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一章~新入生親睦会~
Sクラス
しおりを挟むああ…怖かった。
3時限目の古文の授業中、昨日の事を思い出す。僕の放置した篠村 貴也は、美景の部下10名に三時間…マワサレタそうである。10名は、篠村に負けず劣らずのガチムチで…更に精神を抉る為に容姿の劣る者を選んだそうだ。
恐い。本気で恐い。男性恐怖症になるよ。下手したら。
今日はやはり篠村は欠席だった。水泳部や風紀委員の者達から、なんとなく視線は感じたが敢えて無視して置く。
僕は何もしてない。いや、まあ、したっちゃあしたけど。
くるくるとペンを回し、黒板の字を書き写す。そんな真面目に授業を受けるの者は数少ない。Sクラスの者は、大企業の縁者や名門の子息ばかり。教師を下に見る者が多いのだ。更に、教師自体もSクラスの生徒の機嫌を取る事が多い。
僕は完璧を目指すから、授業態度は完璧にするけどね?周りを見れば、直久は経営学の本を読んでいるし、恵に至っては堂々とパソコンを開いている。一応出席日数があるから、出てるだけだろうなあ。
「…ええと、それでは春宮君。101ページを読んで下さい。」
気弱な古典教師の言葉に、千里は「はい」と涼やかに返事をし立つ。途端に作業をする者は動きを止め、千里に目を向けた。
僕って、自慢では無いけどかなり好感持たれてる気がする。
「春眠暁を覚えず、処処啼鳥を聞く、夜来風雨の音、花落つること知る多少。」
「ありがとうございます。抑揚も完璧ですね!それでは解説を…。」
千里が座り教師が話し出すと、また生徒達は自分の世界に戻る。
確かこの教師は冬宮家の
下の下の家の者だっけ?直久の好きな僕の機嫌を損ねられないって事か。
千里は意外とこの分かりやすい学校内の関係を楽しんでいた。それは自分がヒエラルキーの頂点だからか?それとも、自分の立ち居振舞いで関係を変えられるから…かは分からないが。
古文の授業が終わり、昼休み前の短いホームルームの時間、担任教師が黒板に何かを書いていく。
『新入生親睦会』
ああ…そういえば聞いたなあ。確か、一年生のみの行事だっけ?
新入生歓迎会は既に終わっており、これは次に大きな行事らしい。 勿論、主として主宰するのはSクラスとA、Bクラスの少数である。
「…えーと、実行委員をしてくれる人は居ますか?」
大人しく真面目な担任は、少し困っている。自分より格段に身分の高い生徒達は、全く協力してくれる様子は無い。担任は、平凡な容姿で園原グループの社員である。園原会長…園原 美景の祖父に送り込まれた人物だ。
(ああ…胃が痛い。会社で働いていた方が遥かにマシだった。)
しかし、実行委員会を担任の独断で決める訳にはいかない。勝手に決めて、相手から恨みを買いたくはないからだ。
担任思いを知ってか知らずか、千里は素早く考える。
行事とかって…主宰しちゃった方が、安全だと聞いた気がする。親睦会だから、参加する方が何をさせらるか分からないよね。
「…田中先生。」
「は、はい?なんでしょうか、春宮君。」
学年1の美貌を誇る春宮の若君に声を掛けられ、担任田中は震える。
「良ければ、僕が実行委員をしましょうか?」
「……え!?あああ、はい。ぜ、ぜひ!あ、じゃあ、簡単な内容の進行をお願い致します。」
天の声と同様に思えた田中は、早速教壇前を千里に譲る。笑いそうになる千里の視線に、窓辺の椅子に座る安堵した担任。
田中先生って、本当分かりやすいよね。
千里が前に出ると、生徒達は動きを辞めて前を向く。美景など瞳を輝かせて、両手を組んでいる。
もう…可愛いなあ。小さく笑い、黒板に板書しようとして手を止めた。
「…ああ、誰か書記をしてくれると助かるな?」
ポツリと言えば、光の早さで美景がチョークを手に取る。
「お任せ下さいませ、千里様。」
「ありがとう。助かるよ美景。」
艶やかに笑みを向ければ、頬に朱を差す美少年。
「…じゃあ、実行委員の他5名と、親睦会のイベントを決めようか。」
サクサクと進める千里に、担任は更に小さくなり落ち込む。
(何でこんなに緊張が無いんだ?高校生が…。これが格差?)
しっかりと耳を傾ける生徒達に、千里は頭を回転させながら進める。確か、親睦会の実行委員のメンバーがそのまま、次回の生徒会になるって聞いたっけ。
僕が生徒会になるのは、以前打診されたから…なるべく親しい人が良いなあ。実行委員になりたい者を聞けば、クラスのほぼ半数の手が上がる。上げない者は、Sクラスでも規模の小さい家柄だろう。
「皆、ありがとう。そうだな…昼休み前だし、時間が掛かるのも困るだろうから、僕が決めても良いかな?」
勿論肯定が返される。
うーんと。
「一人目、美景。」
「…はい!畏まりました。」
(一人目…私が千里様の一番?)
「…二人目、直久。」
「ああ。分かった。」
(これで千里との時間が増えるな。)
「三人目、恵。」
「うん!よろしくね~。」
(やった!千里に選ばれた。ふふ、千里の横にはやっぱり僕だよね?)
「四人目、秋道寺。」
「え?マジで?メッチャ頑張るよ~千里ちゃん!」
秋道寺 明日霞。頭の軽そうなチャラい男だが、家は日本で三指に入る極道。自分の気に入った者のみ近づく秋道寺に逆らった者は、その数分後には生きた形跡すら残って居ない。
千里の父から注意する様に言われた一人でもある。
直久と仲は悪いが、千里が手綱を取っていけばなんとかなるだろう。たぶん。
「…五人目、守山。」
「………………。」
こくりと無言で頷かれる。
守山 智。父は警視総監、母は検察官のサラブレッド。味方にして損は無い。無口無表情だが、千里とはまた違う中性的美しさを持つ人物だ。
直久と秋道寺は、僕より背が高い。
美景、恵は僕より小さい。
守山は僕と同じ位。
うん、これでバランスがよくなった。
メンバーが決まり、大まかなイベントを決めると、昼休みの予鈴が鳴り響くのであった。
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