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夜会での婚約発表が決定し、シャーベット家は夜の大広間を飾る準備に追われていた。フローレンスも出入りし、バラの生花やキャンドル、音楽の演奏者などを続々と手配している。
アリスは昼もがんばって起きて打ち合わせに参加し、夜は夜で自分の好みを詰め込む。寝るのが嫌いで夜メインの発想を優先した結果、キャンドルの配置や照明のトーン、BGMの静かな選曲などをリクエスト。フローレンスは「ロマンチック路線ね、オッケー!」とあざとい笑みを浮かべる。
「ふぁ……思えば、ディーンさまとクライヴさまともバラが多かったけど、わたし、結局バラが好きなんですよね。夜のライトアップも似合うし」
「あら、ディーンとクライヴを引き合いに出さなくていいわよ。でも、夜とバラは外せないわねー。エリックもバラは嫌いじゃないはず。夜会場をバラで満たしましょう」
アリスはうなずき、夜のイベントにはバラが一番映えると同意する。ただ、フローレンスが「せっかくだからクッキーコーナーも作りなさいよ!」と言い出して、アリスは笑いをこらえきれない。クッキーが夜会の主役になったら奇妙だが、二人の馴れ初めを考えればある意味アリかもしれない。
「クッキーを出す夜会って……珍しいですよね。でも、わたしとエリックには大事な思い出だし、見た目を可愛くすればデザートコーナーになるかも」
「そうそう! 寝るのが嫌いなあんたが夜中に焼いてきたクッキー、その歴史をアピールするんだわ。きっと“夜クッキー”って新しいトレンドになるかも」
フローレンスがわくわくするが、アリスは「まあ、騒ぎにならない程度に……」と釘を刺す。こうして夜会のコンセプトは「バラとキャンドルのロマンチックな舞台+クッキーのデザート」でほぼ固まる。アリスの寝るのが嫌いという設定を逆手に取ったテーマだ。
夜会の日取りは二週間後に決まり、招待状が作成されていく。シャーベット家からは騎士団関係者や友人、エリックの母や親族を招く形。クライヴにも一応招待状を送るが、彼が来るかは定かでない。アリスとしては「来てくれるなら歓迎する」とだけ伝える。
---
エリックは昼間の訓練や王宮勤務をこなしながら、夜になれば可能な限りシャーベット家を訪れ、アリスと「式での段取り」を話し合う。寝るのが嫌いな彼女も昼行動に慣れ始めているが、夜の方がやはり自分を解放できるようだ。
ある夜、二人が大広間でリハーサルを兼ねてステップの練習をしていた。アリスは「夜のダンスって久しぶりかも……」と緊張ぎみに言い、エリックは「俺も夜の踊りなんて慣れない」と苦笑する。
「ふぁ……わたし、クライヴさまと夜に踊ったことがあるけど、エリックは初めてだもんね。寝るのが嫌いで夜は得意だけど、ステップは下手かもしれません」
「大丈夫、俺もそこまで上手くない。二人でぎこちなくても、気持ちが伝わればそれでいいさ」
軽く音楽を流し、アリスはエリックの腕に手を添えてゆっくり回る。やはり騎士と令嬢のペアは身長差があり、エリックが力強くリードしてくれるのがわかる。アリスは「ふぁ……」と息を吐きながらも楽しんでいる。
「こうして夜に踊るの、悪くないですね。寝るのが嫌いなわたしが言うのも変だけど、なんだかロマンチックだと思います」
「そうだな。お前が主役で俺が守る形……騎士と令嬢の婚約式ならではかもしれない。まだまだ練習しないと、本番で転んだら大変だからな」
二人は笑い合い、夜の大広間で地味にステップの練習を繰り返す。アリスがたまに足をもつれてエリックの胸に倒れそうになると、「ごめんなさい」と赤面し、エリックは「いや、気にするな」と支えてくれる。
こうして夜に会場を仕上げていく作業そのものが、二人にとっては幸せな時間。寝るのが嫌いという設定が逆に「夜の準備ができる」と利点になり、昼間はバラや装飾、夜は音楽やライティングをチェック――二人の絆が深まっていく。
「ふぁ……実際の夜会が来たら、もっと人が多くて緊張しますよね。でも、わたし、あなたがいれば乗り越えられそう」
「俺もだ。もう護衛とかじゃなく、堂々と婚約者としてお前を守れる。夜のトラブルは起きさせないから安心しろ」
二人は最後にしっかり抱き合い、リハーサルを終える。夜の大広間に響く“ふぁ……”というアリスのあくびが、かつては「眠たいの?」と揶揄されてきたが、今はむしろ幸せの証しに思えてならない。
こうしてバラとクッキーをテーマにした“夜の婚約式”が着々と準備される。寝るのが嫌いだったアリスが主役として迎える夜会は、どんな結末を迎えるのか――二週間後の本番を待ち望む声がシャーベット家にも広がり始めている。
アリスは昼もがんばって起きて打ち合わせに参加し、夜は夜で自分の好みを詰め込む。寝るのが嫌いで夜メインの発想を優先した結果、キャンドルの配置や照明のトーン、BGMの静かな選曲などをリクエスト。フローレンスは「ロマンチック路線ね、オッケー!」とあざとい笑みを浮かべる。
「ふぁ……思えば、ディーンさまとクライヴさまともバラが多かったけど、わたし、結局バラが好きなんですよね。夜のライトアップも似合うし」
「あら、ディーンとクライヴを引き合いに出さなくていいわよ。でも、夜とバラは外せないわねー。エリックもバラは嫌いじゃないはず。夜会場をバラで満たしましょう」
アリスはうなずき、夜のイベントにはバラが一番映えると同意する。ただ、フローレンスが「せっかくだからクッキーコーナーも作りなさいよ!」と言い出して、アリスは笑いをこらえきれない。クッキーが夜会の主役になったら奇妙だが、二人の馴れ初めを考えればある意味アリかもしれない。
「クッキーを出す夜会って……珍しいですよね。でも、わたしとエリックには大事な思い出だし、見た目を可愛くすればデザートコーナーになるかも」
「そうそう! 寝るのが嫌いなあんたが夜中に焼いてきたクッキー、その歴史をアピールするんだわ。きっと“夜クッキー”って新しいトレンドになるかも」
フローレンスがわくわくするが、アリスは「まあ、騒ぎにならない程度に……」と釘を刺す。こうして夜会のコンセプトは「バラとキャンドルのロマンチックな舞台+クッキーのデザート」でほぼ固まる。アリスの寝るのが嫌いという設定を逆手に取ったテーマだ。
夜会の日取りは二週間後に決まり、招待状が作成されていく。シャーベット家からは騎士団関係者や友人、エリックの母や親族を招く形。クライヴにも一応招待状を送るが、彼が来るかは定かでない。アリスとしては「来てくれるなら歓迎する」とだけ伝える。
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エリックは昼間の訓練や王宮勤務をこなしながら、夜になれば可能な限りシャーベット家を訪れ、アリスと「式での段取り」を話し合う。寝るのが嫌いな彼女も昼行動に慣れ始めているが、夜の方がやはり自分を解放できるようだ。
ある夜、二人が大広間でリハーサルを兼ねてステップの練習をしていた。アリスは「夜のダンスって久しぶりかも……」と緊張ぎみに言い、エリックは「俺も夜の踊りなんて慣れない」と苦笑する。
「ふぁ……わたし、クライヴさまと夜に踊ったことがあるけど、エリックは初めてだもんね。寝るのが嫌いで夜は得意だけど、ステップは下手かもしれません」
「大丈夫、俺もそこまで上手くない。二人でぎこちなくても、気持ちが伝わればそれでいいさ」
軽く音楽を流し、アリスはエリックの腕に手を添えてゆっくり回る。やはり騎士と令嬢のペアは身長差があり、エリックが力強くリードしてくれるのがわかる。アリスは「ふぁ……」と息を吐きながらも楽しんでいる。
「こうして夜に踊るの、悪くないですね。寝るのが嫌いなわたしが言うのも変だけど、なんだかロマンチックだと思います」
「そうだな。お前が主役で俺が守る形……騎士と令嬢の婚約式ならではかもしれない。まだまだ練習しないと、本番で転んだら大変だからな」
二人は笑い合い、夜の大広間で地味にステップの練習を繰り返す。アリスがたまに足をもつれてエリックの胸に倒れそうになると、「ごめんなさい」と赤面し、エリックは「いや、気にするな」と支えてくれる。
こうして夜に会場を仕上げていく作業そのものが、二人にとっては幸せな時間。寝るのが嫌いという設定が逆に「夜の準備ができる」と利点になり、昼間はバラや装飾、夜は音楽やライティングをチェック――二人の絆が深まっていく。
「ふぁ……実際の夜会が来たら、もっと人が多くて緊張しますよね。でも、わたし、あなたがいれば乗り越えられそう」
「俺もだ。もう護衛とかじゃなく、堂々と婚約者としてお前を守れる。夜のトラブルは起きさせないから安心しろ」
二人は最後にしっかり抱き合い、リハーサルを終える。夜の大広間に響く“ふぁ……”というアリスのあくびが、かつては「眠たいの?」と揶揄されてきたが、今はむしろ幸せの証しに思えてならない。
こうしてバラとクッキーをテーマにした“夜の婚約式”が着々と準備される。寝るのが嫌いだったアリスが主役として迎える夜会は、どんな結末を迎えるのか――二週間後の本番を待ち望む声がシャーベット家にも広がり始めている。
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