虚無 - vanitas -

Riberion Vanitas

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フランス アルル警察署③ -ユーカ・フランソワ-

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私と署長は大統領の話しを聞き、心の奥底から湧き上がる憤りを抑えるのがやっとだった。
ただ、今までは上層部が碌な連中じゃなかったんだと思う一方、この大統領なら、きっと良い国にしてくれる様にも思えた。
そんな事を思っている時に、大統領が私に相談があるという。
「一応、君の夫のマナト・フランソワ大将にも話しをして置いたんだが、マナト君は喜んで受けると言ってくれたんだ。今回、教会から逃げ延びる事が出来た幼女を、君達の養子に迎えて欲しいんだ。理由は、人工聖女の研究に関わってしまってる幼女は、絶対に狙われてしまうから、ユーカ君は警察署でも地位があるし、マナト君は軍の大将だから、狙うに狙えないと思ってね。」
私は急な事にとても驚いたけど、その提案を受け入れたいと、大統領に二つ返事で提案を飲む事を決意した。
こんな形とはいえ、子供が私達夫婦の下に来てくれるのは嬉しかった。
実は、私達夫婦には子供がいない。
7年前、私は妊娠していた。その時は皆んな私を気遣って、現場から安全な部署で働いていたけど、ある日突然の事だった。殺人事件の犯人を連行する際に、汚職警官の怠慢で、武器を隠し持ってる事を確認してなかったせいで、犯人に腹部を撃たれた。私は命は助かったけど、子供を産めない身体になってしまった。
夫は私が生きていることを、とても喜んでくれたけど、私達夫婦の大望であった子供は、後3ヶ月で産まれる筈だった命は、亡くなってしまった。女の子だった。
あの時は、どうして良いか分からない絶望に押し潰されそうになった。
何年かした時に、夫婦で話し合って養子を迎えようと、色んな施設を訪ねて行ったが、条件は軽々パスしたが、夫と私の風貌は子供受けするはずもなく、施設の子供達から怖がられてしまい、現在も夫婦で施設巡りをしていた所だった。
大統領と署長との話し合いを終えて、今後は直ぐに連絡を取れるようにと、署長と私に大統領が連絡先を伝えてくれた。
大統領を見送った後、私は帰路につき、車の中で不謹慎だが、私達の下に来てくれるあの子の為に、マナトと一緒に部屋の準備をしないとなと、穏やかでとても嬉しい気持ちになっていた。
そして、教会で見たあの子が聖女であっても、探し出して助けて上げたいと、守って上げたいと思うのは、傲慢だろうか。

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