54 / 126
びば学園生活24
しおりを挟むうん。無理でした。
学校に向かって歩き出したアルフレッドだが、身体中を悪寒が駆け巡った瞬間に心が砕けた。
思い出すなあ。前世は冬になると、数年に一回は風邪引いたものだ。今世はこの体の性質なのか、体調を崩すなんて無かったから。
足を引き摺り向かうは仮眠室。付かず離れず居た護衛の1人を手招きする。「…ファビアンには寝不足、エドウィンには酒による不調と伝えてくれ。あと、エドウィンには口止めを。学校側には…軽い体調不良とだけ頼む。」
「畏まりました。」と機敏に対応する護衛を見送り、他の護衛には外での待機をお願いする。ラティーフは中等部だし、チコは普通科なので気付かれない…と思う。いつもゴメンよ、護衛君達。
仮眠室に入り、窓側のシンプルな寝台に倒れ込む。ブレザー位は脱いだ方が良いけれど、体は悲鳴を上げていた。あー、やっと休める。
*
ふと目が覚め、瞼を開けた目に映る窓からの陽射し。
微睡む視界の中で映る光は、体感として昼過ぎ頃だろうか。うつ伏せで制服のまま眠ってしまったからか、体の節々が固まってしまっており、起き上がるまでかなりの労力を使う。寝台の上で座ってみたものの、顔を覆って呻くだけ。
…寝たけど寝た気がしないと言うか、楽にはなったと思いたいんだけど、あれ?まあまあ、まだ寝起きだから辛いだけ…。
思案を止めて、ぼんやり床へ視線を落とす。今度は天井へ視線をずらして少しずつだが脳を覚醒を促し、周囲の気配を認識し始める。
勢いで入った広い室内は以前利用した個室では無く、不特定多数の利用出来る大部屋だった。室内には4つの寝台がカーテンで仕切られている。眠る前に力を振り絞って閉めたカーテンに手を伸ばし、開ける…のを止めた。
耳に入る熱を帯びた甘い声に、荒い息遣いと想像力を駆り立てる水音。カーテンの隙間から見える、斜め向かい側の寝台で絡み合う二人組。何をしているのかは想像に容易い。
…大部屋では止めてくれませんかね。カーテン閉めてたから誰か居るって分からないかな!俺も仮眠室で前やっちゃったから人の事は言えないけど、せ・め・て…個室で!
出て行く事を諦めて、仕方なく布団を覆い被さってなるべく耳に入れない様にする。それでも、ただの布を通り過ぎる音は予想以上である。
早く終われ早く終われ早く終われ早く終われ早く終われ早く終われ…アルフレッドの熱心な思いが通じたのか偶然か、カーテンの開く音と共に会話が続く。
『…今回も中々悪く無かった。なあ、ビム?やはり手付き人なのが惜しいな、妾に召し上げたいものだ。』
『身に余る光栄です。勿体ないお言葉。』
『ははは!体は良いのに、本当に可愛げの無い奴だな。笑顔の一つも見せ無いとは、そこが気に入ってるんだが。…まあ良い、次回も楽しませて貰うぞ。』
『…承知、有難き幸せです。』
タチとネコの関係らしいが、何だかハレム内の関係じゃないらしい。尊大なよく見かける種類のタチと、手付き人の固い口調のネコといった雰囲気か。
姿は見えないが、タチは2学年以上なのは確実。
タチが出て行ってからネコの衣擦れの音が響く。彼が出て行くのを待とう。と思ってからそれなりの時間は経っていったのだが、一向に扉を開ける様子は感じない。
どうする?このままいつまでも此処に居てもな…。よし。
「…ふわー。よく寝たなあー。」
今起きましたよーって言うのを装って、腕を上げながら肩の凝りを大袈裟にほぐし、視線は扉を真っ直ぐ見据えて気付かない振りを貫く。一点集中。
「あー、もう昼かあ。食堂にでも行って食事にするかー。」
うん、すっごい視線感じる。ビシバシというか、突き刺さるというか。我慢しろ、絶対目を合わせるな。あくまで今さっき起きたばかりで、誰が居たのかも知りませんよ…で行け。
よし、オッケー。このまま扉を開けて…出られたから、後は閉めれば完璧。
「…これだからタチは…#◆▽▲~~■%∂□。」
閉めながら聞こえた吐き捨てられた嫌悪。声を低めていたのと、後半は共通語では無い言語に混乱する。何より、放たれたタイミングを思うに俺へ向けて放たれた気がする。ジルックェンド、バルディオス語じゃ無かった。フォーランは舌の使い方が違うので除外。
セリアル国の言葉だな。ゆっくりなら聞き取りだけは出来るけど、早口で声が小さかったから分からなかった。それにセリアル国は地域によって、抑揚や声の出し方の違いが大きい。
えーっと思い出せ。#◆▽▲~~■%∂□…音の雰囲気は掴めたが、まったく分からない。響きとしては、何となく否定の音が入っているって事だけ。チコにでも聞いてみるか。
36
あなたにおすすめの小説
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
俺、転生したら社畜メンタルのまま超絶イケメンになってた件~転生したのに、恋愛難易度はなぜかハードモード
中岡 始
BL
ブラック企業の激務で過労死した40歳の社畜・藤堂悠真。
目を覚ますと、高校2年生の自分に転生していた。
しかも、鏡に映ったのは芸能人レベルの超絶イケメン。
転入初日から女子たちに囲まれ、学園中の話題の的に。
だが、社畜思考が抜けず**「これはマーケティング施策か?」**と疑うばかり。
そして、モテすぎて業務過多状態に陥る。
弁当争奪戦、放課後のデート攻勢…悠真の平穏は完全に崩壊。
そんな中、唯一冷静な男・藤崎颯斗の存在に救われる。
颯斗はやたらと落ち着いていて、悠真をさりげなくフォローする。
「お前といると、楽だ」
次第に悠真の中で、彼の存在が大きくなっていき――。
「お前、俺から逃げるな」
颯斗の言葉に、悠真の心は大きく揺れ動く。
転生×学園ラブコメ×じわじわ迫る恋。
これは、悠真が「本当に選ぶべきもの」を見つける物語。
続編『元社畜の俺、大学生になってまたモテすぎてるけど、今度は恋人がいるので無理です』
かつてブラック企業で心を擦り減らし、過労死した元社畜の男・藤堂悠真は、
転生した高校時代を経て、無事に大学生になった――
恋人である藤崎颯斗と共に。
だが、大学という“自由すぎる”世界は、ふたりの関係を少しずつ揺らがせていく。
「付き合ってるけど、誰にも言っていない」
その選択が、予想以上のすれ違いを生んでいった。
モテ地獄の再来、空気を読み続ける日々、
そして自分で自分を苦しめていた“頑張る癖”。
甘えたくても甘えられない――
そんな悠真の隣で、颯斗はずっと静かに手を差し伸べ続ける。
過去に縛られていた悠真が、未来を見つめ直すまでの
じれ甘・再構築・すれ違いと回復のキャンパス・ラブストーリー。
今度こそ、言葉にする。
「好きだよ」って、ちゃんと。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
腐男子♥異世界転生
よしの と こひな
BL
ある日、腐男子で新卒サラリーマン・伊丹トキヤの自室にトラックが突っ込む。
目覚めたトキヤがそこで目にしたのは、彼が長年追い続けていたBL小説の世界――。しかも、なんとトキヤは彼が最推しするスパダリ攻め『黒の騎士』ことアルチュール・ド・シルエットの文武のライバルであり、恋のライバルでもあるサブキャラの「当て馬」セレスタン・ギレヌ・コルベールに転生してしまっていた。
トキヤは、「すぐそばで推しの2人を愛でられる!」と思っていたのに、次々と原作とは異なる展開が……。 ※なろうさん、カクヨムさん、Caitaさんでも掲載しています。
実は俺、悪役なんだけど周りの人達から溺愛されている件について…
彩ノ華
BL
あのぅ、、おれ一応悪役なんですけど〜??
ひょんな事からこの世界に転生したオレは、自分が悪役だと思い出した。そんな俺は…!!ヒロイン(男)と攻略対象者達の恋愛を全力で応援します!断罪されない程度に悪役としての責務を全うします_。
みんなから嫌われるはずの悪役。
そ・れ・な・の・に…
どうしてみんなから構われるの?!溺愛されるの?!
もしもーし・・・ヒロインあっちだよ?!どうぞヒロインとイチャついちゃってくださいよぉ…(泣)
そんなオレの物語が今始まる___。
ちょっとアレなやつには✾←このマークを付けておきます。読む際にお気を付けください☺️
平凡なぼくが男子校でイケメンたちに囲まれています
七瀬
BL
あらすじ
春の空の下、名門私立蒼嶺(そうれい)学園に入学した柊凛音(ひいらぎ りおん)。全寮制男子校という新しい環境で、彼の無自覚な美しさと天然な魅力が、周囲の男たちを次々と虜にしていく——。
政治家や実業家の子息が通う格式高い学園で、凛音は完璧な兄・蒼真(そうま)への憧れを胸に、新たな青春を歩み始める。しかし、彼の純粋で愛らしい存在は、学園の秩序を静かに揺るがしていく。
****
初投稿なので優しい目で見守ってくださると助かります‼️ご指摘などございましたら、気軽にコメントよろしくお願いしますm(_ _)m
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新!
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新!
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる