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第二章
94.IFオメガバース編(番外編③)
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翌日も休んで病院に行って(母ちゃんについてきてもらった……家族には報告した。妹のゆりは何でか鼻息が荒くなっていた)カウンセリングと、ヒートを抑える為の抑制剤を処方してもらった。あとは、カラー(首を守る首輪)も近々調達しないとな。
オメガはヒート(発情期ともいう)中にアルファと性行為をして、項を噛まれると「番」になるんだって。結婚よりも重い契約で、フリーのオメガはヒート中に誰彼構わずフェロモンで誘惑すんだけど(これがオメガが蔑まれる原因の一つだ)番同士になると、お互いにしかフェロモンは影響しない。
そして、オメガは番以外との性的な触れ合いが無理になる。でもアルファはその限りではないってのが上位種様だよなぁ。
基本的には番関係は一生解除されないんだけど、アルファから一方的に解除する事が出来て、解除されたオメガは悲惨だ。ヒートはくるけど番になったアルファ以外は無理だからどんどん衰弱していくし、精神的にも弱ってしまって、自ら命を絶つかオメガ専門の精神病院に入院する人が多い。
それに耐えきるすごい人もいるらしいけど、極まれだ。
だから、安易に番関係になってはいけないと、事故を未然に防ぐためにアルファもオメガも抑制剤をきちんと服用するし、オメガは3ヶ月に1度くるヒート周期を管理する必要がある。
「俺もいつか、好きな人の子供産むのかなぁ~…」
何故か親友3人の顔が浮かんできて、慌てて振り払った。
手元の携帯が震えてちらりと目線を落とすとあいつらからのラインがびっしり。
いい加減リアクションしないと怒られそうだ。
『返信しなくてごめんな。今日も病院きててさ。ちゃんと説明するから』
『大丈夫か?』
『ねぇ、樹、もし迷惑じゃなかったら今日家に行ってもいい?』
『俺らもいいかな』
『分かった。待ってるよ』
3人から怒涛の返信がきた。
秒で返信きた。
ん?今、授業中だよな??あいつら心配しすぎだろ。
「へへ……でも正直嬉しいな」
親友たちの過保護なくらいの友情は正直、鬱陶しい時もあるけどこんなにも大切に思われてて嬉しいなと素直に感謝した。
「小鳥遊君は今、とても不安定な時期だ。だから抑制剤はきちんと持ち歩くこと。あと、学校の緊急ルームと抑制剤のある場所はきちんとチェックしておくこと。あぁ、注射器型の抑制剤の使い方も教えておこうね。
———可能であれば、仲の良い人に打ち明けて何かあった時に協力してもらえるよう頼んでおいた方がいいけど、これに関しては絶対じゃないし、誰にも言わなくてもいいよ。
あと、アルファとはあまり長時間接触しないようにね。今は刺激されてヒートを起こしかねないから」
「俺の親友3人共アルファなんですけど……」
「うーーーん…そうかぁ。彼らもしっかり抑制剤は常備していると思うけど、そうだね、やはり彼らには打ち明けておいた方が良いだろうね……親友なら離れる事は難しいし、お互いに自衛する事は大切だからね」
「はい」
「不安な事は沢山あるし心配も尽きないだろうけど、何かあったら気軽に相談に来てね」
「はい。ありがとうございます」
「じゃあ、今日は抑制剤2週間分と軽い精神安定剤を数日分出しておくね。これは一緒に飲んでも問題ないものだから。しばらくは2週間おきに通院して、落ち着いたら3ヶ月毎に来て。経過観察して自分でも管理できるようになったら抑制剤の処方で半年に1回でいいからね」
「分かりました」
「じゃあ、お母さん、落ち着くまでは小鳥遊君を家族みんなで見守ってあげてください」
「はい。ありがとうございました」
「じゃあまたね」
「はぁい。先生、ありがとうございました」
やっぱり、あいつらにはちゃんと報告しておいた方がいいよな。
内緒にするつもりはなかったけど、改めてそう思った。
「「「樹(ちゃん)!」」」
「おーーぅ。今日はありがとなー」
「顔色も戻ったね———少しだけ痩せたかな」
「心配かけてすまんなぁ」
部屋きた緊張顔の3人は俺の顔を見て安心したように笑った。
何故だか胡坐をかいた雅樹の脚の上に乗せられているんだが……まぁ、いいか。
「んーーー……でさ、お前らに報告があんだけどさ」
3人の顔を見ると真剣な顔で俺を見つめている。ちょっと、言いづらいと思ってわざと笑いながら軽く言った。
「俺さ、オメガになっちゃった!あはは」
「「「………」」」
え゛!なんで無言なんだよ。俯いてんだよ。え、もしかしてオメガになったの引いた?顔から血の気が引いていくのが分かった。指先が冷たくて小刻みに震える。
「ごめ……引く、よな。で、でもお前らの前で間違ってもヒートになって誘うような事しないから!しっかり管理するし。―――いや、なら離れるし」
「樹!ごめん。俺らが黙っちゃったから怖くなっちゃったよね。ごめんね。違う、違うんだよ。樹がオメガになったからって俺らは樹から離れないよ!」
「あぁ、そうだ。俺もお前から離れない。すまん、びびったよな」
「樹ちゃん、俺もだよ。ごめんね?びっくりしたね?おいで。あぁ、泣かないで」
雅樹の脚の上からからひょいと抱き上げられて志木にすっぽりと抱き込まれた。志木に言われて自分が無意識に泣いていた事に気づいてちょっと恥ずかしくなって、志木の胸板に顔があるのをいい事にシャツでぐいぐいと涙を拭いた。
顔を上げられて優しく両手で包み込まれた。志木の目を見ると、いつもと同じように穏やかで優しい目で、その中に蔑みや嫌悪感がない事にほっとする。
「樹ちゃん、樹ちゃんのバース性がなんであれ俺は”樹ちゃんが”が大好きで大切だからね。それは忘れないで。オメガに変異して今は怖くて動揺もしていると思う。俺らを頼って?気なんか使わないでいいから」
「しきぃ……」
「あぁぁ、泣かないで!目が腫れちゃうよ……可愛いなぁ、もう」
「ん……」
優しい言葉を言われてぼろぼろと泣いてしまったぶっさいくな顔の俺を見て志木がくすりと笑ったかと思うと涙を唇ですくってそのまま顔中にキスの雨を降らすもんだから、最初は気持ちよくてボヤっとしてたけど、我に返ってびっくりして泣き止んだ。ほえぇぇ?!
「あぁーー!志木!!」
「てめぇ!」
唇にふわりと柔らかいものが触れて離れていく……何が起きたか分からなくてカチンと固まった。
「ふぁ?!ししししししし志木?!いいいいいいい今!!今今今!!!」
「あはは、ごめんね。樹ちゃんにキスした」
「な、なんでぇぇえ?!」
「え?樹ちゃんが大好きだから。めちゃくちゃ、好き」
とろりと甘い甘い顔で、でもめちゃくちゃ嬉しそうに笑ってしれっと言うから怒るタイミングを逃してしまった。
ふぁ、ふぁーーすときすだったのにぃぃいいいいいい!!!!
オメガはヒート(発情期ともいう)中にアルファと性行為をして、項を噛まれると「番」になるんだって。結婚よりも重い契約で、フリーのオメガはヒート中に誰彼構わずフェロモンで誘惑すんだけど(これがオメガが蔑まれる原因の一つだ)番同士になると、お互いにしかフェロモンは影響しない。
そして、オメガは番以外との性的な触れ合いが無理になる。でもアルファはその限りではないってのが上位種様だよなぁ。
基本的には番関係は一生解除されないんだけど、アルファから一方的に解除する事が出来て、解除されたオメガは悲惨だ。ヒートはくるけど番になったアルファ以外は無理だからどんどん衰弱していくし、精神的にも弱ってしまって、自ら命を絶つかオメガ専門の精神病院に入院する人が多い。
それに耐えきるすごい人もいるらしいけど、極まれだ。
だから、安易に番関係になってはいけないと、事故を未然に防ぐためにアルファもオメガも抑制剤をきちんと服用するし、オメガは3ヶ月に1度くるヒート周期を管理する必要がある。
「俺もいつか、好きな人の子供産むのかなぁ~…」
何故か親友3人の顔が浮かんできて、慌てて振り払った。
手元の携帯が震えてちらりと目線を落とすとあいつらからのラインがびっしり。
いい加減リアクションしないと怒られそうだ。
『返信しなくてごめんな。今日も病院きててさ。ちゃんと説明するから』
『大丈夫か?』
『ねぇ、樹、もし迷惑じゃなかったら今日家に行ってもいい?』
『俺らもいいかな』
『分かった。待ってるよ』
3人から怒涛の返信がきた。
秒で返信きた。
ん?今、授業中だよな??あいつら心配しすぎだろ。
「へへ……でも正直嬉しいな」
親友たちの過保護なくらいの友情は正直、鬱陶しい時もあるけどこんなにも大切に思われてて嬉しいなと素直に感謝した。
「小鳥遊君は今、とても不安定な時期だ。だから抑制剤はきちんと持ち歩くこと。あと、学校の緊急ルームと抑制剤のある場所はきちんとチェックしておくこと。あぁ、注射器型の抑制剤の使い方も教えておこうね。
———可能であれば、仲の良い人に打ち明けて何かあった時に協力してもらえるよう頼んでおいた方がいいけど、これに関しては絶対じゃないし、誰にも言わなくてもいいよ。
あと、アルファとはあまり長時間接触しないようにね。今は刺激されてヒートを起こしかねないから」
「俺の親友3人共アルファなんですけど……」
「うーーーん…そうかぁ。彼らもしっかり抑制剤は常備していると思うけど、そうだね、やはり彼らには打ち明けておいた方が良いだろうね……親友なら離れる事は難しいし、お互いに自衛する事は大切だからね」
「はい」
「不安な事は沢山あるし心配も尽きないだろうけど、何かあったら気軽に相談に来てね」
「はい。ありがとうございます」
「じゃあ、今日は抑制剤2週間分と軽い精神安定剤を数日分出しておくね。これは一緒に飲んでも問題ないものだから。しばらくは2週間おきに通院して、落ち着いたら3ヶ月毎に来て。経過観察して自分でも管理できるようになったら抑制剤の処方で半年に1回でいいからね」
「分かりました」
「じゃあ、お母さん、落ち着くまでは小鳥遊君を家族みんなで見守ってあげてください」
「はい。ありがとうございました」
「じゃあまたね」
「はぁい。先生、ありがとうございました」
やっぱり、あいつらにはちゃんと報告しておいた方がいいよな。
内緒にするつもりはなかったけど、改めてそう思った。
「「「樹(ちゃん)!」」」
「おーーぅ。今日はありがとなー」
「顔色も戻ったね———少しだけ痩せたかな」
「心配かけてすまんなぁ」
部屋きた緊張顔の3人は俺の顔を見て安心したように笑った。
何故だか胡坐をかいた雅樹の脚の上に乗せられているんだが……まぁ、いいか。
「んーーー……でさ、お前らに報告があんだけどさ」
3人の顔を見ると真剣な顔で俺を見つめている。ちょっと、言いづらいと思ってわざと笑いながら軽く言った。
「俺さ、オメガになっちゃった!あはは」
「「「………」」」
え゛!なんで無言なんだよ。俯いてんだよ。え、もしかしてオメガになったの引いた?顔から血の気が引いていくのが分かった。指先が冷たくて小刻みに震える。
「ごめ……引く、よな。で、でもお前らの前で間違ってもヒートになって誘うような事しないから!しっかり管理するし。―――いや、なら離れるし」
「樹!ごめん。俺らが黙っちゃったから怖くなっちゃったよね。ごめんね。違う、違うんだよ。樹がオメガになったからって俺らは樹から離れないよ!」
「あぁ、そうだ。俺もお前から離れない。すまん、びびったよな」
「樹ちゃん、俺もだよ。ごめんね?びっくりしたね?おいで。あぁ、泣かないで」
雅樹の脚の上からからひょいと抱き上げられて志木にすっぽりと抱き込まれた。志木に言われて自分が無意識に泣いていた事に気づいてちょっと恥ずかしくなって、志木の胸板に顔があるのをいい事にシャツでぐいぐいと涙を拭いた。
顔を上げられて優しく両手で包み込まれた。志木の目を見ると、いつもと同じように穏やかで優しい目で、その中に蔑みや嫌悪感がない事にほっとする。
「樹ちゃん、樹ちゃんのバース性がなんであれ俺は”樹ちゃんが”が大好きで大切だからね。それは忘れないで。オメガに変異して今は怖くて動揺もしていると思う。俺らを頼って?気なんか使わないでいいから」
「しきぃ……」
「あぁぁ、泣かないで!目が腫れちゃうよ……可愛いなぁ、もう」
「ん……」
優しい言葉を言われてぼろぼろと泣いてしまったぶっさいくな顔の俺を見て志木がくすりと笑ったかと思うと涙を唇ですくってそのまま顔中にキスの雨を降らすもんだから、最初は気持ちよくてボヤっとしてたけど、我に返ってびっくりして泣き止んだ。ほえぇぇ?!
「あぁーー!志木!!」
「てめぇ!」
唇にふわりと柔らかいものが触れて離れていく……何が起きたか分からなくてカチンと固まった。
「ふぁ?!ししししししし志木?!いいいいいいい今!!今今今!!!」
「あはは、ごめんね。樹ちゃんにキスした」
「な、なんでぇぇえ?!」
「え?樹ちゃんが大好きだから。めちゃくちゃ、好き」
とろりと甘い甘い顔で、でもめちゃくちゃ嬉しそうに笑ってしれっと言うから怒るタイミングを逃してしまった。
ふぁ、ふぁーーすときすだったのにぃぃいいいいいい!!!!
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