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第3章
第31話、第0話的ストーリー
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しかし二面樹、生存防衛で嫌がらせをしているって思われているみたいだけど、まさかのエッチな用途で生まれてきていたとは。
……この事実は、俺の胸の中で静かに保管しておこうと思う。
『アトハダンジョン蛾ラビリンス型デ、若イ女性——』
「あぁ、それは知ってるよ」
『若イ女性ト可愛イ男ノ子シカ、深部へ到達出来ナイ縛リニナッテイルノ知ッテタノ? 』
「うん、……ってえっ? 今なんて言った? 」
『若イ女性ト可愛イ男ノ子シカ、深部ニハ行ケナイ』
「まっ、待って、可愛い男の子!? 」
まさかこの部分も間違って認識されていたとは。
考えれば納得なのだけど、ダンジョンに潜るような人は筋骨隆々な男性が多いだろうから、今まで可愛い男の子が来る事がなかったんだろう。
ん、まてよ?
「俺は男と女、どっちに見える? 」
するとバングルに一つの瞳が現れ、俺の瞳をジッと見つめた。
『普通ニ男』
がーん。
それってもしかして、ボス部屋前の見られてた時、女装は完全にバレてたってわけ?
……俺の女装って、なんだったんだろう。
しかしここまでの情報、センジュの作り話とは考えられない。センジュは謎だらけだけど、更に謎が深まったような気がする。
ん?
なんだこの、違和感?
景色は変わっていない。
でも確かに数秒前と今とでは、何かが違う気がする。
例えるなら、突然ダンジョン内の空気が一瞬にして入れ替えられたような違和感。
気のせいかな?
そこで視界に入っていたはずのクロさんの姿が、ない?
あれ?
首を左右に振る。
しかしやっぱりクロさんの姿が見えなくなっている。
そこで嫌な予感がして不安が押し寄せてくる。
俺は助けを求め真琴の姿を確認しようと振り返るのだけど——
すぐ後ろにいたはずの真琴もいなくなっていた。
腕を見れば喋るバングルも丸ごと消えている。
「あの女があそこまで弱体化するだなんて、ちょっとビックリです」
近くで声がした。
少女特有の甲高くて若々しい、それでいてどこか懐かしい声が。
そして振り返れば、幼い女の子が立っていた。
身に付けた黒のワンピースは肩口から袖までが真っ白で、襟元などに可愛らしいフリルが多様されている。
「もしかして、風華ちゃん!? 」
……口にしてみて思う、そんなはずは無いと。
さっきから変な事が起こってるし、これって夢とかなのかな?
するとその少女は頭を横に振ったため、金髪のツインテールが左右に揺れる。
「私は夢でも幻でもないですよ」
「じゃ、本当に風華ちゃんなの? 」
「はい、そうです」
そこで風華ちゃんが俺の胸に飛び込んできた。
彼女はギュッと抱きしめてくると、俺の顔を見上げながら『へっへー』と笑う。
「どうして風華ちゃんがこんなところにいるの? 」
「お兄ちゃんに会いたかったからです」
「どど、どうやって? 」
「愛の力です、なーんちゃって」
そだ、何故かはよくわからないけど風華ちゃんがいるなら、真琴も喜ぶはず!
ついさっきまで近くにいたわけだし、探せばきっと見つかるはず!
しかし、真琴の姿は見つからない。
代わりにあるのは闇、見ているだけで吸い込まれそうになる底知れぬ闇が、地面や空気中などそこかしこに。
またその闇は、ライターの火で写真を炙った時のようにして、どんどんとその範囲を広げている。
それとは対照的に、頭上には眩ゆい光を放つ特大の光球が現れていた。
その光球には引力があるかのようにして、——周りにある光を急速に吸い上げている!?
「うーん、流石にこれは私でも洒落にならないです。
こうしたらそう来ちゃうわけなんですね。
理解しました。
それなら違った策を練らないといけないかなー」
「風華ちゃん? 」
そこで考え込んでいた風華ちゃんが、元気よくこちらを向く。
「早くしないとですね。
それにフウはもう我慢の限界なのです」
光球が一際強い輝きを見せ始める中、風華ちゃんが俺の首筋に舌先を軽く当てた。
そしてツーと触れるか触れないかの所を舐め上げてくる風華ちゃんに、俺は押し倒されてしまう。
「だから、今からお兄ちゃんをいただきまーす」
徐々に埋没していく意識。
そこはまるで深淵のようで、俺と風華ちゃん以外の何者も存在しない、二人だけの世界。
そして暫くすると、俺の意識も完全に周りの闇と同化していった。
……この事実は、俺の胸の中で静かに保管しておこうと思う。
『アトハダンジョン蛾ラビリンス型デ、若イ女性——』
「あぁ、それは知ってるよ」
『若イ女性ト可愛イ男ノ子シカ、深部へ到達出来ナイ縛リニナッテイルノ知ッテタノ? 』
「うん、……ってえっ? 今なんて言った? 」
『若イ女性ト可愛イ男ノ子シカ、深部ニハ行ケナイ』
「まっ、待って、可愛い男の子!? 」
まさかこの部分も間違って認識されていたとは。
考えれば納得なのだけど、ダンジョンに潜るような人は筋骨隆々な男性が多いだろうから、今まで可愛い男の子が来る事がなかったんだろう。
ん、まてよ?
「俺は男と女、どっちに見える? 」
するとバングルに一つの瞳が現れ、俺の瞳をジッと見つめた。
『普通ニ男』
がーん。
それってもしかして、ボス部屋前の見られてた時、女装は完全にバレてたってわけ?
……俺の女装って、なんだったんだろう。
しかしここまでの情報、センジュの作り話とは考えられない。センジュは謎だらけだけど、更に謎が深まったような気がする。
ん?
なんだこの、違和感?
景色は変わっていない。
でも確かに数秒前と今とでは、何かが違う気がする。
例えるなら、突然ダンジョン内の空気が一瞬にして入れ替えられたような違和感。
気のせいかな?
そこで視界に入っていたはずのクロさんの姿が、ない?
あれ?
首を左右に振る。
しかしやっぱりクロさんの姿が見えなくなっている。
そこで嫌な予感がして不安が押し寄せてくる。
俺は助けを求め真琴の姿を確認しようと振り返るのだけど——
すぐ後ろにいたはずの真琴もいなくなっていた。
腕を見れば喋るバングルも丸ごと消えている。
「あの女があそこまで弱体化するだなんて、ちょっとビックリです」
近くで声がした。
少女特有の甲高くて若々しい、それでいてどこか懐かしい声が。
そして振り返れば、幼い女の子が立っていた。
身に付けた黒のワンピースは肩口から袖までが真っ白で、襟元などに可愛らしいフリルが多様されている。
「もしかして、風華ちゃん!? 」
……口にしてみて思う、そんなはずは無いと。
さっきから変な事が起こってるし、これって夢とかなのかな?
するとその少女は頭を横に振ったため、金髪のツインテールが左右に揺れる。
「私は夢でも幻でもないですよ」
「じゃ、本当に風華ちゃんなの? 」
「はい、そうです」
そこで風華ちゃんが俺の胸に飛び込んできた。
彼女はギュッと抱きしめてくると、俺の顔を見上げながら『へっへー』と笑う。
「どうして風華ちゃんがこんなところにいるの? 」
「お兄ちゃんに会いたかったからです」
「どど、どうやって? 」
「愛の力です、なーんちゃって」
そだ、何故かはよくわからないけど風華ちゃんがいるなら、真琴も喜ぶはず!
ついさっきまで近くにいたわけだし、探せばきっと見つかるはず!
しかし、真琴の姿は見つからない。
代わりにあるのは闇、見ているだけで吸い込まれそうになる底知れぬ闇が、地面や空気中などそこかしこに。
またその闇は、ライターの火で写真を炙った時のようにして、どんどんとその範囲を広げている。
それとは対照的に、頭上には眩ゆい光を放つ特大の光球が現れていた。
その光球には引力があるかのようにして、——周りにある光を急速に吸い上げている!?
「うーん、流石にこれは私でも洒落にならないです。
こうしたらそう来ちゃうわけなんですね。
理解しました。
それなら違った策を練らないといけないかなー」
「風華ちゃん? 」
そこで考え込んでいた風華ちゃんが、元気よくこちらを向く。
「早くしないとですね。
それにフウはもう我慢の限界なのです」
光球が一際強い輝きを見せ始める中、風華ちゃんが俺の首筋に舌先を軽く当てた。
そしてツーと触れるか触れないかの所を舐め上げてくる風華ちゃんに、俺は押し倒されてしまう。
「だから、今からお兄ちゃんをいただきまーす」
徐々に埋没していく意識。
そこはまるで深淵のようで、俺と風華ちゃん以外の何者も存在しない、二人だけの世界。
そして暫くすると、俺の意識も完全に周りの闇と同化していった。
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