Recreation World ~とある男が〇〇になるまでの軌跡〜

虚妄公

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第1章 始まり

3話 この世界

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気がつくとリュウジンは噴水のある街中の大きな広間にいた。

(ここが帝国ってことか。たしか凛の奴、まずは冒険者ギルドと武器屋に行けって言ってたな。
 場所がわからんがとりあえずそこらへんの奴に聞くか。)

 大きな広間だけあってNPCもプレイヤーも数多く存在した。

「そこのご婦人、すまんが冒険者ギルドの場所を教えてくれんか?」
 適当に前を通った女性に声をかけた。

 突然話しかけられた女性は驚きつつも、質問の内容を理解すると教えてくれた。
「え? えっと、この道をまっすぐいってあそこに見える緑色の看板を左に曲がってまっすぐ行けばおそらくわかると思います。」

「ありがとう。助かった」

「い、いえ」
 お礼を言うと即座に冒険者ギルドに向かっていった。

 すると

 ――きゃああああああああ

 と女性の悲鳴が聞こえてきたので、そちらを向くと今にも街中を爆走している馬車に跳ねられそうな小さな子供が道の真ん中にいた。
 リュウジンは考えるよりも前に駆け出し、間一髪のところで子供を救うことができた。

「な、何だあの馬車は」
 怒りの表情でリュウジンが呟いていると

 一人の女性が走ってきて
「ありがとうございます!ありがとうございます!」
 と何度もお礼を言いながら子供を抱きしめている。

「あまり子供から目を離さんことだな」
 と言いその親子への興味は既になくなっていた。

「ありゃ、アファルド侯爵家の馬車だな」
 と見知らぬおっさんが話しかけてきた。

「街中であのような運転をしても咎められんのか?」

「ふん、お貴族様が平民を1人轢き殺したところで俺らは何も出来やしねぇからな。」

「だが、この中に貴族がいる可能性もあるだろ?」

「お貴族様は基本貴族街から出てこねぇからな。平民の店なんぞに用なんざ無いからこんなところに貴族がいることなんて滅多にねぇよ」

「なるほど」
 そうしてこのゲームの設定について考えていると

「それより、さっきの動き見ていたがなかなかやるじゃねぇか兄ちゃん。今度どこかで一杯どうだ?その気になったら俺は大抵この先の『ウォッカムの酒場』にいるから声かけてくれや」
 そう言っておっさんは去っていった。
 すると視界の端にアイコンが出てきたのでタップしてみると

 ――ロデムを訪ねようーー
 内容:ロデムを訪ねる
 頻出場所:ウォッカムの酒場
 報酬:ドリンク1杯、依頼
 期限:無期限
 ―――――――――

「なるほど。こういった感じでクエストが生まれるのか、相当自由度が高いんだな。それにぱっと見じゃNPCかプレイヤーなのかわからんな。」

(本当に1つの世界にいるようだな。たしかNPCは一度死んだら蘇らんと言っていたな。あの時子供が轢かれていたらあの子供は2度と蘇らなくてあの母親は子供を失った状態でこれから生活していくわけか・・・。なるほど、決まった未来ではなくプレイヤーとNPCの選択で世界が作られていくわけか。ん?・・・となると、モンスターも一度殺すと2度と蘇らん可能性もあるのか?そうなると強敵には早めに挑まんといかんな。)

 そう思いながら当初の予定通り冒険者ギルドに向かって歩き出した。
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