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第三章:聖女は一般人になる
27.聖女張り切る
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学校での相撲計画を立ててから数日が過ぎ、リヤンが頼んでいたまわしというか帯が出来上がってきた。あとはまわしの数をそろえてもらえるよう、引き続き制作を続けてもらっている。
制作にあたっては文献をもとに正確に再現してみると言う話も出たのだが、私はどうしても股の下へ回すのが嫌だったので丁重にお断りした。
その間にルカ統括へお願いして学校の授業に相撲を取り入れることをねじ込み、文化復刻の名目でまずはやってみようと言うところまでこぎつけたのだ。
これはなかなか画期的であり、楽観的でポジティブ思考なテンカー人にとっては例のないことである。だからこそセナタは疑問を持ったらしい。
「正直申し上げて、昔のことを掘り起こすと言うのがどうも興味を持てないと言うのでしょうか。自分で言うのもなんですが、我々は過去を振り返ることはあまりしない国民性だと思います」
「その割りには歴史を勉強したりするじゃないの。昔の文化とか失われた風習とか興味でないの? ウチはそういうの好きなんだけどなぁ。相撲はまあ昔のってことじゃなかったんだけどさ」
「どういうことですか? 相撲も失われた格闘技の一つですよね? 確かにほかにも武術はあったと思いますが、なぜ相撲にしようと考えたのですか?」
「そっか、セナタたちには話したことなかったもんね。んとね、ウチが元いた世界では相撲は普通に行われてて失われた武道ってわけじゃなかったのよ。もちろん誰でもやってるってほどではないけど馴染みは深いわけ」
「なるほど。でもそれでは理由が弱くありませんか?」
「まあ最後まで聞きなさい? んでね、ウチのお父さんは相撲がすごく強い人だったわけ。まあこっちでいうと統括まではいかなくて、いいとこ属性幹部くらいかな。その相撲ですごい人たちを力士って呼んでて四股名って言う専用の名前を付けるわけさ。その名前が三笠山なんだー」
「ということはアキナさまも相撲の凄い人だったと言うことでしょうか? まさかそれはないですよね? ミカサヤマとの呼び名は家名や屋号のようなものですか?」
「そうね。苗字とか姓って言うんだけど、ウチの場合は三笠山明菜なわけ。ちなみにお父さんは三笠山明人だよ。他にも安倍川とか福の里とかいろいろあるの」
「へえ、面白いですね。名前のほかに自分の血統を引き継いでいくわけですか。私たちの場合は元からないですからこれからもないんでしょうね」
「そんなことないよ。向こうの世界でも元々なかった人にも苗字をつけることになった歴史があってさ。みんな自分にゆかりのあるなにかから取ったり、憧れから有名な名称をもらったりとかして全員つけたんだもん」
「それは素敵なお話ですね。もしテンカーでもそんなことになったらなんてつけようかなぁ。憧れからでもいいならたとえばアキナ・セナタでも構わないわけですか?」
「そ、そりゃ問題はないけどさ…… 憧れとか言われると恥ずかしいじゃないの」
「ふふ、だって本当のことですし、三人とも同じように思っておりますよ。休憩のときとかにアキナさまのいいところを出し合ったりしますしね」
「ちょっとやめてよ、恥ずかしいなぁ。ウチはそんな尊敬されるようなことしてないってのー」
「尊敬と言うか光属性だったり神力が強かったり、それにかわいいからが一番だと思います。特にイタズラしようとしてうまくいかなかったときに悔しがる表情なんて最高にかわいいじゃないですか」
そこまで聞いて、私はなんだか方向がおかしくなってきた気がした。憧れと言うよりバカにされてる? いや、ペットのように思われているのではないだろうか。
まあこの外見なら仕方ない。もう割り切ってしまったほうが気が楽だ。十七歳から五歳への若返りなんて常識じゃ考えられないんだし、いっそのこともう一度やってきた幼少期を楽しめばいいじゃないか。
私はいつの間にかそんな考えを持つようになっていた。だからと言って幼児扱いへの不満が無くなったわけじゃない。
「ちょっと待って、セナタ? もしかしてそれってウチのこと赤ちゃんみたいに考えてない? 何度も言ってるけどウチはそれほど子供じゃないの! もう、絶対に見返してるやんだからね!」
そんな日々が流れ、ようやく準備が整ったある日のこと。いよいよ学校で運動の時間、つまり体育の授業が巡ってきた。これであの生意気なケイラムをぎゃふんと言わせてやる!
でもこんな小さな体で本当にそんなことができるんだろうか。この前は運よく反応できて投げたり突き飛ばしだりできたけど、相手もやる気になってるところで同じような対処は難しいかもしれない。
それでも元小結の娘として正々堂々と正面から勝負してやる。それで負けたのなら仕方ない。相手は男の子だしハナから負け試合だと思えば気にもならない、かなぁ。
そう思っていたはずなのだが、いざその時間がやってくるとどうにも誓いが守れそうになかった。なんと言ってもあのバカが生意気すぎるのがいけない。
「なにが相撲だよ。そんな昔のこといまさら覚えてどうするんだ? だいたい組み合って倒すだけなんて単純すぎて面白くないに決まってる」
「はあぁ? アンタなに言っちゃってんの? ルールが単純だから駆け引きやテクニックがモノを言うんじゃないの。まあ頭が悪い子には理解できないし? とてもじゃないけど勝ち目はないだろうからそうやって逃げるのも一つの手かもね」
「なっ、なんだとコイツ! じゃあ僕と勝負してみろ! 一瞬で投げ飛ばしてやるから泣くんじゃないぞ!」
こうして記念すべき初めての取組は、私アキナと貧弱ケイラムの組み合わせとなった。
制作にあたっては文献をもとに正確に再現してみると言う話も出たのだが、私はどうしても股の下へ回すのが嫌だったので丁重にお断りした。
その間にルカ統括へお願いして学校の授業に相撲を取り入れることをねじ込み、文化復刻の名目でまずはやってみようと言うところまでこぎつけたのだ。
これはなかなか画期的であり、楽観的でポジティブ思考なテンカー人にとっては例のないことである。だからこそセナタは疑問を持ったらしい。
「正直申し上げて、昔のことを掘り起こすと言うのがどうも興味を持てないと言うのでしょうか。自分で言うのもなんですが、我々は過去を振り返ることはあまりしない国民性だと思います」
「その割りには歴史を勉強したりするじゃないの。昔の文化とか失われた風習とか興味でないの? ウチはそういうの好きなんだけどなぁ。相撲はまあ昔のってことじゃなかったんだけどさ」
「どういうことですか? 相撲も失われた格闘技の一つですよね? 確かにほかにも武術はあったと思いますが、なぜ相撲にしようと考えたのですか?」
「そっか、セナタたちには話したことなかったもんね。んとね、ウチが元いた世界では相撲は普通に行われてて失われた武道ってわけじゃなかったのよ。もちろん誰でもやってるってほどではないけど馴染みは深いわけ」
「なるほど。でもそれでは理由が弱くありませんか?」
「まあ最後まで聞きなさい? んでね、ウチのお父さんは相撲がすごく強い人だったわけ。まあこっちでいうと統括まではいかなくて、いいとこ属性幹部くらいかな。その相撲ですごい人たちを力士って呼んでて四股名って言う専用の名前を付けるわけさ。その名前が三笠山なんだー」
「ということはアキナさまも相撲の凄い人だったと言うことでしょうか? まさかそれはないですよね? ミカサヤマとの呼び名は家名や屋号のようなものですか?」
「そうね。苗字とか姓って言うんだけど、ウチの場合は三笠山明菜なわけ。ちなみにお父さんは三笠山明人だよ。他にも安倍川とか福の里とかいろいろあるの」
「へえ、面白いですね。名前のほかに自分の血統を引き継いでいくわけですか。私たちの場合は元からないですからこれからもないんでしょうね」
「そんなことないよ。向こうの世界でも元々なかった人にも苗字をつけることになった歴史があってさ。みんな自分にゆかりのあるなにかから取ったり、憧れから有名な名称をもらったりとかして全員つけたんだもん」
「それは素敵なお話ですね。もしテンカーでもそんなことになったらなんてつけようかなぁ。憧れからでもいいならたとえばアキナ・セナタでも構わないわけですか?」
「そ、そりゃ問題はないけどさ…… 憧れとか言われると恥ずかしいじゃないの」
「ふふ、だって本当のことですし、三人とも同じように思っておりますよ。休憩のときとかにアキナさまのいいところを出し合ったりしますしね」
「ちょっとやめてよ、恥ずかしいなぁ。ウチはそんな尊敬されるようなことしてないってのー」
「尊敬と言うか光属性だったり神力が強かったり、それにかわいいからが一番だと思います。特にイタズラしようとしてうまくいかなかったときに悔しがる表情なんて最高にかわいいじゃないですか」
そこまで聞いて、私はなんだか方向がおかしくなってきた気がした。憧れと言うよりバカにされてる? いや、ペットのように思われているのではないだろうか。
まあこの外見なら仕方ない。もう割り切ってしまったほうが気が楽だ。十七歳から五歳への若返りなんて常識じゃ考えられないんだし、いっそのこともう一度やってきた幼少期を楽しめばいいじゃないか。
私はいつの間にかそんな考えを持つようになっていた。だからと言って幼児扱いへの不満が無くなったわけじゃない。
「ちょっと待って、セナタ? もしかしてそれってウチのこと赤ちゃんみたいに考えてない? 何度も言ってるけどウチはそれほど子供じゃないの! もう、絶対に見返してるやんだからね!」
そんな日々が流れ、ようやく準備が整ったある日のこと。いよいよ学校で運動の時間、つまり体育の授業が巡ってきた。これであの生意気なケイラムをぎゃふんと言わせてやる!
でもこんな小さな体で本当にそんなことができるんだろうか。この前は運よく反応できて投げたり突き飛ばしだりできたけど、相手もやる気になってるところで同じような対処は難しいかもしれない。
それでも元小結の娘として正々堂々と正面から勝負してやる。それで負けたのなら仕方ない。相手は男の子だしハナから負け試合だと思えば気にもならない、かなぁ。
そう思っていたはずなのだが、いざその時間がやってくるとどうにも誓いが守れそうになかった。なんと言ってもあのバカが生意気すぎるのがいけない。
「なにが相撲だよ。そんな昔のこといまさら覚えてどうするんだ? だいたい組み合って倒すだけなんて単純すぎて面白くないに決まってる」
「はあぁ? アンタなに言っちゃってんの? ルールが単純だから駆け引きやテクニックがモノを言うんじゃないの。まあ頭が悪い子には理解できないし? とてもじゃないけど勝ち目はないだろうからそうやって逃げるのも一つの手かもね」
「なっ、なんだとコイツ! じゃあ僕と勝負してみろ! 一瞬で投げ飛ばしてやるから泣くんじゃないぞ!」
こうして記念すべき初めての取組は、私アキナと貧弱ケイラムの組み合わせとなった。
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