虚無 - vanitas -

Riberion Vanitas

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日本 大和の森 -リベリオン-

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母さんが眠って直ぐに、俺は卵の殻を破り生まれた。俺は母さんが他の兄弟達よりも、力と思いを注いでくれたお陰で、生まれて直ぐに状況を理解した。
そして、力を使い身体を成長させたが、成人男性になろうとしたはずが、どうやら限界が有ったみたいで10歳位にしか成長出来なかった。
まぁ、良いか。力が使えるから、子供の姿でも問題ない。
俺は直ぐに、椅子で眠っている母さんを、安全な部屋を造り、ベットに寝かせる。
母さんは聖女になるには、かなり幼過ぎたのだろう。きっと、願いが叶うまで永遠に眠り続けるだろう。
俺は力と知識があるが、これから生まれる兄弟達は、普通の赤子同然で生まれる上に、どんな力があるか分からない。
ただ言えるのは、俺にとって大切な兄弟であり、守るべき対象であるという事。
取り敢えず、兄弟達がいつ生まれても良いように、家の導線や角のある家具を丸くしていく。
その他にも、兄弟達の服や教育に必要な積み木等の玩具を用意していく。
そして一応、全員分の部屋を作っていく。
作り終わった後、床に置いてある兄弟達を、安全なベビーベットの中にまとめて入れいき、床に散らばっていた俺が出て来た卵の殻を一つの箱に入れて収納した。
何故、捨てないか気になるだろうが、俺の卵の殻はパールで出来ていたのと、母さんから生まれた証拠と記念にと人間で言う臍の緒の様に、目覚めた時に母さんが喜ぶと思ったからだ。
一通り落ち着いた後、俺は窓辺の椅子に座り、すっかり暗くなった空に浮かぶ月を眺める。
そして、母さんが今までされた仕打ちや、今世の母さんの唯一の友人の事を考える。
母さんの願いには矛盾がある様に思え、一体、どちらの願いを叶えるのが良いのかと考えてしまう。
だが、母さんの願いの順番は、『人間達をもう守らない』だった。聖女が守らないと決めたという事は、人間は滅びの一途を確実に進んで行くという事だ。
そもそも何故、聖女が誕生したかと言うと、神々が人間界を離れる際に、人間達を不憫に思い、全ての神々が話し合いを行った。そして全ての神々の力を使える能力を持った者を創る事になったのだ。人間達の幸せを願い、祝福として聖女を創った。それが母さんだ。
今までの母さんは、人間達を幸せにする為に頑張ったが、愚かな人間達は母さんを恐れ殺した。
五回目の母さんは、とても残酷にも身体をバラバラにされ今も世界中にあり、愚かな人間達は、母さんの身体を使って人工聖女を完成させた様だ。
そして、その人工聖女を始末し、母さんの身体を取り戻す事も、俺達子供の宿命だろう。


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