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第2章 フェルミ通商条約機構の一員として
第13話 第659基地攻防戦(後編)
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プレアデスは前線にある第659宇宙基地からの連絡が途絶えた事に伴い調査にやってきた。
そこに現れる敵重巡洋艦。
敵の待ち伏せ作戦に隊が分断された。
マァルとアイラは基地の奪還に成功したが、敵重巡洋艦とプレアデスの戦闘は続いている。
◇
敵艦の主砲が火を吹いた。
防御魔法は敵の砲弾を食い止める。
敵の榴弾が魔法の壁の表面で爆発し炎が広がる。
「すごい……これが『魔法』なんですね!」
間近で魔法を見たウサは興奮している。
西野たちは敵艦の攻撃に苦労していた。
敵対空砲の乱射が激しく、なかなか敵艦に近づけない。
「畜生、近付きづらいな……」
敵艦のハッチが開き、艦載機が飛び出した。
サーシャが即時に察知し報告する。
「敵艦載機発艦! 数は……およそ30機」
敵艦載機は西野たちを無視しプレアデスの方向に飛来する。
「くそっ、俺たちは無視かよ!」
吉川が敵艦載機を追おうとする。
「吉川、よそ見をするな。俺たちの標的は敵の船だ。あっちはあっちでなんとかする」
「そりゃそうだな」
吉川は敵艦の方に向き直った。
プレアデスの大きさはおよそ400メートルある。
そのすべてを防壁で覆うことはできず、防壁と逆側は無防備になる。
敵機はそこを狙っているようだ。
敵艦の艦砲射撃は激しく防御魔法にサーシャは集中せねばならない。
「サトシ、アルデ敵艦載機を頼む!」
サトシとアルデはロボ格納庫に走り、乗り込んだ。
「2号機エレクトラ、サトシ出る!」
「4号機アルキュオネ、アルデゆくぞ!」
敵との距離が近いためカタパルトを使わず格納庫から直接飛び出す。
「10秒後に接敵、アルデ! 光球魔法で敵の視界を奪うぞ。……3……2……1」
「「光球魔法!」」
暗黒の宇宙に目映い光の球が生じる。
光の中に黒い宇宙迷彩柄の敵艦載機が見える。
敵は一瞬視界を奪われたようだ、その隙を突き二人は速射火炎魔法を撃つ。
敵機を数機撃墜した。
しかし、依然敵機は残っている。
ウサは敵機の中に一機異常な反応速度の機体があることに気づいた。
一機のみ白い塗装が施されている。
宇宙空間は暗いため、宇宙迷彩は黒を基調としたものとなる。
白い機体は目立ち、狙い撃ちされるため通常は使用されない。
「あれは……」
敵の機体に記載された火の玉ペイントには見覚えがある。
バーチャルオペレーションで見た機体だ。
携帯端末で検索を行う。
「やっぱり! 艦長!あれは『コボル』、敵のエースパイロットです」
ウサの報告とサトシの被弾はほほ同時だった。
白い機体からの攻撃だ。
サトシの機体エレクトラは右腕を付け根から失い、コックピットには亀裂が入っている。
「サトシ!」
咄嗟にアルデが体当たりし、エレクトラをプレアデスの格納庫に叩き込んだ。
「サトシがやられた! 回復班、格納庫に向かえ!」
アルデは素早く敵に向き直る。
「おのれ! 落ちよ! 全方位速射火炎魔法!!!」
敵機が次々と大破する。
しかし、白い機体はバルカンを縫うように避け、ミサイルをプレアデスに発射する。
ミサイルが着弾し、プレアデスの船体が大きく揺れる。
また新たな風穴が空いた。
「ユカこの場を頼む、俺が打って出る!」
「わかりました!」
艦の指揮はユカに渡り、ソウコウは格納庫へ走る。
「サーシャさん、防御魔法をそのまま張り続けてください。魔導士の皆さんは艦内の怪我人への対応をお願いします。西野と吉川はまず敵艦の主砲を破壊して」
「1号機マイア、乗員ソウコウいくぞ!」
ソウコウはスラスターを全開し白い機体めがけ発進した。
「食らえ! 広域雷撃魔法!」
ソウコウを中心として稲妻が走る。
魔法石では発動できない勇者の固有魔法だ。
金属でできた敵機はすべてが被弾、大破する。
白い機体もこの攻撃は避けることができず後部から火を吹いた。
白い機体は母艦に引き返すコースをとる。
「逃がさぬぞ!」
アルデは速射火炎魔法を放つが範囲外だ。
西野と吉川は前の戦闘で使用したバズーカ戦法を使用しようとしていた。
西野が防御魔法で盾を作り、吉川が岩石組成魔法で作った榴弾を敵に叩き込む戦法だ。
バズーカ戦法は成功した。
敵艦の主砲が炎に包まれる。
「よし! 次は敵艦本体だ!」
吉川が岩石組成魔法で榴弾を組成する。
その横を白い敵艦載機が横切った。
不意の出来事に集中が削がれ組成が失敗、岩石が形を失う。
白い機体はそのまま敵艦に着艦した。
敵艦は踵を返し暗い宇宙に吸い込まれるように消えた。
◇
ジェミ軍重巡洋艦『パール』。
中破した白い機体から、精悍な顔立ちをした青年が降り立った。
一見、人間と見分けがつかない外見だが、青い頭髪と金色の瞳を持っている。
「ご苦労だったな、コボル」
顎鬚を生やした男が青年を迎えた。パールの指揮官ボロンだ。
「労いはいらない、今回の戦いでは成果を挙げられなかった」
「仕方のないことだ、相手はガイナ率いる戦艦部隊を一隻で壊滅させた強者だからな」
「言い訳はしないよ。勝ちを逃した事には変わりない」
「確かに……今回の戦果でカテゴリ2入りしたかった。というのが本音ではあるがな。」
「まぁいいさ。お前がいる限り俺たちのカテゴリ2入りは確実だ。それが先になったってだけの話さ」
◇
プレアデスは戦闘不能に陥ったが、基地の奪還には成功した。
サトシは急性低酸素症で治療を受けている。
艦載ロボ一機大破、プレアデス自体も多くの破損個所があり戦闘を続けることは困難だ。
無人となった基地の再占拠は後続の部隊に任せ、プレアデスは修復のため最寄の宇宙基地へ向かう。
そこに現れる敵重巡洋艦。
敵の待ち伏せ作戦に隊が分断された。
マァルとアイラは基地の奪還に成功したが、敵重巡洋艦とプレアデスの戦闘は続いている。
◇
敵艦の主砲が火を吹いた。
防御魔法は敵の砲弾を食い止める。
敵の榴弾が魔法の壁の表面で爆発し炎が広がる。
「すごい……これが『魔法』なんですね!」
間近で魔法を見たウサは興奮している。
西野たちは敵艦の攻撃に苦労していた。
敵対空砲の乱射が激しく、なかなか敵艦に近づけない。
「畜生、近付きづらいな……」
敵艦のハッチが開き、艦載機が飛び出した。
サーシャが即時に察知し報告する。
「敵艦載機発艦! 数は……およそ30機」
敵艦載機は西野たちを無視しプレアデスの方向に飛来する。
「くそっ、俺たちは無視かよ!」
吉川が敵艦載機を追おうとする。
「吉川、よそ見をするな。俺たちの標的は敵の船だ。あっちはあっちでなんとかする」
「そりゃそうだな」
吉川は敵艦の方に向き直った。
プレアデスの大きさはおよそ400メートルある。
そのすべてを防壁で覆うことはできず、防壁と逆側は無防備になる。
敵機はそこを狙っているようだ。
敵艦の艦砲射撃は激しく防御魔法にサーシャは集中せねばならない。
「サトシ、アルデ敵艦載機を頼む!」
サトシとアルデはロボ格納庫に走り、乗り込んだ。
「2号機エレクトラ、サトシ出る!」
「4号機アルキュオネ、アルデゆくぞ!」
敵との距離が近いためカタパルトを使わず格納庫から直接飛び出す。
「10秒後に接敵、アルデ! 光球魔法で敵の視界を奪うぞ。……3……2……1」
「「光球魔法!」」
暗黒の宇宙に目映い光の球が生じる。
光の中に黒い宇宙迷彩柄の敵艦載機が見える。
敵は一瞬視界を奪われたようだ、その隙を突き二人は速射火炎魔法を撃つ。
敵機を数機撃墜した。
しかし、依然敵機は残っている。
ウサは敵機の中に一機異常な反応速度の機体があることに気づいた。
一機のみ白い塗装が施されている。
宇宙空間は暗いため、宇宙迷彩は黒を基調としたものとなる。
白い機体は目立ち、狙い撃ちされるため通常は使用されない。
「あれは……」
敵の機体に記載された火の玉ペイントには見覚えがある。
バーチャルオペレーションで見た機体だ。
携帯端末で検索を行う。
「やっぱり! 艦長!あれは『コボル』、敵のエースパイロットです」
ウサの報告とサトシの被弾はほほ同時だった。
白い機体からの攻撃だ。
サトシの機体エレクトラは右腕を付け根から失い、コックピットには亀裂が入っている。
「サトシ!」
咄嗟にアルデが体当たりし、エレクトラをプレアデスの格納庫に叩き込んだ。
「サトシがやられた! 回復班、格納庫に向かえ!」
アルデは素早く敵に向き直る。
「おのれ! 落ちよ! 全方位速射火炎魔法!!!」
敵機が次々と大破する。
しかし、白い機体はバルカンを縫うように避け、ミサイルをプレアデスに発射する。
ミサイルが着弾し、プレアデスの船体が大きく揺れる。
また新たな風穴が空いた。
「ユカこの場を頼む、俺が打って出る!」
「わかりました!」
艦の指揮はユカに渡り、ソウコウは格納庫へ走る。
「サーシャさん、防御魔法をそのまま張り続けてください。魔導士の皆さんは艦内の怪我人への対応をお願いします。西野と吉川はまず敵艦の主砲を破壊して」
「1号機マイア、乗員ソウコウいくぞ!」
ソウコウはスラスターを全開し白い機体めがけ発進した。
「食らえ! 広域雷撃魔法!」
ソウコウを中心として稲妻が走る。
魔法石では発動できない勇者の固有魔法だ。
金属でできた敵機はすべてが被弾、大破する。
白い機体もこの攻撃は避けることができず後部から火を吹いた。
白い機体は母艦に引き返すコースをとる。
「逃がさぬぞ!」
アルデは速射火炎魔法を放つが範囲外だ。
西野と吉川は前の戦闘で使用したバズーカ戦法を使用しようとしていた。
西野が防御魔法で盾を作り、吉川が岩石組成魔法で作った榴弾を敵に叩き込む戦法だ。
バズーカ戦法は成功した。
敵艦の主砲が炎に包まれる。
「よし! 次は敵艦本体だ!」
吉川が岩石組成魔法で榴弾を組成する。
その横を白い敵艦載機が横切った。
不意の出来事に集中が削がれ組成が失敗、岩石が形を失う。
白い機体はそのまま敵艦に着艦した。
敵艦は踵を返し暗い宇宙に吸い込まれるように消えた。
◇
ジェミ軍重巡洋艦『パール』。
中破した白い機体から、精悍な顔立ちをした青年が降り立った。
一見、人間と見分けがつかない外見だが、青い頭髪と金色の瞳を持っている。
「ご苦労だったな、コボル」
顎鬚を生やした男が青年を迎えた。パールの指揮官ボロンだ。
「労いはいらない、今回の戦いでは成果を挙げられなかった」
「仕方のないことだ、相手はガイナ率いる戦艦部隊を一隻で壊滅させた強者だからな」
「言い訳はしないよ。勝ちを逃した事には変わりない」
「確かに……今回の戦果でカテゴリ2入りしたかった。というのが本音ではあるがな。」
「まぁいいさ。お前がいる限り俺たちのカテゴリ2入りは確実だ。それが先になったってだけの話さ」
◇
プレアデスは戦闘不能に陥ったが、基地の奪還には成功した。
サトシは急性低酸素症で治療を受けている。
艦載ロボ一機大破、プレアデス自体も多くの破損個所があり戦闘を続けることは困難だ。
無人となった基地の再占拠は後続の部隊に任せ、プレアデスは修復のため最寄の宇宙基地へ向かう。
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