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いざバルディオス帝国XV
しおりを挟む「エドウィン、悪いが下がってくれるか?」
「承知致しました。」
素直に部屋から出た正室が、扉を閉めるのを確認してからが勝負。ルキウスの腕を掴み、室内のソファーに押し倒す。驚くルキウスの耳元で「合わせて」と囁くと、無言で頷いてくれた。
ソファーの位置は扉に向かい正面で、ルークからはルキウスの姿は死角になっている筈だ。
目を見開くルークに顔だけ上げる。
「悪いな、まだ終わって無くてな。どうせなら目の前で証人になってくれよ。」
「え。」
口角を上げて、嫌な言い方を意識する。
驚き固まるルークを無視し、見上げて来るルキウスに手を伸ばす。ネグリジェの上から身に付けていた羽織りを剥ぎ取り、勢い良く放り投げる。
「…ルキウス、着ている物を全て脱げ。」
「か、畏まりました。」
皇子への冷たい命令口調と呼び捨て…。何か察した様な表情だが、勿論ルークには見えていない。ルキウスの衣服を脱ぐ衣擦れの音だけが響く。
下着に掛けた手だけはこっそり止めて、首元に舌を這わせる。態とらしいピチャピチャと水音を立てながら「嫌がって」と囁く。
実際ならば、タチに反抗しないのだ。家柄の良い者なら尚更。
「…っ嫌、やめ、やめて下さい!」
横目に見るルークの顔は動揺が見え隠れしていた。たたらを踏む足元は顕著であり、アルフレッドの作戦は悪くなさそうだ。
今まで出会って来たタチの中で、自分が不快に思う話し方や振る舞いを思い浮かべていく。ルークもコションのチコへのやり口を良く思ってくいなかったよな。
「…煩いな。少し躾が必要か?」
右手を振り上げ、ルークの見えない位置で自身の左手を勢い良く叩く。タイミング良くルキウスも悲鳴を上げてくれた。
「っアルフレッド。」
お?そろそろ限界か?
顔を上げてみるが、そのまま口を閉ざしてしまうルーク。まだ足りないのか…と、片眉を上げて瞬間表情を切り替える。冷たく、まるで家の中を這う虫を見る様に目を眇める。
「全く、黙って足を開けよな。」
「…はい。」
弱弱しいルキウスの声と、呼応する様に近付く足音に、さも不思議そうな表情を作っておく。
無気力だったルークの頬に、赤みが差した。血が昇ってきたようだ。
「アルフレッド!」
「どうした?ルーク。」
「その…。ルキウスは、バルディオスの第1皇子なのだから…その扱い方は驚くのかもしれないな。」
遠回しだが、身分に合った対応をしろと言いたいらしい。
お前が言うのか…と呆れそうな心情を押し殺す。
肩を竦め、嫌味な笑みを意識する。自分だったらこんな奴ぶん殴っていただろうな。
「うん?正式な場で譲り受けても居ない、捨てられたネコだろ?…ハレムの者には出来ない扱いを楽しめそうだ。助かったよ、ルーク。」
「……っ。」
何か言いたげに奥歯を噛み締めているタチ。ソファーの上のルキウスの瞳は期待が込められる。
飲み込んだか…。それを言ってくれよ。
強く握られた拳が開かれ、一歩此方に近付いて来る。
「君は、ネコにそういった扱いはしないだろ。」
「うん?俺の何を知ってるんだよ。ああ、勿論自分から選んだネコは可愛がるさ。だが、他人の手がついた物を大事にするか?ハッ…汚いだろ。」
上から目線で尊大な口調、相手を馬鹿にし切った態度を徹底する。内心は心臓の音が早まっていくのが判るが、とにかく知られない様に演技を続ける。
冷たい一瞥と共に、ルキウスへ覆い被さろうとする。…が、強く掴まれた手首に顔を捻る。
「っお前!」
「…離せ。俺よりもクラスが低い癖に何様だ?」
「このっ!クソッ…お前そんな奴だったのか?!」
いっでええ!!
握り潰されそうな手首に意識を向けない様に口端を吊り上げて、怒りを露わにするルークへ嘲笑する。
「思い違いをしてたのはそっちだろ?残念だな。お前の捨てたネコは、飽きるまでは俺の玩具にさせて貰う…っ!」
不安定な体制で、頬を殴り飛ばされて床に思い切り背中から叩きつけられる。ルキウスの悲鳴と、ルークの怒鳴り声は妙にクリアだった。
「ふざけるな!お前みたいな奴に誰がやるかよ、ルキウスは俺のネコだ!」
「……。」
「…っルーク様。」
殴られた俺を見て立ち上がり顔を青ざめるルキウスだったが、ルークの発言にみるみる感涙に咽ぶ。
ごちそうさまです。
脳内で拍手をしつつ、きっと腫れ出しただろう頬の痛みは後回しだ。怒りで顔を赤くするルークに溜め息が漏れ、打ちつけた背中を摩りながら何とか起き上がり座り込む。
「…うん。返すから、それルキウスに言ってやれ。」
「え…?」
呆れ口調のアルフレッドと、涙を流すルキウスの顔を交互に見るルークは少しずつ冷静さを取り戻して行った。
「…な、え…うっ…」と狼狽する姿に、大人びた普段の彼とは異なる少年らしさが垣間見える。
「…ルーク様!私、嫌です!離れたく無いです!側に…居させて…。お願いですから。」
「ルキウス。…ごめん。…ごめんな。」
抱き付いたルキウスの背中に回す手は、躊躇いながらも最後は力強く回された。
はあ…疲れた。
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