媚薬の恋 一途な恋

万実

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時計塔で待つ

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時計塔の入口の鍵は掛かっておらず、重厚な扉も開いている。

ドキドキしながら時計塔に入る。

嬉しさと少しの緊張が交ざり合い、複雑な気分だ。

アレクは何処にいるのだろう?室内は明かりが灯っていないため、薄暗くてよく見えない。


「あの、生徒会長?」


私が声をかけながら室内を進むと、入口の重厚な扉がギイっと音を立てて閉まった。

ガチャリという音が室内に響く。

そして暗闇と静寂が広がった。


何か、変だ。

とても嫌な予感がする。

なぜアレクは出てこないの?

誰かの息遣いを感じる。


「生徒会長?」


私は不審に思いながらも声を出した。

なぜ返事がないのだろう?

不安が胸に広がる。

私は慎重に入口まで移動し、扉を開けようとドアノブに手をかけた。



けれど、どういう訳か扉は開かない。

先程のガチャリという音は、施錠された音だったようで、私は焦り何度も扉を押したけれど、どうにもならない。

やだ、絶対におかしい。

私はあのメモを信じてここに来たけど····。

自分が浮ついてよく考えずに行動したことを後悔する。

落ち着かなきゃ。

そうだ、明かりをつけよう···。

振り向こうとした時、すぐ近くに気配を感じた。

ひんやりと額に冷たい汗が流れる。


「だ、誰?!」


私の問いかけに返事はなく、不意に風が流れ出した。

その気配は動きだし、私の背後から抱きしめてきた。



背筋に寒気が走る。
そして、この感覚は知らない。

絶対にアレクじゃない。


「い、いや」


こ、怖い!助けてアレク!!

抵抗してもがっしりと抱きしめられていて寸分も動くことができない。

私は身を硬くしていると、背後から抱きしめてきた人物は耳元で囁いた。

「そう身構えることはないよ。ティアちゃん」

えっ?

この声は!
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