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前世であるお姉ちゃん感出してくる妹もズルい
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次の日、寝不足のアンジェリカとコルネリア姉妹は、彼女たちの家であるエシャロット家のあらゆる人間を驚かすことになる。
朝は、あの冷静沈着なアンジェリカが「おっはよー」等というフランクな挨拶をしだし、可憐な妹コルネリアがいつ間にかやってきてアンジェリカの頭をどつくという事件から始まった。
そして、修練の時間いつもなら大鬼のような恐ろしさで家の者たちを恐れさせたアンジェリカが優しくアドバイスをしだして逆に怖くなったと家の者は言いだし、甘え上手のコルネリアが部屋の掃除から何から自分でしはじめ侍女たちが泣き始めた。
昼食では、コルネリアの皿にこっそり人参を入れようとしたアンジェリカがコルネリアにこれでもかと絞られそれをみていた昼食に同席していた偏食の母が今日は残さず食べたと料理人たち抱き合って喜ぶ。
今まで家の誰もが見たことのない木の下で昼寝を始めたアンジェリカ、お茶の時間にしきりに金額を聞いてくるコルネリア、夕食で人参を残して怒られるアンジェリカ、怒るコルネリア、食べる母、食べる父、と、とにかくエシャロット家始まって以来の大騒動となってしまった。
侍女たちは明日の天気を心配し総出で洗濯をし、料理人たちは飢饉が起きても平気なように見習い達に保存のきく食料を買いに走らせ、使用人達は奇病に効くかもしれない薬、迷信、おまじないを調べ始めた。
そんな騒動も落ち着いた夜、再びアンジェリカはコルネリアを訪ねた。
「で? なんで、ニンジンを食べないの?」
「いや、ねえちゃん……今日の議題はそれではなく……」
「まず、先に済ませられる案件は済ませておきたいの」
「あの~、なんといいますか、前世で嫌いだった記憶が蘇り、受け付けなくなったと言いますか~」
「前世では食べてたでしょ」
コルネリアがごごごごごという効果音が聞こえてくるような圧でアンジェリカに迫る。
「ねえ、なんで?」
「あのお、前世では」
「前世では?」
「ねえちゃんが、その、凄く工夫してくれて、食べやすくなっていたん、ですが、ちょっと料理人たちの、料理は、ちょっと、厳しいかなーって感じで……」
怒られるかもしれないと恐る恐るコルネリアの方を見たアンジェリカだったが、コルネリアは少し俯いて口をもにょもにょさせていた。
「そ、そう……私の料理は食べれたんだ……」
「そうなの! ねえちゃんの料理はもっと美味しかったの!」
「ふ~ん、そっか、ふ~ん、じゃあ、明日からちょっと料理人にアドバイスしてみるから、ちゃんと、食べなさいよね」
「うん! 食べる食べる! ねえちゃんの料理大好き~!」
生まれ変わり、前世よりも素直になれたアンジェリカは、凛々しい顔を崩し、にぱーっと笑った。一方、それを見たコルネリアは口を更に大きくもにょもにょさせ、背を向けてしまった。
「じゃ、じゃあ! 本題に入るわきょ!」
「きょ?」
「よ! 揚げ足取らない! あんたって子は!」
「ねえちゃん……前世の記憶が戻ったけど、前世とはまた違うキャラって言われたけど、ねえちゃんも大概だからね」
「嘘!? どこが?」
「前世はもっと、静かというか、遠慮が大きかったというか、そこまでガミガミさんじゃなかったよ。ねえちゃん……コルネリアの見た目に引っ張られてツンデレになり始めてない?」
「うぐ!」
コルネリア、いや、琴音は絶句した。
正にその通りだった。
コルネリアの姿を改めてみて、前世で読んでいたあるラノベのツンデレヒロインに似てると思った琴音は、徐々にその気になってしまっていた。
ただし、琴音の家庭的な本質が相まって
(まあ、ツンデレっていうより、口うるさいおかんみたいだけど)
ちなみに、今日コルネリアの髪にはツインテールにした跡が残っていて、アンジェリカはそれに気付いていた。
「も、もういいでしょ! そんなことは! それより! 思い出した!? 乙女ゲームのこと! 確か、『姫騎士と盾の守護者』だっけ?」
「そう、その乙女ゲームの登場人物に、アンジェリカっていう子がいて、その子が今のあたしそっくり、っていうか、そのアンジェリカなんだと思う」
「で、なんでそれが死ぬかもしれないって話になるのよ?」
琴音はアンジェリカ、前世の杏奈に買ってあげただけで、やったことはなく、ストーリーもほとんど知らない。なので、過程をすっとばした結論に首を傾げることしかできなかった。
「えーっと、確か、アンジェリカはすっごい主人公をいじめてて、それを攻略キャラたちに批判されて処罰された、はず……」
と、思い出しながら言葉を紡ぐアンジェリカが顔を挙げると小さな大鬼がそこにいた。
「いじめって……あんたなんでそんなことしたの!」
大鬼、もとい、母大鬼がアンジェリカに迫った。
「ま、まだいじめてないよー! っていうか、いじめるつもりもないよー! なんでかとか聞かれても知らないもん!」
姫騎士候補アンジェリカの顔で「もん!」とか言われたコルネリアは母大鬼の変身を解かれてしまい、「そ、そう」などといって顔を赤くした。
「じゃあ、学園に入ってその子のことが嫌いになるのかしら? 主人公っていやな子なの?」
「いや、主人公だし、嫌な子ではないよ。ちょっと天然っぽいからそういうのが嫌いな子はいるかもしれないけど私は割と好きだったけど」
コルネリアはちょっと唇をとがらせながら、話を続ける。
「割と好き、なんだ……じゃなくて! じゃあ、原因は他にあるってことかしら?」
「わかんないよう、だって、ゲームではあたし主人公だったわけだし、ライバルキャラの設定とか知らないし」
「設定……」
アンジェリカの発言に、コルネリアが考え込む。そして、部屋の中をうろうろし始める。
顎に手をあて、うろうろするコルネリアをアンジェリカがニコニコ眺めていると、突如、コルネリアが「あ!」と叫ぶ。
「え? 何? なんなの? どしたの? ねえちゃん」
「あの……もしかしたら、いや、多分、間違いなく、アンジェリカが死ぬより先に、私が死ぬ、かも……」
「うそでしょ~~!」
二夜続いてコルネリアの部屋から「うそでしょ~」が響き渡り、調べ物をしていた使用人たちがびくっとしていた。
朝は、あの冷静沈着なアンジェリカが「おっはよー」等というフランクな挨拶をしだし、可憐な妹コルネリアがいつ間にかやってきてアンジェリカの頭をどつくという事件から始まった。
そして、修練の時間いつもなら大鬼のような恐ろしさで家の者たちを恐れさせたアンジェリカが優しくアドバイスをしだして逆に怖くなったと家の者は言いだし、甘え上手のコルネリアが部屋の掃除から何から自分でしはじめ侍女たちが泣き始めた。
昼食では、コルネリアの皿にこっそり人参を入れようとしたアンジェリカがコルネリアにこれでもかと絞られそれをみていた昼食に同席していた偏食の母が今日は残さず食べたと料理人たち抱き合って喜ぶ。
今まで家の誰もが見たことのない木の下で昼寝を始めたアンジェリカ、お茶の時間にしきりに金額を聞いてくるコルネリア、夕食で人参を残して怒られるアンジェリカ、怒るコルネリア、食べる母、食べる父、と、とにかくエシャロット家始まって以来の大騒動となってしまった。
侍女たちは明日の天気を心配し総出で洗濯をし、料理人たちは飢饉が起きても平気なように見習い達に保存のきく食料を買いに走らせ、使用人達は奇病に効くかもしれない薬、迷信、おまじないを調べ始めた。
そんな騒動も落ち着いた夜、再びアンジェリカはコルネリアを訪ねた。
「で? なんで、ニンジンを食べないの?」
「いや、ねえちゃん……今日の議題はそれではなく……」
「まず、先に済ませられる案件は済ませておきたいの」
「あの~、なんといいますか、前世で嫌いだった記憶が蘇り、受け付けなくなったと言いますか~」
「前世では食べてたでしょ」
コルネリアがごごごごごという効果音が聞こえてくるような圧でアンジェリカに迫る。
「ねえ、なんで?」
「あのお、前世では」
「前世では?」
「ねえちゃんが、その、凄く工夫してくれて、食べやすくなっていたん、ですが、ちょっと料理人たちの、料理は、ちょっと、厳しいかなーって感じで……」
怒られるかもしれないと恐る恐るコルネリアの方を見たアンジェリカだったが、コルネリアは少し俯いて口をもにょもにょさせていた。
「そ、そう……私の料理は食べれたんだ……」
「そうなの! ねえちゃんの料理はもっと美味しかったの!」
「ふ~ん、そっか、ふ~ん、じゃあ、明日からちょっと料理人にアドバイスしてみるから、ちゃんと、食べなさいよね」
「うん! 食べる食べる! ねえちゃんの料理大好き~!」
生まれ変わり、前世よりも素直になれたアンジェリカは、凛々しい顔を崩し、にぱーっと笑った。一方、それを見たコルネリアは口を更に大きくもにょもにょさせ、背を向けてしまった。
「じゃ、じゃあ! 本題に入るわきょ!」
「きょ?」
「よ! 揚げ足取らない! あんたって子は!」
「ねえちゃん……前世の記憶が戻ったけど、前世とはまた違うキャラって言われたけど、ねえちゃんも大概だからね」
「嘘!? どこが?」
「前世はもっと、静かというか、遠慮が大きかったというか、そこまでガミガミさんじゃなかったよ。ねえちゃん……コルネリアの見た目に引っ張られてツンデレになり始めてない?」
「うぐ!」
コルネリア、いや、琴音は絶句した。
正にその通りだった。
コルネリアの姿を改めてみて、前世で読んでいたあるラノベのツンデレヒロインに似てると思った琴音は、徐々にその気になってしまっていた。
ただし、琴音の家庭的な本質が相まって
(まあ、ツンデレっていうより、口うるさいおかんみたいだけど)
ちなみに、今日コルネリアの髪にはツインテールにした跡が残っていて、アンジェリカはそれに気付いていた。
「も、もういいでしょ! そんなことは! それより! 思い出した!? 乙女ゲームのこと! 確か、『姫騎士と盾の守護者』だっけ?」
「そう、その乙女ゲームの登場人物に、アンジェリカっていう子がいて、その子が今のあたしそっくり、っていうか、そのアンジェリカなんだと思う」
「で、なんでそれが死ぬかもしれないって話になるのよ?」
琴音はアンジェリカ、前世の杏奈に買ってあげただけで、やったことはなく、ストーリーもほとんど知らない。なので、過程をすっとばした結論に首を傾げることしかできなかった。
「えーっと、確か、アンジェリカはすっごい主人公をいじめてて、それを攻略キャラたちに批判されて処罰された、はず……」
と、思い出しながら言葉を紡ぐアンジェリカが顔を挙げると小さな大鬼がそこにいた。
「いじめって……あんたなんでそんなことしたの!」
大鬼、もとい、母大鬼がアンジェリカに迫った。
「ま、まだいじめてないよー! っていうか、いじめるつもりもないよー! なんでかとか聞かれても知らないもん!」
姫騎士候補アンジェリカの顔で「もん!」とか言われたコルネリアは母大鬼の変身を解かれてしまい、「そ、そう」などといって顔を赤くした。
「じゃあ、学園に入ってその子のことが嫌いになるのかしら? 主人公っていやな子なの?」
「いや、主人公だし、嫌な子ではないよ。ちょっと天然っぽいからそういうのが嫌いな子はいるかもしれないけど私は割と好きだったけど」
コルネリアはちょっと唇をとがらせながら、話を続ける。
「割と好き、なんだ……じゃなくて! じゃあ、原因は他にあるってことかしら?」
「わかんないよう、だって、ゲームではあたし主人公だったわけだし、ライバルキャラの設定とか知らないし」
「設定……」
アンジェリカの発言に、コルネリアが考え込む。そして、部屋の中をうろうろし始める。
顎に手をあて、うろうろするコルネリアをアンジェリカがニコニコ眺めていると、突如、コルネリアが「あ!」と叫ぶ。
「え? 何? なんなの? どしたの? ねえちゃん」
「あの……もしかしたら、いや、多分、間違いなく、アンジェリカが死ぬより先に、私が死ぬ、かも……」
「うそでしょ~~!」
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