【完結】傲慢王子エデンと内気男爵リオンの恋模様

えるろって

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第17話 舞踏会、開幕

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「殿方も淑女も、どうぞ中央へお集まりください」

 
宰相の宣言とともに、豪華な舞踏会が始まる。大きなシャンデリアが照らす広間には、色鮮やかな衣装に身を包んだ貴族たちが集い、美しい音楽が流れ始めた。

 
リオンは広間の片隅で緊張した面持ちで立っている。いつもよりも高価な生地の礼装をまとい、父アルベールの隣に控えていた。

 
「リオン、深呼吸しておけ。顔が強張っているぞ」

 
アルベールの優しい声に、リオンは小さく息を整える。目を向ければ、社交界の中心にいるのは王家の者たち。もちろん、エデンもその中にいる。

 
「……殿下、いらっしゃいますね」

 
リオンの視線の先で、エデンは華やかな人々に囲まれている。金色の髪が照明に映え、まるで舞踏会の主役のように見える。リオンは思わず胸が高鳴るが、同時に不安も募る。

 
「男同士で踊るなんて、認められるはずがない」

 
小声で呟く自分に対して、どこか諦めきれない気持ちがある。それでも一縷の望みを抱いているのは、エデンが「考えておく」と言ったからだ。

 
やがて音楽が始まり、貴族たちが次々とパートナーを見つけてホールの中央へ向かう。リオンはそれをただ見つめるだけだったが、ふと視界の端にエデンの姿を捉えた。彼がこちらをちらりと見たように思える。

 
「リオン、行きなさい」

 
アルベールが背を押すように励ます。リオンは緊張を飲み込み、意を決してエデンの方へ足を踏み出す。周囲の視線が痛いほどに突き刺さるが、それでも止まれない。

 
「……殿下」

 
リオンが声をかけると、エデンはゆっくりと振り返る。周りには数名の貴族や令嬢がいて、皆エデンに踊りの申し込みをしているようだ。男同士のリオンが入っていく状況は、明らかに異様かもしれない。

 
「お前……」

 
エデンは周囲の視線を意識しながら、低い声でリオンに話しかける。リオンはそれを受け止め、勇気を振り絞る。

 
「殿下、僕と……踊っていただけませんか」

 
その言葉に周囲がざわめく。令嬢たちは驚きの表情を浮かべ、呆然とリオンを見つめる。エデンも一瞬だけ瞳を揺らすが、すぐに強気な口調を取り戻す。

 
「……いいだろう。お前がどうしてもと言うなら、俺が相手をしてやる」

 
あまりに堂々としたエデンの宣言に、令嬢たちは怯むように身を引く。リオンは思わず安堵し、同時に周囲の冷たい視線をひしひしと感じる。だが、その瞬間、胸が熱くなる。

 
「ありがとうございます……!」

 
リオンはエデンの手を取る。男同士が向かい合う光景に、広間の空気が変わった。音楽が鳴り響く中、リオンはエデンと共にダンスの輪へ加わる。
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