王子様が居ないので、私が王子様になりました。

由紀

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一章~新入生親睦会~

※激情(R18)side冬宮直久

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「…ああ、ん!…ふ、冬みや、さまあ!」

息も絶え絶えに喘ぐ少年の中で律動を繰り返し、ただ快感だけを求める。絶頂を向かえ、相手から抜くと相手の腹に射精し額の汗を腕で拭う。

「…ふゆ…みやさまあ…。」

甘えた声を上げる少年を一瞥し、別室の親衛隊を呼ぶ。

「…終わりだ。次を呼べ。」

親衛隊は慣れた様に、すがり抵抗する少年を連れて行くと、違う少年をベッドに置いて下がっていく。
微かに親衛隊隊長のため息が聞こえるが、無視してベッドに乗り上げる。

ギシリと音が鳴り、相手の少年が頬を朱に染める。乱雑に簡単な愛撫をし、また挿入を早々と始める。

秋道寺 明日霞。直久は苛立つ。何故か、千里は秋道寺を名前で呼ぶ様になった。園原や桜川の事はまだ良かった。あくまであいつらは、女と同じ役割だ。

だが、秋道寺は違う。あいつは、虎視眈々と得物を狙う男だ。何故、距離が縮まった?あいつが好きになったのか?

千里に当たりそうなのを抑え、八つ当たりに小柄な少年を抱き潰す。

許さねえ。千里は、俺のモノだ。
ふと、ある日の愛しい人を思い浮かべる。

『冬宮って、僕と似てるよね。』
「…はあ?何言ってんだ、春宮。」 
『あれ?分からないかな。結構簡単なんだけど。』

そうにクスクスと笑う姿は、あまりに美し過ぎた。 
下らない俺の人生に、優しさをくれた唯一の存在。

ーーーーーーーーーー



幼い頃から、直久は何でも出来、上に立つ資質があった。それに気付いた両親は、三男の直久を後継者として育て始めたのだ。

二人の兄は、直久を畏怖し嫉妬した。両親の見ていない所で二人がかりで暴力を振るう。それは、幼い直久の心に深く傷を付けた。それは、後の直久へ負の影響となってしまった。

両親は、直久を完璧に育てる為、全てを管理し友人も選んだ。全ては、直久の為では無く、三大名家の当主を作る為である。小学校に上がる頃には、直久は家族への情など無かった。

自分の機嫌を取る大人も、べたべたと体を触ろうとしてくる女も嫌いだった。

全員死ねば良いのに。

ただ、そう思うだけ。教育の一貫として、異性との夜の営みも行った。生理現象として、出すものは出したが心は惹かれない。男とした時は、女よりもまだ時間を潰せた気がした。子どもが出来る心配が無いからか。

中等部に入った時には、実力行使で兄二人を遠方に追いやり、寮に入り両親とも会う時間が減った。勝手にまとわりつく奴等を適当に相手をし、当主になる勉強を淡々とこなす。

当主になり、何が変わる?

適当な女と結婚し、出来た子どもを冬宮の当主として仕立て上げるだけだろう。

どうでも良い人生に嫌気が差す。

高等部の入学式、直久は参加せず校舎の屋上に居た。両親から送られて来た手紙を破り捨てる。

『今年はお見合いをし、婚約をして貰います。高等部を出たら、本格的に当主の仕事を始めて貰う予定です。』

くっだらねえ人生。

羨望の眼差しを送られる俺は、ただの空っぽの人形だ。俺は、ただの両親の作品でしかない。

自然と頬を伝う物。まだそんな感情がある事に僅かな驚きと共に、ただ自嘲する。

「…良い風だね。」

耳に響く柔らかな声に、驚き振り返る。
誰だ、コイツ見たことないな?外部からか?
艶やかな黒髪を一つに縛り、中性的な美貌の人物は直久の隣に来て景色を眺めた。

「……誰だ。」

何か言おうとするが、不思議と直久の口からはそれしか出ない。

「ん?僕は、春宮 千里。よろしくね。」

ふわりと笑う相手に、直久は初めて他者への興味が沸いた。春宮…三大名家の一つか。同じ年の跡継ぎが居たとはな。

「…俺は、冬宮 直久だ。」

そう、と春宮は頷く。

「なら、きっと同じクラスだね。嬉しいよ、君とは気が合いそうだ。」

何だコイツ。
ツラツラと言葉を重ねる相手に、直久は少し戸惑った。

本心なのか?それとも、同じ名家だからそう言うのか?
春宮の優しい言葉に、直久は既に素直になれない程の人格を形成してきてしまった。

「…バカじゃね?クラスなんか、どーでも良いだろ。つうか、卒業すれば俺らは親の道を通るだけ。今の事なんか、何の影響もねえから。」

さっさと何処か行けよ。何の期待もしねえ。誰にも…。

「…冬宮は、面白いね。」

相手の表情は、瞳が輝き楽しげに笑う。

「…………は?」
「ああ、ごめん。笑って。」

春宮は空を仰いで、両手を伸ばす。

「そうやって、客観的に将来を考える人に会ったのは初めてだよ。冬宮は、真剣に生きてるんだね。でも、僕は将来の道を作りたくて此処に来た。」

その真剣実を帯びた強く美しい表情は、直久の胸をつく。

「…春宮の奴が、道を作る為って可笑しくねえか?」

将来なんて、家を継ぐだけだろ。
直久の言葉に、春宮は曖昧に笑い手すりに寄りかかる。

「…僕にとっては、大事な3年間なんだよ。だから、この時間を大切に生きる。まずは、それからなんだ。」

面白いのは、どっちだ。それに…

「俺は、真剣になんか生きていない。俺の人生なんか、作られたモノだしな。」
「…ねえ、冬宮。」

直久は気付いていない。此処まで会話が続いたのは、いつ以来なのか。

「何だよ?」
「…冬宮は何歳?」
「15だが。」

何だ急に?んな当たり前の事…

「僕もだよ。」

春宮の笑顔に目を留める。初めてだった。不快を感じない笑顔を見るのは。

「人生って長いんだよ…今までの15年は、仕方ないと諦めて。これからの時間は、自分で作ってみるのはどうだい?」

風が吹き、春宮の髪が揺れる。
自分で、作る?

「…俺は、冬宮を継ぐ為の人生だ…。」
「うん。冬宮だからこそ、出来る事もあるんじゃないかな?」

君は…と春宮の言葉が続く。

「僕が欲しいものを持っている。凄く、素敵な物だよ。」

人生なんか、変えられる。そう言った相手の言葉に、くだらない記憶を消しゴムで消していくような気持ちを与えられた。

相手を見つめる。シミや黒子の無い綺麗な肌をしている。キリッとした瞳は、澄んだ黒。通った鼻筋に、形の良い唇。

何を考えてんだ。俺は、変態か?

「…春宮。」
「ん?」

首を傾げる仕草さえ、心を奪われた。

「…俺は、自分で、人生を変えてやる。」

家族さえ見たことの無い、直久は本当の笑顔を浮かべる。

「うん。君なら大丈夫だよ。」

それを見て、春宮の口元が綻ぶ。
春宮 千里。俺を変えてくれた綺麗な優しい人。


ーーーーーーーーーーー



ぼんやりと、直久の思考が戻った。乱暴に抱く相手は、既に意識を無くしていた。親衛隊に渡し、直久はぎゅっと目を閉じる。

千里……………。
お前が欲しい。



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