樹くんの甘い受難の日々

琉海

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第一章

7.悪魔に魂を売った男、樹

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「みなさん、中間テストですっ」

「どうした樹」

「中間テストなんですってば!学生の本文は勉学でありますよっ!」

「そうだねぇ」

「雅樹くんもそう思いますよね?てなわけで、我々はテスト対策に臨もうではないかと!

よって、連日続いておりますスケベなイタズラも完全封殺です」

「「えぇっ!」」

「当り前だろうがよ。お前らと違って俺はちょっとばかしお勉強が苦手なのだよ」

「ふむ。それもそうか。

じゃあさ、テスト対策手伝ってあげるからさ。見返りくれない?」

「は?やだよ。なんか嫌な予感がするもん」

「全教科80点は取れるようにしてあげるよ?」

「はっ…はち…じゅってん?」

「うん。樹の得意な科目だと90以上は軽くいくよ?」

「よし乗ったぁぁぁああああ!!!!」

「ちょろ樹」



ぼそっと勝が言っているが、高得点に背に腹は代えられぬ。





そこから地獄の特訓が始まった。雅樹のスパルタは想像以上だった。

「普段の授業と軽い予習で充分。テスト前にやるのは全体に目を通すだけ」

だと言う雅樹は、俺がみっちりやるのを見て不思議でしょうがないという顔をしていた。

(チッ。これだからチートやろうは…)

その間、勝はサポート役に回って教えてもらったヶ所の復習を一緒にやってくれた。

勝も雅樹と同じ勉強方法だった事がちょっとだけ腹立たしかったのだが。

…八つ当たりなのは自覚している。



むちゃくちゃ頑張ったんだけど、ふと「あれ?雅樹の宣言通りの点数になったら俺、オイシク頂かれちゃうの?やっぱり早まった?」と思う時も正直あった。

高得点というエサに見事に釣られたと。今さらだが。

だからといって、手を抜く気はない。今や鬼コーチと化した雅樹が怖いという事もあるが、何よりもここまで頑張ったのだから走り抜きたいという気持ち大きかった。



「や…やった…やったよぉぉぉおおお!!!」



全教科返ってきて、答案用紙を持って2人の元へ走り寄った。



「2人のおかげで、全て80点以上!現国と社会に至っては90点超えた!」



俺の声が教室中に響き渡り、みんなが俺らに注目した。



「え?マジ?2人に勉強見てもらったの?」



どやどやとクラスメイトに囲まれる俺ら。



「マジだ!樹のテストみんな80点以上だ!!」



オォォオオオオと歓声が上がる。



「おいそこのチビ助。お前、ドヤ顔で威張りくさってるけど、お前に全教科高得点を取らせた2人がすげぇんだぞ?」



そういって、田中が俺にデコピンした。



「ぐぅ。分かってる。しかしだな!頑張ったのは俺だ!すごいのも俺だ!」

「チビ助らしいわ」

「田中のくせして偉そうに…」

「どういう意味だ。チビのくせに偉そうに…」

「なにをーー!!!」

「お!やるか!」

「ハイハイハイ。茶番はここまでにして」



俺と田中の間に勝が入ってきた。

のはいいが、俺のおでこに手のひらを当ててるのはなぜだ。

おかげで首がぐぃんとなった。



「俺らがすげぇのは確かだが、頑張ったのは樹だ。すごいぞ樹!」



キラキラしぃ笑顔を振りまく勝。

たったこれだけで女子が顔を赤くするのは何故だ。解せぬぞ。



「私も2人に勉強教えてほしーい!」

「うちもー!」

「あたしもーー!!!」



女子がキャーキャーと騒ぎ出す。



「ごめんなー。今回は樹からすんごい見返りがあるからなんだよー」

「ぶっ!!!」

「チビ助汚ねぇなー。急に噴き出すなよ。なんだよその古典的な噴き出しっぷりは」

「う、うるせぇ」



バカ勝!!!なんて事をいうんだ!この筋肉馬鹿!!!



「え?すんごい見返り?なになになにー?」



ほら言わんこっちゃない。10代の好奇心をなめんなよ。これは当分うるさいぞ…。



「むふふー。ひ・み・つ!」

「余計に知りたくなるーーー!!何なにー?お金…じゃないよね」



皆が俺に注目している。や、やめてくれ…俺の口からは何も言えない。



「ひ、ひみつだ…」

「ケチーー!ちょっとくらい教えてくれてもいいじゃーん」



皆の好奇心に火を点けてしまったようだ。



「なーいしょ!健全なオトコノコたちのえっちぃ秘密の話だからねぇ」



雅樹がにやりと笑って言うと、きゃー!雅樹君のえっちぃ!とかって何故だか嬉しそうな黄色い悲鳴が上がった。

さすがと言うべきか、雅樹の発言で茶化しはあってもそれ以上の追及はなかった。

俺は、雅樹のにやにや笑いの前で引き攣った顔で固まるしかなかった。



「無修正とか?」



田中がコソッと俺に耳打ちしてきたけど

「そんな感じかな」と答えるのが精いっぱいだった。ある意味無修正だしな。

今さらながらに、悪魔たちと取引をしたんだと実感した。



「たーつき♡今週末、うちにおいで♪」



にっこり笑った雅樹の顔は、まさに悪魔のような笑顔だった。
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