスから抜き取り妖精王に渡しておいたのだ。それを聞いてリアンは何とも言えない複雑な顔をしている。
「それで、あの子達は頑張ってるの?」
まるでもう我が子のような気持ちで妖精王とオズワルドを心配している観測者が言うと、アランがモニターのスイッチを入れた。それを全員で食い入るように見つめる。
これで本当に終わりだ。心の中でそんな事を誰もが考えていた。東の山の方から、ようやく今日の太陽が顔を出し始めていた。
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