7 / 12
閑話 魔族陣営・魔王復活の儀式
第7話 危険な少女シャイタン
しおりを挟む
復活の儀式が失敗し幼女になってしまった魔王を。そんな魔王をなんやかんやあって半ば誘拐する様に連れ去ったシャイタン。無計画で突発的な犯行だったが、幸いにして魔族の住む最果ての島は常に天候が悪く、さらに夜間ともなればほとんど見通しが利かないため、気絶した幼女を抱えて疾走する怪しい姿を誰かに見られることはなかった。
シャイタンは無事自宅へと帰還すると、いまだ眠ったままの幼女を寝室へと運び、自身のベッドへ横たえさせた。
「すやぁ。」
魔王ヤクサヤはまったく目覚める気配がなく、呑気に眠りこけている。
ところで魔族の少女シャイタンは一人暮らしである。見た目こそ幼いが、既に魔族としての成人年齢に達しており、実家を出て自立しているのだ。なお彼氏は居ないが募集もしていない。話が逸れたが、一人暮らしゆえ家人に連れ込んだ幼女を見られる心配はないのだ。
「なんだか疲れましたね。私も寝るとしますか。」
少女は独り言をこぼすとふわぁっとあくびをして、眠っている魔王のベッドにいそいそと潜り込んだ。一人暮らしのためベッドは当然一つしかなく、やむを得ない対応なので他意はない。少女はその強大な力のためか、自宅に呼ぶような気の知れた友人はおらず、来客用の予備寝具も用意していないのだ。
魔王復活から自宅に逃げ帰るまでの間はかなり忙しなかったため、魔王の顔をちゃんと見ていなかったな、と気づいた少女は眠っている幼女の顔を覗き込んだ。すると鼻腔をくすぐる心地よい香りを感じた。
「小さい子特有の甘い匂いがしますねぇ。」
言動が危ない人(魔族)のそれである。
少女は魔王の顔があどけない幼女そのものであると確認すると、次いでその頬をむにっとつまみ、さらに腕や足、腹部をわさわさとまさぐった。
「んにー。むあー。」
魔王はあちこち触られたせいか妙な鳴き声を上げて顔をしかめた。しかし起きる気配はまるでない。
「全然起きないですねぇ。ぐへへーイタズラしちゃうぞー。なんちゃって。」
既にかなりのイタズラをしていると思うが、それを見とがめる者は残念ながらこの場にはいない。
シャイタンは子供好きであるのに加えて少々そっちの気、すなわち自身より小さな少女に対する度し難い関心があったが本人に自覚はない。
「完全に小さな子供そのものですね。魔王様が自身に封印をかけるきっかけにもなったという致命傷・・・ともすればその治癒のために身体構成要素を消耗し、その結果体が縮小したのかとも思いましたが、どうやら一時的な弱体化とかそういう次元ではなく、若返りあるいは転生とでもいうべき状態の変化が起きている雰囲気です。」
シャイタンは眠っている幼女にただイタズラしていたわけではなく、魔王の現在の状況を確認していたのだ。それは魔王に起きている変化が、実は自身の瑕疵とは無関係なのではないか、と淡い期待を抱いての調査だった。彼女は自身が儀式中に気を逸らし魔力を暴発させてしまったのは分かっていたが、失敗するにせよ魔王が幼女化するなどという異常事態は想定外であったため、自身の失敗とは別の要因があると考えるのはある意味自然だった。
そして状況確認の結果、残念ながらシャイタンの魔力の暴発が魔王幼女化の主因であろうと結論付けざるを得ないのだった。
「やはり私のせいですかねこれは。」
少女は無慈悲な現実を目の当たりにすると、ふーっとため息をついて仰向けに寝転がった。
シャイタンがふと横を見ると、魔王と自身の体がちょうど横並びになって比較しやすい状態である事に気付いた。シャイタンは同年代の魔族よりかなり幼い外見をしており決して大柄ではないのだが、魔王はそんな彼女よりさらに頭一つ分は背が低く、その胸は一見すると男児と見紛うほど平坦であった。シャイタンは幼い姿の魔王を、その可愛らしい顔と声から幼女だと思い込んでいたが、よもやと言うこともあるので念のため性別を確認することにした。
その方法はというと・・・事もあろうに無防備に眠る魔王の下着をめくり、その股間を確かめたのだ。それも躊躇の欠片もない動きで。お巡りさんこの人です。
「むー。」
下着をめくられお腹が冷えたのか、魔王はまたしても妙な鳴き声を出している。そしてやはり起きる気配はない。
「なるほど、女の子ですね。」
シャイタンは魔王の魔王自身をしっかりと確認すると、何事もなかったように着衣を元に戻した。そして魔王は見た目通りの幼女であると確証を得たのだった。
断りを入れておくと、魔族は誰でも他人の股間を覗き見る事に躊躇が無いというわけではなく、シャイタンが特殊なだけである。魔王クラスの力を持つ変異体の魔族である影響か、その精神は変異体ならぬ変態だった。
こうして、魔王の現状確認を済ませたシャイタンは、やり切ったいい笑顔で眠りにつくのだった。悪い奴程よく眠るというが、一切の悪気なく、また誰に気付かれることもなく悪事を働き、なんの引け目もなくぐっすり眠る少女の行為は正にそれである。
一方魔王はというと相変わらずぐっすりと眠っていた。何をされても頑として起きないのは強者の貫禄か、はたまた見た目通りの幼女であるがゆえか。いずれにせよ大物であることは自他ともに認める公然の事実であった。
奇妙な出会いから始まった二人の関係は、魔族社会全体に波及する大きな変化の明確な開始点となるのだが、今はまだそれに気づくものは居ない。
シャイタンは無事自宅へと帰還すると、いまだ眠ったままの幼女を寝室へと運び、自身のベッドへ横たえさせた。
「すやぁ。」
魔王ヤクサヤはまったく目覚める気配がなく、呑気に眠りこけている。
ところで魔族の少女シャイタンは一人暮らしである。見た目こそ幼いが、既に魔族としての成人年齢に達しており、実家を出て自立しているのだ。なお彼氏は居ないが募集もしていない。話が逸れたが、一人暮らしゆえ家人に連れ込んだ幼女を見られる心配はないのだ。
「なんだか疲れましたね。私も寝るとしますか。」
少女は独り言をこぼすとふわぁっとあくびをして、眠っている魔王のベッドにいそいそと潜り込んだ。一人暮らしのためベッドは当然一つしかなく、やむを得ない対応なので他意はない。少女はその強大な力のためか、自宅に呼ぶような気の知れた友人はおらず、来客用の予備寝具も用意していないのだ。
魔王復活から自宅に逃げ帰るまでの間はかなり忙しなかったため、魔王の顔をちゃんと見ていなかったな、と気づいた少女は眠っている幼女の顔を覗き込んだ。すると鼻腔をくすぐる心地よい香りを感じた。
「小さい子特有の甘い匂いがしますねぇ。」
言動が危ない人(魔族)のそれである。
少女は魔王の顔があどけない幼女そのものであると確認すると、次いでその頬をむにっとつまみ、さらに腕や足、腹部をわさわさとまさぐった。
「んにー。むあー。」
魔王はあちこち触られたせいか妙な鳴き声を上げて顔をしかめた。しかし起きる気配はまるでない。
「全然起きないですねぇ。ぐへへーイタズラしちゃうぞー。なんちゃって。」
既にかなりのイタズラをしていると思うが、それを見とがめる者は残念ながらこの場にはいない。
シャイタンは子供好きであるのに加えて少々そっちの気、すなわち自身より小さな少女に対する度し難い関心があったが本人に自覚はない。
「完全に小さな子供そのものですね。魔王様が自身に封印をかけるきっかけにもなったという致命傷・・・ともすればその治癒のために身体構成要素を消耗し、その結果体が縮小したのかとも思いましたが、どうやら一時的な弱体化とかそういう次元ではなく、若返りあるいは転生とでもいうべき状態の変化が起きている雰囲気です。」
シャイタンは眠っている幼女にただイタズラしていたわけではなく、魔王の現在の状況を確認していたのだ。それは魔王に起きている変化が、実は自身の瑕疵とは無関係なのではないか、と淡い期待を抱いての調査だった。彼女は自身が儀式中に気を逸らし魔力を暴発させてしまったのは分かっていたが、失敗するにせよ魔王が幼女化するなどという異常事態は想定外であったため、自身の失敗とは別の要因があると考えるのはある意味自然だった。
そして状況確認の結果、残念ながらシャイタンの魔力の暴発が魔王幼女化の主因であろうと結論付けざるを得ないのだった。
「やはり私のせいですかねこれは。」
少女は無慈悲な現実を目の当たりにすると、ふーっとため息をついて仰向けに寝転がった。
シャイタンがふと横を見ると、魔王と自身の体がちょうど横並びになって比較しやすい状態である事に気付いた。シャイタンは同年代の魔族よりかなり幼い外見をしており決して大柄ではないのだが、魔王はそんな彼女よりさらに頭一つ分は背が低く、その胸は一見すると男児と見紛うほど平坦であった。シャイタンは幼い姿の魔王を、その可愛らしい顔と声から幼女だと思い込んでいたが、よもやと言うこともあるので念のため性別を確認することにした。
その方法はというと・・・事もあろうに無防備に眠る魔王の下着をめくり、その股間を確かめたのだ。それも躊躇の欠片もない動きで。お巡りさんこの人です。
「むー。」
下着をめくられお腹が冷えたのか、魔王はまたしても妙な鳴き声を出している。そしてやはり起きる気配はない。
「なるほど、女の子ですね。」
シャイタンは魔王の魔王自身をしっかりと確認すると、何事もなかったように着衣を元に戻した。そして魔王は見た目通りの幼女であると確証を得たのだった。
断りを入れておくと、魔族は誰でも他人の股間を覗き見る事に躊躇が無いというわけではなく、シャイタンが特殊なだけである。魔王クラスの力を持つ変異体の魔族である影響か、その精神は変異体ならぬ変態だった。
こうして、魔王の現状確認を済ませたシャイタンは、やり切ったいい笑顔で眠りにつくのだった。悪い奴程よく眠るというが、一切の悪気なく、また誰に気付かれることもなく悪事を働き、なんの引け目もなくぐっすり眠る少女の行為は正にそれである。
一方魔王はというと相変わらずぐっすりと眠っていた。何をされても頑として起きないのは強者の貫禄か、はたまた見た目通りの幼女であるがゆえか。いずれにせよ大物であることは自他ともに認める公然の事実であった。
奇妙な出会いから始まった二人の関係は、魔族社会全体に波及する大きな変化の明確な開始点となるのだが、今はまだそれに気づくものは居ない。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
莫大な遺産を相続したら異世界でスローライフを楽しむ
翔千
ファンタジー
小鳥遊 紅音は働く28歳OL
十八歳の時に両親を事故で亡くし、引き取り手がなく天涯孤独に。
高校卒業後就職し、仕事に明け暮れる日々。
そんなある日、1人の弁護士が紅音の元を訪ねて来た。
要件は、紅音の母方の曾祖叔父が亡くなったと言うものだった。
曾祖叔父は若い頃に単身外国で会社を立ち上げ生涯独身を貫いき、血縁者が紅音だけだと知り、曾祖叔父の遺産を一部を紅音に譲ると遺言を遺した。
その額なんと、50億円。
あまりの巨額に驚くがなんとか手続きを終える事が出来たが、巨額な遺産の事を何処からか聞きつけ、金の無心に来る輩が次々に紅音の元を訪れ、疲弊した紅音は、誰も知らない土地で一人暮らしをすると決意。
だが、引っ越しを決めた直後、突然、異世界に召喚されてしまった。
だが、持っていた遺産はそのまま異世界でも使えたので、遺産を使って、スローライフを楽しむことにしました。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
今日からはじめる錬金生活〜家から追い出されたので王都の片隅で錬金術店はじめました〜
束原ミヤコ
ファンタジー
マユラは優秀な魔導師を輩出するレイクフィア家に生まれたが、魔導の才能に恵まれなかった。
そのため幼い頃から小間使いのように扱われ、十六になるとアルティナ公爵家に爵位と金を引き換えに嫁ぐことになった。
だが夫であるオルソンは、初夜の晩に現れない。
マユラはオルソンが義理の妹リンカと愛し合っているところを目撃する。
全てを諦めたマユラは、領地の立て直しにひたすら尽力し続けていた。
それから四年。リンカとの間に子ができたという理由で、マユラは離縁を言い渡される。
マユラは喜び勇んで家を出た。今日からはもう誰かのために働かなくていい。
自由だ。
魔法は苦手だが、物作りは好きだ。商才も少しはある。
マユラは王都の片隅で、錬金術店を営むことにした。
これは、マユラが偉大な錬金術師になるまでの、初めの一歩の話──。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる