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第19話 初めての衝突
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「殿下、先ほどは本当にありがとうございました。僕……とても嬉しかったです」
舞踏会の喧騒から少し離れた控室で、リオンはエデンにお礼を伝える。頬の熱さがまだ冷めやらない。エデンと踊った余韻が強烈すぎて、頭がふわふわしているような感覚だ。
「……あれくらいで興奮するな。お前が言い出したんだろう」
エデンはつれない態度を見せるが、その横顔はどこか落ち着かないようにも見える。男同士のダンスが周囲にどう受け取られたか、彼も気になっているのかもしれない。
しかし、リオンは一途に感謝の気持ちを伝えたくて仕方がない。少しでもエデンの笑顔が見たいと思うのだ。
「殿下、本当に感謝しています。こうして踊っていただけるなんて、僕の夢のようで」
「夢……か。お前はそれでいいのかもしれないが、俺はそうもいかない」
エデンが低い声で呟く。リオンはその言葉に引っかかりを覚え、恐る恐る問い返す。
「殿下……何か、困らせてしまいましたか」
するとエデンは鋭い視線を向けてくる。胸を射抜かれるような感覚に、一瞬リオンは息を呑む。
「お前、分かっているのか。王族が男同士で踊ったらどうなるか。……俺もお前も、周囲の噂の的になる」
「それでも、僕は殿下が望んでくれるなら……」
リオンがそう言いかけたとき、エデンは苛立ちを抑えきれずに声を張り上げた。
「それがお前の勝手だと言っているんだ。俺がどれだけ背負っているか、少しは考えろ」
初めて聞くエデンの怒声に、リオンは驚いて目を見開く。緊張が走り、思わず身体が硬直する。エデンはなおも言葉を続ける。
「お前が俺を好き勝手追いかけるほど、周りは俺に責任を求める。王族としての義務だとか、後継ぎだとか、誰と婚姻を結ぶかだとか……。お前には関係ないかもしれないが、俺には関係大ありなんだ」
その激しい言葉に、リオンは胸が痛む。自分はただ嬉しさに浮かれて、エデンの気持ちを考えずにいたのかもしれない。
「殿下……僕は、迷惑をかけるつもりなんて」
「そう思っていないのは分かる。だが、結果として俺を追い詰めることになるかもしれないんだ。……分かっているのか」
リオンは唇を噛んで俯く。確かに、エデンには王族としての立場がある。自分の純粋な気持ちだけを押し付けても、エデンを苦しめる可能性があるのだ。
「ごめんなさい、殿下。僕……そこまで考えが及んでいませんでした」
正直に謝るリオンだが、エデンはそっぽを向いたまま息を吐く。
「とにかく、もう少し考えろ。お前が俺を好きでいてくれるのは構わないが、俺にも身の振り方がある。……そう簡単に割り切れるものじゃない」
そう言い残すと、エデンは部屋を出ていく。リオンは一人取り残され、どうしようもない後悔と悲しみで胸を締め付けられていた。
「殿下……僕は、何も分かっていなかったのかもしれない」
舞踏会の喧騒から少し離れた控室で、リオンはエデンにお礼を伝える。頬の熱さがまだ冷めやらない。エデンと踊った余韻が強烈すぎて、頭がふわふわしているような感覚だ。
「……あれくらいで興奮するな。お前が言い出したんだろう」
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しかし、リオンは一途に感謝の気持ちを伝えたくて仕方がない。少しでもエデンの笑顔が見たいと思うのだ。
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「夢……か。お前はそれでいいのかもしれないが、俺はそうもいかない」
エデンが低い声で呟く。リオンはその言葉に引っかかりを覚え、恐る恐る問い返す。
「殿下……何か、困らせてしまいましたか」
するとエデンは鋭い視線を向けてくる。胸を射抜かれるような感覚に、一瞬リオンは息を呑む。
「お前、分かっているのか。王族が男同士で踊ったらどうなるか。……俺もお前も、周囲の噂の的になる」
「それでも、僕は殿下が望んでくれるなら……」
リオンがそう言いかけたとき、エデンは苛立ちを抑えきれずに声を張り上げた。
「それがお前の勝手だと言っているんだ。俺がどれだけ背負っているか、少しは考えろ」
初めて聞くエデンの怒声に、リオンは驚いて目を見開く。緊張が走り、思わず身体が硬直する。エデンはなおも言葉を続ける。
「お前が俺を好き勝手追いかけるほど、周りは俺に責任を求める。王族としての義務だとか、後継ぎだとか、誰と婚姻を結ぶかだとか……。お前には関係ないかもしれないが、俺には関係大ありなんだ」
その激しい言葉に、リオンは胸が痛む。自分はただ嬉しさに浮かれて、エデンの気持ちを考えずにいたのかもしれない。
「殿下……僕は、迷惑をかけるつもりなんて」
「そう思っていないのは分かる。だが、結果として俺を追い詰めることになるかもしれないんだ。……分かっているのか」
リオンは唇を噛んで俯く。確かに、エデンには王族としての立場がある。自分の純粋な気持ちだけを押し付けても、エデンを苦しめる可能性があるのだ。
「ごめんなさい、殿下。僕……そこまで考えが及んでいませんでした」
正直に謝るリオンだが、エデンはそっぽを向いたまま息を吐く。
「とにかく、もう少し考えろ。お前が俺を好きでいてくれるのは構わないが、俺にも身の振り方がある。……そう簡単に割り切れるものじゃない」
そう言い残すと、エデンは部屋を出ていく。リオンは一人取り残され、どうしようもない後悔と悲しみで胸を締め付けられていた。
「殿下……僕は、何も分かっていなかったのかもしれない」
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