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第3章
第20話、女装化です②
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今朝から真琴は、何故かマフラーを身につけているのだけど、せめてそこから下、胸元に視線を下げないようにしておかないとまた妄想が止まらなくなってしまう。
しかし代わりに目についた真琴の唇、その柔らかな唇が、昨晩の事を思い出すきっかけになってしまい——
ダメだダメだ!
また意識を他所に向けないと!
しかし直ぐに、背中に当たる柔らかな温もりで引き戻されてしまう。
これは——
真琴とアズが、普段から必要以上にベタベタしてくるのが原因だと思うんだけど、クロさんはそれらを間近で見ているため、少し俺に対するガードが甘くなっているんじゃないのかなと思う。
現に今、後ろから俺のサイドの髪を取りなにやら編み込み始めたクロさんは、柔らかな胸を俺の背中に押し付けてきているのだ。
そこで深呼吸。
……よし、理性は保たれた!
それからクロさんが俺の左側頭部の方に移動して暫く経つと、化粧が終わった真琴とヴィクトリアさんがスイッチして、ヴィクトリアさんがラストスパートをかけたようにどんどんと俺に服を宛てがっていく。
その迫力は凄まじく、またヴィクトリアさんの目が血走っているため別人のような印象を受けてしまう。
それに間違いなく、口角釣りあがっていますよね?
そこでヴィクトリアさんが服を一つに絞ったようだ。
「それではユウト様、これを試着していただいてもよろしいですか? 」
「……わかりました」
ヴィクトリアさんに促され、俺は渋々部屋の隅、カーテンに隠れるようにしながら試着を開始。
そうしてカーテンから出た俺は、これで女装に関する全ての作業が完了したようだ。
そこで今まで最後のお楽しみという事で見せて貰えていなかった、自身の姿を確認するため鏡の前に立ってみる。
これ、……ほんとに俺なのか?
そう、そこには化粧の力で、微かに頬を染めるおとなしそうな、どっからどうみても少女がいた。
化粧の力、すごー!
改めて上から見てみよう。
散々クシでとかれた白髪は、アクセントとして前髪の一部をサイドに纏め細い三つ編みにされている。
今着ている服は、可愛らしい肩出しワンピース。白地に所々橙色と緑色が使われた生地は全体的に明るく、そのため俺の肌と対照的な色合いとなるため、素肌、洋服、双方が互いを引き立たせているような気がする。
でも丈の短いスカートが、どうにも下半身がスースーするため気になってしょうがない。
あれ?
……おかしいぞ。
俺、これからダンジョンに行くんだよね?
はっきし言って、スカート、特にミニスカートは防御力がかなり低いと思うんですけど?
それにこれがもし、神がかり的に丈夫な生地だったとしても、スカートだからめくられたらそれまでだし。
「凄く……お似合いです」
正面に立つヴィクトリアさんが、眼鏡をまるでスコープのように扱いながら、俺の全身を上から下までじっくり眺め始める。
「真琴さん、お化粧が上手ですね」
左から聞こえた声、クロさんの褒め言葉に右側に立つ真琴がにんまりする。
「全体的に抜け感を演出して、アイシャドウはツヤ重視にしてみたんだ。
そういうクロさんだって、サイドの三つ編みがナイスチョイスだよ」
「最初、ウィッグを付けてみようかと思ったのですけど、なかなか白髪が手に入らなくて。
そこでなにかしらの手は入れたいと思っていましたので、色んな本を調べて考えてみました」
「まー、ウィッグつけると、全くの別人になっちゃうってゆーか、偽物感が拭えないというか。
それに完成しても取れたらそれまでだしね。
結果良かったと思うよ」
「偽物感、それで胸もパットを入れなかったのですか? 」
「そうだね、それにペタもちゃんと需要はあるから、無理して入れる事はないかなと」
「たしかにですね」
女性陣、特に真琴とクロさんが話に花を咲かせている。
そこで改めて姿見を見てみる。
いやー、でも参った。
ここまでされると、俺も嫌がってばかりじゃなくて、バレないよう自然に振る舞わないといけないかなと思ってきてしまう。
あと仮に俺に姉か妹がいたら、たぶんこんな感じだったのかもしれないな。
……。
…………。
ところでこれって誰得なんだろ?
可愛くても中身が男。
そういう趣向の人もいるわけだけどさ——
なんかこう言うのって、可愛い可愛くない以前に、勿体無いと思ってしまう自分がいるんだよね。
女の子に生まれれば良かったのにと。
「でもユウト、まさかここまでとは!
本当の女の子みたいだよ」
「声でバレちゃうよ? 」
「その姿なら、多少なら喋っても大丈夫だよ」
そこで真琴が言いにくそうに、モジモジし始める。
「ねぇねぇ」
真琴が俺の肩をちょんちょん突っついてきた。
「なに? 」
「それと、その、……今すぐキスをしても良い? 」
「誰にキスをするんだよ! 」
「もちろん、キミをだよ? 」
俺の両肩に正面から手を置き、熱っぽい視線で顔が触れる寸前にまで近づけおねだりしてくる真琴。
「いや、みんながいるし!
それにせっかくの化粧や服が台無しになっちゃうし!
それに夜はまた……一緒に寝るんだよね? 」
「……夜まで待てない、なんて言ったら怒っちゃうかな? 」
どうした真琴?
なんか一線を越えたと言うか、開き直っちゃっていますよね?
「今の姿のキミを、ボクは食べてみたいんだ。
化粧が取れないよう、ふふっ、首筋とかにキスをするから……」
それは仮想、百合百合プレイって事ですよね?
もしかして昨夜のアズとのキスで、真琴が目覚めちゃったとか!?
「なになに、今からユウトをあむあむしてもいいの? 」
アズが話に加わってきた。
「俺は良いとは一言も言っていない! 」
「それより、スカートの中はどうなってるのよ?
見せなさいよね! 」
「なに男子中学生みたいな事言っているんだよ!
絶対に見せないよ! 」
というか、女の子たちに囲まれるという滅多にないシチュエーションだったため、と言うか正直に言うとここ数日、ずっと下半身の状態は見られたらダメな事になっています。
「ダークネスさん、ユウト様の故郷にはスカートめくりと言う言葉がありまして——」
「ヴィクトリアさん、何を耳打ちしているのですか!?
アズも女の子が手をワサワサしながら近づいて来ない! 」
そこで後退する俺の背中に誰かがぶつかる、真琴だ。
そして恥ずかしそうに視線を外し俯いている真琴の手には、俺が履いているミニスカートの裾が握られていた。
「ちょっ、真琴まで? 」
「えっ? あっ、いや、これは違うんだ!
ボクはその、無意識に手がふれただけで……」
そこで真琴の手が離れたので俺は真琴から距離を取るべく後退りをする。
すると真琴がガーンと言う顔になって目に涙を浮かべる。
「あははっ、真琴もやる気になったわね。
さぁ、クロも手伝うのよ! 」
「えっ、あっ、いえ、私は——」
「なによ? 私の言うことが聞けないの? 」
「その……お嬢様、ごめんなさい! 」
クロさん、貴女はやっぱり誰よりも女神様です!
「へぇー、どうやらあとでお仕置きが必要みたいね」
しかし当然の流れになるんだろうけど、アズが残虐な笑みを浮かべると、クロさんが顔を痙攣らせる。
とそこで——
「お手伝いしましょう」
そう述べたのはヴィクトリアさん。
そして彼女の上方空間から、どうなってるのかチンプンカンプンなんですけど二本の鎖が生えるようにして出現していた。
そしてその鎖はジャラジャラ鳴らして一気に伸びると、俺の両手に巻きついて自由を奪う!?
「と言うかヴィクトリアさん、アズの方の手伝いをするんですか!? 」
「私もユウト様を弄りたい気分でして」
そこでアズの手が、俺のスカートに伸びてくる。
「アズ!? 駄目だよ! 近寄らないで! 」
「あははっ、観念しなさい! 」
そうして宿屋の一室で俺の悲鳴が鳴り響いた。
というか俺たち、これからダンジョンに潜るんですよね?
なんか行く前から、ドッと疲れているんですけど……。
しかし代わりに目についた真琴の唇、その柔らかな唇が、昨晩の事を思い出すきっかけになってしまい——
ダメだダメだ!
また意識を他所に向けないと!
しかし直ぐに、背中に当たる柔らかな温もりで引き戻されてしまう。
これは——
真琴とアズが、普段から必要以上にベタベタしてくるのが原因だと思うんだけど、クロさんはそれらを間近で見ているため、少し俺に対するガードが甘くなっているんじゃないのかなと思う。
現に今、後ろから俺のサイドの髪を取りなにやら編み込み始めたクロさんは、柔らかな胸を俺の背中に押し付けてきているのだ。
そこで深呼吸。
……よし、理性は保たれた!
それからクロさんが俺の左側頭部の方に移動して暫く経つと、化粧が終わった真琴とヴィクトリアさんがスイッチして、ヴィクトリアさんがラストスパートをかけたようにどんどんと俺に服を宛てがっていく。
その迫力は凄まじく、またヴィクトリアさんの目が血走っているため別人のような印象を受けてしまう。
それに間違いなく、口角釣りあがっていますよね?
そこでヴィクトリアさんが服を一つに絞ったようだ。
「それではユウト様、これを試着していただいてもよろしいですか? 」
「……わかりました」
ヴィクトリアさんに促され、俺は渋々部屋の隅、カーテンに隠れるようにしながら試着を開始。
そうしてカーテンから出た俺は、これで女装に関する全ての作業が完了したようだ。
そこで今まで最後のお楽しみという事で見せて貰えていなかった、自身の姿を確認するため鏡の前に立ってみる。
これ、……ほんとに俺なのか?
そう、そこには化粧の力で、微かに頬を染めるおとなしそうな、どっからどうみても少女がいた。
化粧の力、すごー!
改めて上から見てみよう。
散々クシでとかれた白髪は、アクセントとして前髪の一部をサイドに纏め細い三つ編みにされている。
今着ている服は、可愛らしい肩出しワンピース。白地に所々橙色と緑色が使われた生地は全体的に明るく、そのため俺の肌と対照的な色合いとなるため、素肌、洋服、双方が互いを引き立たせているような気がする。
でも丈の短いスカートが、どうにも下半身がスースーするため気になってしょうがない。
あれ?
……おかしいぞ。
俺、これからダンジョンに行くんだよね?
はっきし言って、スカート、特にミニスカートは防御力がかなり低いと思うんですけど?
それにこれがもし、神がかり的に丈夫な生地だったとしても、スカートだからめくられたらそれまでだし。
「凄く……お似合いです」
正面に立つヴィクトリアさんが、眼鏡をまるでスコープのように扱いながら、俺の全身を上から下までじっくり眺め始める。
「真琴さん、お化粧が上手ですね」
左から聞こえた声、クロさんの褒め言葉に右側に立つ真琴がにんまりする。
「全体的に抜け感を演出して、アイシャドウはツヤ重視にしてみたんだ。
そういうクロさんだって、サイドの三つ編みがナイスチョイスだよ」
「最初、ウィッグを付けてみようかと思ったのですけど、なかなか白髪が手に入らなくて。
そこでなにかしらの手は入れたいと思っていましたので、色んな本を調べて考えてみました」
「まー、ウィッグつけると、全くの別人になっちゃうってゆーか、偽物感が拭えないというか。
それに完成しても取れたらそれまでだしね。
結果良かったと思うよ」
「偽物感、それで胸もパットを入れなかったのですか? 」
「そうだね、それにペタもちゃんと需要はあるから、無理して入れる事はないかなと」
「たしかにですね」
女性陣、特に真琴とクロさんが話に花を咲かせている。
そこで改めて姿見を見てみる。
いやー、でも参った。
ここまでされると、俺も嫌がってばかりじゃなくて、バレないよう自然に振る舞わないといけないかなと思ってきてしまう。
あと仮に俺に姉か妹がいたら、たぶんこんな感じだったのかもしれないな。
……。
…………。
ところでこれって誰得なんだろ?
可愛くても中身が男。
そういう趣向の人もいるわけだけどさ——
なんかこう言うのって、可愛い可愛くない以前に、勿体無いと思ってしまう自分がいるんだよね。
女の子に生まれれば良かったのにと。
「でもユウト、まさかここまでとは!
本当の女の子みたいだよ」
「声でバレちゃうよ? 」
「その姿なら、多少なら喋っても大丈夫だよ」
そこで真琴が言いにくそうに、モジモジし始める。
「ねぇねぇ」
真琴が俺の肩をちょんちょん突っついてきた。
「なに? 」
「それと、その、……今すぐキスをしても良い? 」
「誰にキスをするんだよ! 」
「もちろん、キミをだよ? 」
俺の両肩に正面から手を置き、熱っぽい視線で顔が触れる寸前にまで近づけおねだりしてくる真琴。
「いや、みんながいるし!
それにせっかくの化粧や服が台無しになっちゃうし!
それに夜はまた……一緒に寝るんだよね? 」
「……夜まで待てない、なんて言ったら怒っちゃうかな? 」
どうした真琴?
なんか一線を越えたと言うか、開き直っちゃっていますよね?
「今の姿のキミを、ボクは食べてみたいんだ。
化粧が取れないよう、ふふっ、首筋とかにキスをするから……」
それは仮想、百合百合プレイって事ですよね?
もしかして昨夜のアズとのキスで、真琴が目覚めちゃったとか!?
「なになに、今からユウトをあむあむしてもいいの? 」
アズが話に加わってきた。
「俺は良いとは一言も言っていない! 」
「それより、スカートの中はどうなってるのよ?
見せなさいよね! 」
「なに男子中学生みたいな事言っているんだよ!
絶対に見せないよ! 」
というか、女の子たちに囲まれるという滅多にないシチュエーションだったため、と言うか正直に言うとここ数日、ずっと下半身の状態は見られたらダメな事になっています。
「ダークネスさん、ユウト様の故郷にはスカートめくりと言う言葉がありまして——」
「ヴィクトリアさん、何を耳打ちしているのですか!?
アズも女の子が手をワサワサしながら近づいて来ない! 」
そこで後退する俺の背中に誰かがぶつかる、真琴だ。
そして恥ずかしそうに視線を外し俯いている真琴の手には、俺が履いているミニスカートの裾が握られていた。
「ちょっ、真琴まで? 」
「えっ? あっ、いや、これは違うんだ!
ボクはその、無意識に手がふれただけで……」
そこで真琴の手が離れたので俺は真琴から距離を取るべく後退りをする。
すると真琴がガーンと言う顔になって目に涙を浮かべる。
「あははっ、真琴もやる気になったわね。
さぁ、クロも手伝うのよ! 」
「えっ、あっ、いえ、私は——」
「なによ? 私の言うことが聞けないの? 」
「その……お嬢様、ごめんなさい! 」
クロさん、貴女はやっぱり誰よりも女神様です!
「へぇー、どうやらあとでお仕置きが必要みたいね」
しかし当然の流れになるんだろうけど、アズが残虐な笑みを浮かべると、クロさんが顔を痙攣らせる。
とそこで——
「お手伝いしましょう」
そう述べたのはヴィクトリアさん。
そして彼女の上方空間から、どうなってるのかチンプンカンプンなんですけど二本の鎖が生えるようにして出現していた。
そしてその鎖はジャラジャラ鳴らして一気に伸びると、俺の両手に巻きついて自由を奪う!?
「と言うかヴィクトリアさん、アズの方の手伝いをするんですか!? 」
「私もユウト様を弄りたい気分でして」
そこでアズの手が、俺のスカートに伸びてくる。
「アズ!? 駄目だよ! 近寄らないで! 」
「あははっ、観念しなさい! 」
そうして宿屋の一室で俺の悲鳴が鳴り響いた。
というか俺たち、これからダンジョンに潜るんですよね?
なんか行く前から、ドッと疲れているんですけど……。
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