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Episode3:崇弥の気持ち
⑥
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「西園寺グループ……」
「知ってる? 旧財閥のひとつなんだけど」
「い、いえ。日本の財閥については、大学でも勉強してるんですけど、名前とか、詳しいところまではまだ……すみません」
「謝る必要なんてないよ。アメリカで生活してたら、馴染みなくて当然だろうし」
西園寺は、いわゆる金融業を中心として発展した、旧四大財閥のひとつらしい。主なグループ事業は、銀行や保険、不動産関連で、その歴史は明治時代まで遡るのだと、崇弥が教えてくれた。
日本人なら知っていて当然の会社。
なのに、日本人じゃないから、自分は知らない。大学で日本史を専攻しているとはいえ、まだまだ知識にムラがある。
なんだか心がくすんだけれど、崇弥に「気にしなくていいよ」と言われたので、瑛茉は自分にそう言い聞かせた。
「好きでもない相手と結婚して、仕事のパフォーマンスが上がるわけない。家の名前が増えたところで結果を出せなければ、今の時代、どんな企業でもすぐに傾く。……そんな単純なことさえ、あの人たちにはわからないんだよね」
——俺は心を殺してまで結婚するつもりはない。
ああ、そうか。
このとき、崇弥が匡士郎に放ったあの言葉の意味を、瑛茉はようやく理解した。
心を殺せば、会社も死ぬ。
彼は、彼にとって大切なものを、必死で守ろうとしているのだ。
「……でも、迷惑かけちゃったけど、瑛茉ちゃんがいてくれてよかったって思ってる」
「?」
刹那、崇弥のまとう雰囲気が変わった。
彼の言葉の真意がわからず、疑問符を浮かべる。そんな瑛茉に、彼はこう続けた。
「瑛茉ちゃんがいてくれたから、俺は今こんなに穏やかな気持ちでいられる。それに、親父に言ったことは、俺の願望でもあるから」
黒く澄んだ眼差し。まるで、星屑を散りばめたような。
彼に搦め捕られた瞳、その奥が、灼けるように熱い。
ひかりが。
はじける。
「君が好きだ」
< to be continued…… >
「知ってる? 旧財閥のひとつなんだけど」
「い、いえ。日本の財閥については、大学でも勉強してるんですけど、名前とか、詳しいところまではまだ……すみません」
「謝る必要なんてないよ。アメリカで生活してたら、馴染みなくて当然だろうし」
西園寺は、いわゆる金融業を中心として発展した、旧四大財閥のひとつらしい。主なグループ事業は、銀行や保険、不動産関連で、その歴史は明治時代まで遡るのだと、崇弥が教えてくれた。
日本人なら知っていて当然の会社。
なのに、日本人じゃないから、自分は知らない。大学で日本史を専攻しているとはいえ、まだまだ知識にムラがある。
なんだか心がくすんだけれど、崇弥に「気にしなくていいよ」と言われたので、瑛茉は自分にそう言い聞かせた。
「好きでもない相手と結婚して、仕事のパフォーマンスが上がるわけない。家の名前が増えたところで結果を出せなければ、今の時代、どんな企業でもすぐに傾く。……そんな単純なことさえ、あの人たちにはわからないんだよね」
——俺は心を殺してまで結婚するつもりはない。
ああ、そうか。
このとき、崇弥が匡士郎に放ったあの言葉の意味を、瑛茉はようやく理解した。
心を殺せば、会社も死ぬ。
彼は、彼にとって大切なものを、必死で守ろうとしているのだ。
「……でも、迷惑かけちゃったけど、瑛茉ちゃんがいてくれてよかったって思ってる」
「?」
刹那、崇弥のまとう雰囲気が変わった。
彼の言葉の真意がわからず、疑問符を浮かべる。そんな瑛茉に、彼はこう続けた。
「瑛茉ちゃんがいてくれたから、俺は今こんなに穏やかな気持ちでいられる。それに、親父に言ったことは、俺の願望でもあるから」
黒く澄んだ眼差し。まるで、星屑を散りばめたような。
彼に搦め捕られた瞳、その奥が、灼けるように熱い。
ひかりが。
はじける。
「君が好きだ」
< to be continued…… >
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