虚無 - vanitas -

Riberion Vanitas

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フランス アルルの自宅 -マナト・フランソワ-

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僕マナト・フランソワは、今日、勤務中に大統領から呼び出され、大統領室に行くと深刻な表情の大統領と話しをした。
先日から妻のユーカが捜査している事件の生き残りの幼女を、僕達夫婦の養子に受け入れて欲しいという提案だった。
どうやらその幼女は、大統領が廃止に動いている人工聖女の研究施設の生き残りで、どうやら聖女が誕生してしまったらしく、他の研究施設から生き残った幼女が狙われてるとの事だった。
その幼女を守る為に、僕達夫婦の下に居れば、狙うに狙えないとの事だった。
そりゃそうだろ。僕は、この国の軍で1番偉いんだから。軍の大将兼元帥だしね。妻だって、アルル警察署の副署長だしね。妻は何故か現場に出たいと言って、現場にも出てるけど。
そして、大統領のその提案に僕は不謹慎だけど、喜んで受け入れた。
僕とユーカの子供は、7年前の警察署内の犯人が乱射した銃弾により、妊娠中のユーカの腹部に直撃し、死亡した。
少しでも処置が遅れれば、ユーカも命はなかった。ユーカが目覚める前に、取り出された我が子は女の子だった。肌は僕ににて黒く、髪の色は僕と同じ黒色のストレート。顔は、ユーカに似ていた。
無事に産まれていたら、きっと美しい女性に成長しただろう。
あの時は、神を恨み憎んだ。どうして僕達の宝物を奪うんだと、怒り狂った。
だけど、僕よりもユーカの方が酷く心を痛めていた。目を覚ました時の絶望に飲み込まれた表情を思い出す度に、胸が引き裂かれそうになる。
何年か経った時に、二人で相談して養子を迎えようという事になり、二人でウキウキで施設に行ったけど、条件は軽々パス出来るのに、子供達に拒否られてしまった。
どうやら、僕らは顔が厳つい上に体格も良いため、子供達からすると怖いらしい。
それでも、現在まで諦めずにユーカと一緒に、色々な地域の施設を巡っていた。
大統領との話しが終わり、通常業務を終えて帰路につく。
家につくと、ガレージに青色の車があった。先にユーカが帰ってきているみたいだ。
「ユーカ!ただいま!君の愛しいダーリンが帰ったよ。」
僕はいつも通りハイテンションで愛しい妻に帰りを告げる。
相変わらず、僕の奥さんは美しい。思わずニヤけてしまう。
仕事が忙しいにも関わらず、今日も僕の為に、温かく愛情の籠もった食事を作ってくれていた。どうやら今日は、チキン料理らしい。凄くいい匂いだ。
食事の準備が終わると、料理をテーブルに運び席につくと、軽くお祈りをして食事を食べ始める。
僕達に娘が来ることが嬉しく、二人で次の日曜日に部屋を片付けて、飾り付けをしようと計画する。
僕達は、部屋をピンクにするか黄色にしようか、それとも花柄が良いかななんて、とても幸せな時間を過ごした。
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