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サイタマノヤギュ
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「おい、ここはどこだ。」
「はい?」
畑だろうか、見渡す限りマス目状に綺麗に整理された土地が広がっている。
先ほどまで帝都にある自宅に向かう馬車に乗っていたはずなのだが……
うたた寝をして降ろされたのであろうか?
見覚えがない景色に思考をめぐらす。
一体ここはどこなのか?
帝都在住のオリバー・フォン・コルバヤルシはそう思い、近くにいた黒髪のおばさんに声をかけた。
「ここは、一体どこなのだと聞いている。」
「あー!外人さんかい?ここはねぇ、サイタマって言うのよ。埼玉の柳生。オーケイ?」
サイタマノヤギュ……聞いたことがない。
一応コルバヤルシ伯爵家の跡取りとして地理も十分学んだつもりだったのだが、黒髪に黒い瞳という帝都ではなかなか見ない身体的特徴に比べ、特徴のある服や靴を履いている。
どこかの少数民族の居住区域なのだろうか。と悩んでいるとおばちゃんが声をかけてくる。
「外人さん、どこいきたいんだい?言葉はわかるのかい?」
考え込んでいた私の目の前で手を振り、問いかけてくる。
その仕草と言葉に多少のイラつきを覚える。
そういえば、先ほどから貴族子息である私に向かっていささか礼儀がなってなさすぎるのではないか。
しかし、このような田舎の者からしてみれば私が貴族だとはわからないだろうし、何よりこの民族が戦闘民族だったりしたら護衛も消えた今の状況でこちらから喧嘩を売るわけにもいくまい。
「オホン、言葉はわかりますともお嬢さん。して、私は帝都へと行く途中なのです。どうか道を教えてくださいませんか?」
「あらやだわぁ!お嬢さんだなんて!外人さんなのに日本語上手ね~!」
「いえいえ。して、帝都はどちらで?」
「テイト?テート?うーん……そんな駅聞いたことないわねえ……。あぁ!外人さんこっちおいで!駅員さんとこ連れてくから!」
しかし、私はその場に固まってしまっていた。
自分のことを伯爵家の人間だと言わなかったのは、もしこのサイタマノヤギュに住む民族が帝国に敵意を持っている部族などであれば、かっこうの人質になってしまう可能性を考えてのことだ。
しかしだ。
帝都を知らないといまこの女性は言った。
我が母国であるエルメディスタ帝国は大陸でもっとも広大な領地と長い歴史を持つ国である。
その帝都を知らない人間がいるとは……
「一体どれだけ離れたところへときてしまったんだ私は……」
「ちょっと?ちょっと外人さん?あたしも帰って夕飯の支度しないといけないんだからさ!早くしてちょうだいな外人さん。」
「あっ……ああ、すまない。行こうか。」
夢であればどれだけよかっただろう。
しかしこのおばちゃんに腕をはたかれた痛みが現実だと教えてくれる。
「はぁ……」
はたかれた左腕をさすりながら、おばちゃんについていくのであった。
* * *
「えっとぉー、テートに行きたいとのことですがぁー……、すみません外国語はわかりませんでぇ……」
「……そうか。」
おばちゃんに連れてきてもらったエキという場所の小さな小屋の中では先ほどから「帝都に行きたい」「帝都……?」という問答の繰り返しだった。
ちなみに、おばちゃんはエキについて私をエキインとやらに預けると自分の家へと帰ってしまった。
はじめは警備隊のような制服を着ているため期待をしていたのだが、結果はダメダメだった。
「とにかく私は帝都に「あのーすみませーん……あ!」」
再度会話を図ろうとしたところに小屋の扉が開かれる。
振り返ると、それは幼げに見える可愛らしい少女であった。
少女は私と目が合うと嬉しそうに笑顔を浮かべ、こちらへと近づいてきた。
「こんなところにいたんですね!アメリカからの留学生の方ですよね?名前は確か……あれ、なんだっけ?ワッチュアネーム?」
「私はオリバー・フォン・コルバヤルシという者だ。忘れていたのならすまないが、私は君を知らない。あなたは私を知っているのか?」
「うわ、日本語上手いですね!えと、私は#相良春華_さがらはるか_#といいます。」
「はい?」
畑だろうか、見渡す限りマス目状に綺麗に整理された土地が広がっている。
先ほどまで帝都にある自宅に向かう馬車に乗っていたはずなのだが……
うたた寝をして降ろされたのであろうか?
見覚えがない景色に思考をめぐらす。
一体ここはどこなのか?
帝都在住のオリバー・フォン・コルバヤルシはそう思い、近くにいた黒髪のおばさんに声をかけた。
「ここは、一体どこなのだと聞いている。」
「あー!外人さんかい?ここはねぇ、サイタマって言うのよ。埼玉の柳生。オーケイ?」
サイタマノヤギュ……聞いたことがない。
一応コルバヤルシ伯爵家の跡取りとして地理も十分学んだつもりだったのだが、黒髪に黒い瞳という帝都ではなかなか見ない身体的特徴に比べ、特徴のある服や靴を履いている。
どこかの少数民族の居住区域なのだろうか。と悩んでいるとおばちゃんが声をかけてくる。
「外人さん、どこいきたいんだい?言葉はわかるのかい?」
考え込んでいた私の目の前で手を振り、問いかけてくる。
その仕草と言葉に多少のイラつきを覚える。
そういえば、先ほどから貴族子息である私に向かっていささか礼儀がなってなさすぎるのではないか。
しかし、このような田舎の者からしてみれば私が貴族だとはわからないだろうし、何よりこの民族が戦闘民族だったりしたら護衛も消えた今の状況でこちらから喧嘩を売るわけにもいくまい。
「オホン、言葉はわかりますともお嬢さん。して、私は帝都へと行く途中なのです。どうか道を教えてくださいませんか?」
「あらやだわぁ!お嬢さんだなんて!外人さんなのに日本語上手ね~!」
「いえいえ。して、帝都はどちらで?」
「テイト?テート?うーん……そんな駅聞いたことないわねえ……。あぁ!外人さんこっちおいで!駅員さんとこ連れてくから!」
しかし、私はその場に固まってしまっていた。
自分のことを伯爵家の人間だと言わなかったのは、もしこのサイタマノヤギュに住む民族が帝国に敵意を持っている部族などであれば、かっこうの人質になってしまう可能性を考えてのことだ。
しかしだ。
帝都を知らないといまこの女性は言った。
我が母国であるエルメディスタ帝国は大陸でもっとも広大な領地と長い歴史を持つ国である。
その帝都を知らない人間がいるとは……
「一体どれだけ離れたところへときてしまったんだ私は……」
「ちょっと?ちょっと外人さん?あたしも帰って夕飯の支度しないといけないんだからさ!早くしてちょうだいな外人さん。」
「あっ……ああ、すまない。行こうか。」
夢であればどれだけよかっただろう。
しかしこのおばちゃんに腕をはたかれた痛みが現実だと教えてくれる。
「はぁ……」
はたかれた左腕をさすりながら、おばちゃんについていくのであった。
* * *
「えっとぉー、テートに行きたいとのことですがぁー……、すみません外国語はわかりませんでぇ……」
「……そうか。」
おばちゃんに連れてきてもらったエキという場所の小さな小屋の中では先ほどから「帝都に行きたい」「帝都……?」という問答の繰り返しだった。
ちなみに、おばちゃんはエキについて私をエキインとやらに預けると自分の家へと帰ってしまった。
はじめは警備隊のような制服を着ているため期待をしていたのだが、結果はダメダメだった。
「とにかく私は帝都に「あのーすみませーん……あ!」」
再度会話を図ろうとしたところに小屋の扉が開かれる。
振り返ると、それは幼げに見える可愛らしい少女であった。
少女は私と目が合うと嬉しそうに笑顔を浮かべ、こちらへと近づいてきた。
「こんなところにいたんですね!アメリカからの留学生の方ですよね?名前は確か……あれ、なんだっけ?ワッチュアネーム?」
「私はオリバー・フォン・コルバヤルシという者だ。忘れていたのならすまないが、私は君を知らない。あなたは私を知っているのか?」
「うわ、日本語上手いですね!えと、私は#相良春華_さがらはるか_#といいます。」
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