【完結】傲慢王子エデンと内気男爵リオンの恋模様

えるろって

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第18話 優雅なステップ、心の乱れ

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「動きがぎこちないぞ。もう少し力を抜け」

 
エデンが淡々と指示する。周囲の視線が集まりすぎて、リオンは緊張で身体がこわばっていた。男同士で踊るなんて場違いにもほどがある、そう分かってはいても、すでに後には引けない。

 
「す、すみません……緊張してしまって」

 
リオンは必死にステップを合わせようとする。だが、エデンの腕に軽く触れるだけで心臓が跳ねそうになる。エデンの香りや体温を近くに感じながら、音楽に合わせて回るたび、頭が真っ白になりそうだ。

 
「いいか、音楽を聞け。俺の足を見ずに、リズムを感じるんだ」

 
エデンの声はいつものように冷静で強気。だがリオンは、その奥にほんの少しの優しさを感じる。まるで自分が失敗しないように、しっかりリードしてくれているようだ。

 
「はい……殿下、ありがとうございます」

 
そう言いながらリオンが目を上げると、エデンの深い瞳がこちらを真っ直ぐ見つめているのに気づく。周囲の喧騒が遠のき、まるで二人だけの世界に入ったかのような錯覚を覚える。

 
「(殿下は……なんて綺麗なんだろう)」

 
そう思った瞬間、リオンの足が絡まりそうになる。慌てて体勢を崩しかけたところを、エデンがすかさず支えてくれた。

 
「油断するな。……恥をかかせる気か」

 
エデンの耳元で小さく囁く声が聞こえる。どこか苛立ち混じりだが、リオンはその一言さえ嬉しく感じる。

 
「すみません……でも、殿下が支えてくださったから」

 
何とか態勢を取り戻し、ステップを続ける。エデンはそっとリオンの腰を引き寄せ、目線を合わせる。周囲のざわつきがますます大きくなっているのが分かるが、リオンの意識はエデンに集中していた。

 
曲が終盤に近づくと、エデンはリオンをリードして優雅にターンさせる。最後の決めのポーズでリオンを支え、曲が途切れた瞬間、二人は互いを見つめ合ったまま静止した。

 
広間には一瞬だけ静寂が降りる。その後、パラパラと小さな拍手が起こるが、その裏では戸惑いや不快感を示す視線も少なくない。特に、エデンに好意を寄せていた貴族の令嬢たちは、唖然とした表情を浮かべている。

 
「殿下……ありがとうございました」

 
リオンが小さく礼を言うと、エデンはわざとらしく鼻を鳴らす。

 
「礼なんて要らない。……足踏んだだろう」

 
「す、すみません」

 
顔を赤らめるリオンに、エデンは少しだけ口元を緩める。まるで照れ隠しのようでもあった。男同士のダンスは瞬く間に宮廷の話題となり、それぞれが様々な感情を抱え始めるが、当の二人にとっては互いの距離を縮める大きな一歩でもあったのだ。
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