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苦悩
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あれから毎日俺は帰ってきて純からもらった絵をみるのが楽しみになっていた。
純は俺にちゃんと、アトリエに行ってくる、と言うようになった。場所も教えてもらい、休みの日はたまに顔を出すようになった。
アトリエはアパートの6畳くらいの部屋で描いていた。そこには小さい絵から大きい絵までたくさん置いてあった。なかには、古典で見た絵も置いてあった。
ある日、アトリエに行ってみたときにふと思った疑問を口にしてみた。
「そういえば、玄関開けたら絵具の匂いがするがこんだけ匂いが強かったら体に染みつくと思うんだが。純が俺に秘密にしてたとき匂いはしなかったんだよ。そう言うもんなのか?」
「あぁ。あれはねバレないようにするのに必死でこっちでお風呂に入ってから帰ってたの。やっぱり匂いつくよ。」
「そういうことだったのか。」
ここが純の絵の誕生場所か、なんだか感慨深いな。
-------
最近純の様子が変だ。前みたく目を合わせなないことはなくなったが不意に目を合わせると少し焦ったように背いてしまう。だが、それだけじゃない。少し曇ったような顔をしながら帰ってくる。
一体どうしたのだろうか。
「純、ちょっといいか。」
「何?」
俺は作業中だった純を呼び俺が座っているソファの横に座らせた。
「最近どうしたんだ?」
「え?」
「ここのところ帰ってくるとき暗いから、何があったのか?」
「(あ、そっちか)うんん、ただのスランプ」
「本当か?」
俺は純の目をじっとみた。
「そんなみないでよ。怖いって。」
「……」
「はぁ、わかったよ。降参。」
「それでいい。で、どうしたんだ?」
「ちょっと前から、あのパトロンからメールが来てて、で最近それがエスカレートしてきて…。それと…あいつアトリエにも来るようになったんだよね。」
「純!なんでそれを早く言わないんだ!」
俺は驚いた。もう2ヶ月くらい一緒に住んでいるのに何も言ってくれないなんて。
「だって、前もちゃんと振り払えたから今回も行けると思ったんだよ!しかもちゃんと無理だって、罵ったりした!」
すると純の目から涙がこぼれ出した。
「真中さんに迷惑かけたくなかったんだもん…ヒック…」
「わ、悪かった。責めたりして。誰にもいえずに辛かったよな。ただ、悲しかったんだ。一緒に住んでいる仲なのにって。困ってたり、苦しんでいたりしたら助けてやりたい。」
そう言って俺は純の頭を胸に寄せて背中をさすった。
「今度アトリエに行く時、帰りは迎えに行くよ。」
「わかった。ありがとう」
絶対に許さない。純にこんなことするなんて。
俺はこの時とても怒っていた。俺がこんなに誰かに対して憤怒の気持ちがあるなんて初めて知った。
俺の中にある、ある気持ちが何か、分かろうとしていた。
純は俺にちゃんと、アトリエに行ってくる、と言うようになった。場所も教えてもらい、休みの日はたまに顔を出すようになった。
アトリエはアパートの6畳くらいの部屋で描いていた。そこには小さい絵から大きい絵までたくさん置いてあった。なかには、古典で見た絵も置いてあった。
ある日、アトリエに行ってみたときにふと思った疑問を口にしてみた。
「そういえば、玄関開けたら絵具の匂いがするがこんだけ匂いが強かったら体に染みつくと思うんだが。純が俺に秘密にしてたとき匂いはしなかったんだよ。そう言うもんなのか?」
「あぁ。あれはねバレないようにするのに必死でこっちでお風呂に入ってから帰ってたの。やっぱり匂いつくよ。」
「そういうことだったのか。」
ここが純の絵の誕生場所か、なんだか感慨深いな。
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最近純の様子が変だ。前みたく目を合わせなないことはなくなったが不意に目を合わせると少し焦ったように背いてしまう。だが、それだけじゃない。少し曇ったような顔をしながら帰ってくる。
一体どうしたのだろうか。
「純、ちょっといいか。」
「何?」
俺は作業中だった純を呼び俺が座っているソファの横に座らせた。
「最近どうしたんだ?」
「え?」
「ここのところ帰ってくるとき暗いから、何があったのか?」
「(あ、そっちか)うんん、ただのスランプ」
「本当か?」
俺は純の目をじっとみた。
「そんなみないでよ。怖いって。」
「……」
「はぁ、わかったよ。降参。」
「それでいい。で、どうしたんだ?」
「ちょっと前から、あのパトロンからメールが来てて、で最近それがエスカレートしてきて…。それと…あいつアトリエにも来るようになったんだよね。」
「純!なんでそれを早く言わないんだ!」
俺は驚いた。もう2ヶ月くらい一緒に住んでいるのに何も言ってくれないなんて。
「だって、前もちゃんと振り払えたから今回も行けると思ったんだよ!しかもちゃんと無理だって、罵ったりした!」
すると純の目から涙がこぼれ出した。
「真中さんに迷惑かけたくなかったんだもん…ヒック…」
「わ、悪かった。責めたりして。誰にもいえずに辛かったよな。ただ、悲しかったんだ。一緒に住んでいる仲なのにって。困ってたり、苦しんでいたりしたら助けてやりたい。」
そう言って俺は純の頭を胸に寄せて背中をさすった。
「今度アトリエに行く時、帰りは迎えに行くよ。」
「わかった。ありがとう」
絶対に許さない。純にこんなことするなんて。
俺はこの時とても怒っていた。俺がこんなに誰かに対して憤怒の気持ちがあるなんて初めて知った。
俺の中にある、ある気持ちが何か、分かろうとしていた。
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