125 / 273
第4章 二年一学期
第124話 スマホいじるサトシ先生
しおりを挟む
桜井のために買った机は、三日後にサトシの家に届く予定だ。
それまでは、リビングのテーブルで桜井は勉強することになった。
サトシは、何かあったら質問できるようにと、リビングのソファーに座ってスマホをいじりながら待機していた。
そして、桜井が勉強しながら時々こっちを見てくるのに、気が付いていた。
(何か質問があったら、自分から言うようになってほしい。俺から余計なことは言わない。できるだけ自主的に勉強させよう)
しばらくすると、桜井はまた問題集に集中しはじめた。
(よし、よし、勉強再開したな)
―桜井SIDE
桜井はわからない問題があったので、サトシに質問しようと顔を上げた。
すると、サトシはじっとスマホをいじっている。
(先生って、彼女と一緒にいるのに、平気でスマホいじりする人なんだ)
その横顔を、桜井は質問することを忘れるほど見入ってしまった。
(でも、はぁ~、イケメンだから許す。わたしがこんなに頑張って勉強しているのに、全然お構いなし。でも、絵になっているから鑑賞にはいいわ)
桜井にとって、付き合ってる彼氏が自分に見向きもしないでスマホをいじっているのは、問題無しだった。
返って、美しい横顔を見放題の時間を独り占めしている、それだけで至福のひとときを満喫していた。
―サトシSIDE
勉強を再開したかと思ったら、桜井はまたサトシの方をじっと見ていた。
(んんんーー、かれこれ10分くらい見られているんだけど。ここで声をかけたら、自主性を阻害するし。かといって、このままスマホいじっているのも結構疲れるんだけどな)
サトシは、思い切って声をかけることにした。
「ん? 何、桜井」
「いえ、別に何も……」
「わからないところがあったら、いつでも質問しなさい」
「は、はい。どうぞ、スマホをいじっていてください。なんなら、一生スマホいじっていてもいいです」
「一生は困る」
そう言いながら、サトシはスマホをいじって、LINEを開いた。
(ああ、俺のアイコン、初期設定のままだなぁ)
あの、テルテル坊主のような初期設定のイラストだ。
(いいかげん、アイコンを変えようかな。何がいいかな。猫とか犬とか……)
他の人はアイコンを何にしているのかを見て、参考にしようとサトシは思った。
(そういえば、桜井のアイコンって、なんだっけ?)
桜井のアイコンをよく見てみると……
(ん? ラーメン?)
今、サトシの家のテーブルで、一生懸命問題集を解いている女生徒のアイコンは、ラーメンだった。
このシュールな現象にサトシは、吹き出しそうな笑いをぐっとこらえた。
それでも、腹筋はプルプルと震えてくる。
笑ってはいけないと意識すればするほど、ツボにはまって可笑しくてたまらない。
しかも、そのラーメンアイコンの女生徒は時折サトシをじっと見つめてはうっとりとしている。
桜井が自分にうっとりしているのを知りながら、サトシはわざと無視してスマホいじりをしていたのだ。
クールに決めているつもりだったのに、桜井のアイコンを見た瞬間にすべては崩壊した。
(この現象に名前を付けられる人がいたら、ノーベル賞をあげたい)
とすら、サトシは思った。
「一生スマホ見ているなんて無理だ。だめ、苦しい。頼む! いいかげんに何か質問してくれぃ! ハハハハハ……」
サトシはついに吹き出して、ゲラゲラと笑ってしまった。
「先生、何か面白い事でもあったんですか? SNSですか?」
「なんでもない」
「言えない話?」
「いや」
「どうして教えてくれないんですか」
「教えるよ。数学のどこがわからないの?」
「あ、話題をそらした。さては女?」
「そんなわけないだろ……ふふ」
「そうだよね、先生が女の人からのメールで笑うはずないしね」
「俺ってそんなに冷酷?」
「教えてー、教えてー、教えてくれなきゃ、明日の朝ご飯作らないからね!」
「それは困ったな……、怒るなよ」
「だから、何!」
「桜井のLINEのアイコン見て笑ったんだよ。何? ラーメン。プッ、クククク……」
「今さら気づいたんですか? そんなに面白くないでしょ」
「ごめん、ツボった」
「じゃあ、先生のアイコン変えてあげる。貸して!」
「あ、よせ! 返せ!」
桜井はサトシのスマホを取り上げて、ものの十数秒でアイコン設定してしまった。
「はい、これでいいでしょ」
桜井はスマホをサトシに返した。
サトシがアイコンをよく見てみると、
「餃子? なぜ!?」
「前に家に来て餃子食べた時、先生は写真に撮っていたでしょ。ただの餃子じゃないわよ。わたしのお手製餃子だからね。プレミアム餃子よ」
「えええええー! もうちょっと、なんとかならないかのかよーー?」
「いいじゃないですか、食べ物つながりで。ラーメン餃子って最強の組み合わせでしょ!」
「ああ、それも……そうか」
サトシは意外と素直に納得した。
サトシは、桜井の言うことなら何でも納得してしまう傾向にある。
好きすぎて我を忘れているのは、桜井だけではないことを、この男は自覚できていない。
それまでは、リビングのテーブルで桜井は勉強することになった。
サトシは、何かあったら質問できるようにと、リビングのソファーに座ってスマホをいじりながら待機していた。
そして、桜井が勉強しながら時々こっちを見てくるのに、気が付いていた。
(何か質問があったら、自分から言うようになってほしい。俺から余計なことは言わない。できるだけ自主的に勉強させよう)
しばらくすると、桜井はまた問題集に集中しはじめた。
(よし、よし、勉強再開したな)
―桜井SIDE
桜井はわからない問題があったので、サトシに質問しようと顔を上げた。
すると、サトシはじっとスマホをいじっている。
(先生って、彼女と一緒にいるのに、平気でスマホいじりする人なんだ)
その横顔を、桜井は質問することを忘れるほど見入ってしまった。
(でも、はぁ~、イケメンだから許す。わたしがこんなに頑張って勉強しているのに、全然お構いなし。でも、絵になっているから鑑賞にはいいわ)
桜井にとって、付き合ってる彼氏が自分に見向きもしないでスマホをいじっているのは、問題無しだった。
返って、美しい横顔を見放題の時間を独り占めしている、それだけで至福のひとときを満喫していた。
―サトシSIDE
勉強を再開したかと思ったら、桜井はまたサトシの方をじっと見ていた。
(んんんーー、かれこれ10分くらい見られているんだけど。ここで声をかけたら、自主性を阻害するし。かといって、このままスマホいじっているのも結構疲れるんだけどな)
サトシは、思い切って声をかけることにした。
「ん? 何、桜井」
「いえ、別に何も……」
「わからないところがあったら、いつでも質問しなさい」
「は、はい。どうぞ、スマホをいじっていてください。なんなら、一生スマホいじっていてもいいです」
「一生は困る」
そう言いながら、サトシはスマホをいじって、LINEを開いた。
(ああ、俺のアイコン、初期設定のままだなぁ)
あの、テルテル坊主のような初期設定のイラストだ。
(いいかげん、アイコンを変えようかな。何がいいかな。猫とか犬とか……)
他の人はアイコンを何にしているのかを見て、参考にしようとサトシは思った。
(そういえば、桜井のアイコンって、なんだっけ?)
桜井のアイコンをよく見てみると……
(ん? ラーメン?)
今、サトシの家のテーブルで、一生懸命問題集を解いている女生徒のアイコンは、ラーメンだった。
このシュールな現象にサトシは、吹き出しそうな笑いをぐっとこらえた。
それでも、腹筋はプルプルと震えてくる。
笑ってはいけないと意識すればするほど、ツボにはまって可笑しくてたまらない。
しかも、そのラーメンアイコンの女生徒は時折サトシをじっと見つめてはうっとりとしている。
桜井が自分にうっとりしているのを知りながら、サトシはわざと無視してスマホいじりをしていたのだ。
クールに決めているつもりだったのに、桜井のアイコンを見た瞬間にすべては崩壊した。
(この現象に名前を付けられる人がいたら、ノーベル賞をあげたい)
とすら、サトシは思った。
「一生スマホ見ているなんて無理だ。だめ、苦しい。頼む! いいかげんに何か質問してくれぃ! ハハハハハ……」
サトシはついに吹き出して、ゲラゲラと笑ってしまった。
「先生、何か面白い事でもあったんですか? SNSですか?」
「なんでもない」
「言えない話?」
「いや」
「どうして教えてくれないんですか」
「教えるよ。数学のどこがわからないの?」
「あ、話題をそらした。さては女?」
「そんなわけないだろ……ふふ」
「そうだよね、先生が女の人からのメールで笑うはずないしね」
「俺ってそんなに冷酷?」
「教えてー、教えてー、教えてくれなきゃ、明日の朝ご飯作らないからね!」
「それは困ったな……、怒るなよ」
「だから、何!」
「桜井のLINEのアイコン見て笑ったんだよ。何? ラーメン。プッ、クククク……」
「今さら気づいたんですか? そんなに面白くないでしょ」
「ごめん、ツボった」
「じゃあ、先生のアイコン変えてあげる。貸して!」
「あ、よせ! 返せ!」
桜井はサトシのスマホを取り上げて、ものの十数秒でアイコン設定してしまった。
「はい、これでいいでしょ」
桜井はスマホをサトシに返した。
サトシがアイコンをよく見てみると、
「餃子? なぜ!?」
「前に家に来て餃子食べた時、先生は写真に撮っていたでしょ。ただの餃子じゃないわよ。わたしのお手製餃子だからね。プレミアム餃子よ」
「えええええー! もうちょっと、なんとかならないかのかよーー?」
「いいじゃないですか、食べ物つながりで。ラーメン餃子って最強の組み合わせでしょ!」
「ああ、それも……そうか」
サトシは意外と素直に納得した。
サトシは、桜井の言うことなら何でも納得してしまう傾向にある。
好きすぎて我を忘れているのは、桜井だけではないことを、この男は自覚できていない。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。
「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる


