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第20話 すれ違いの夜
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「リオン、どうした。まるで魂が抜けたような顔をして」
父アルベールが迎えてくれた馬車の中で、リオンはぐったりと肩を落としていた。舞踏会でエデンと踊ったことは夢のように幸せだったが、その後の激しい衝突で心が乱れている。
「……父上、僕……殿下を困らせてしまったみたいです」
リオンは舞踏会のあと控室であった出来事を話す。アルベールは黙って息子の言葉に耳を傾け、やがて深い息をついた。
「そうか。王族には王族の事情があるからな。お前の気持ちは純粋かもしれないが、それだけでどうにかなるほど、世の中は単純じゃない」
「はい。分かっているつもりでした……でも、殿下をこんなに追い詰めてしまうなんて」
リオンは自分の浅はかさを思い知らされる。エデンにとっては、国全体のことや将来の責任がある。自分との距離を縮めれば縮めるほど、彼を苦しめてしまうのかもしれない。
「リオン、つらいだろうが、今は殿下との間に少し時間を取るのも悪くないかもしれん。お前は本当に、彼を想っているのだな」
アルベールの声は優しかった。リオンはその問いに対して、小さく頷く。
「はい……僕は、殿下が好きです。だから、殿下を苦しめるくらいなら、僕が身を引くべきなのかとも……」
「それが本当に殿下のためになるかどうかは、分からないぞ」
アルベールはそう諭すように言う。リオンは答えを出せないまま、車窓の外へと視線を向ける。夜の道がゆっくりと流れ、街灯の光が遠く揺れて見える。
「……どうすればいいんでしょう」
心の奥底で、エデンの笑顔が忘れられない。あんなにきらびやかな場で踊れて、幸せだった。けれど、そのあとすぐに怒らせてしまった自分を責める気持ちがぬぐえない。
馬車が男爵家の邸宅に到着し、リオンはうなだれたまま自室にこもった。その夜はベッドに入っても眠れず、ずっとエデンのことを考えてしまう。
「殿下……僕がそばにいることは、やっぱり迷惑なのかな」
何度も頭を巡る疑問。すれ違ってしまった心は、簡単に修復できるものではないのだろうか。リオンは気付けば涙が頬を伝うのを感じ、慌ててそれを手の甲で拭う。
「僕は、殿下の力になりたいだけなのに……どうしてこんなに難しいんだろう」
夜は深まる。重い気持ちを抱えながら、リオンは暗い天井を見つめ続けるしかなかった。一方、王宮で眠れずにいるエデンもまた、自分の言い放った言葉がリオンをどれほど傷つけたかに思い至り、胸を痛めていた。
二人は同じ夜を過ごしながら、互いにすれ違う気持ちを抱えて、苦い想いに揺れていた。
父アルベールが迎えてくれた馬車の中で、リオンはぐったりと肩を落としていた。舞踏会でエデンと踊ったことは夢のように幸せだったが、その後の激しい衝突で心が乱れている。
「……父上、僕……殿下を困らせてしまったみたいです」
リオンは舞踏会のあと控室であった出来事を話す。アルベールは黙って息子の言葉に耳を傾け、やがて深い息をついた。
「そうか。王族には王族の事情があるからな。お前の気持ちは純粋かもしれないが、それだけでどうにかなるほど、世の中は単純じゃない」
「はい。分かっているつもりでした……でも、殿下をこんなに追い詰めてしまうなんて」
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「リオン、つらいだろうが、今は殿下との間に少し時間を取るのも悪くないかもしれん。お前は本当に、彼を想っているのだな」
アルベールの声は優しかった。リオンはその問いに対して、小さく頷く。
「はい……僕は、殿下が好きです。だから、殿下を苦しめるくらいなら、僕が身を引くべきなのかとも……」
「それが本当に殿下のためになるかどうかは、分からないぞ」
アルベールはそう諭すように言う。リオンは答えを出せないまま、車窓の外へと視線を向ける。夜の道がゆっくりと流れ、街灯の光が遠く揺れて見える。
「……どうすればいいんでしょう」
心の奥底で、エデンの笑顔が忘れられない。あんなにきらびやかな場で踊れて、幸せだった。けれど、そのあとすぐに怒らせてしまった自分を責める気持ちがぬぐえない。
馬車が男爵家の邸宅に到着し、リオンはうなだれたまま自室にこもった。その夜はベッドに入っても眠れず、ずっとエデンのことを考えてしまう。
「殿下……僕がそばにいることは、やっぱり迷惑なのかな」
何度も頭を巡る疑問。すれ違ってしまった心は、簡単に修復できるものではないのだろうか。リオンは気付けば涙が頬を伝うのを感じ、慌ててそれを手の甲で拭う。
「僕は、殿下の力になりたいだけなのに……どうしてこんなに難しいんだろう」
夜は深まる。重い気持ちを抱えながら、リオンは暗い天井を見つめ続けるしかなかった。一方、王宮で眠れずにいるエデンもまた、自分の言い放った言葉がリオンをどれほど傷つけたかに思い至り、胸を痛めていた。
二人は同じ夜を過ごしながら、互いにすれ違う気持ちを抱えて、苦い想いに揺れていた。
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