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47話 五十路、裏切られる。
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九月一日。【GARDEN】。
「マナーマナーうるせえな。じゃあ、お前の所の執事はちゃんと出来るのかよ」
今日もまた、横河さんと一也さんが二人でご帰宅。
そして、知り合いであろう若者の五人組グループが、やってきました。
今日は、横河さんは大分ご機嫌の様で、自分で女性に絡みに行ったり、騒いでいたので注意させていただくと先程の言葉を浴びせかけられました。
「【GARDEN】の執事は、お嬢様お坊ちゃんを支えるべく日頃より勉強を重ねております。マナーに関してもです」
「ほおーん、そうかあ。偉いんだなあ」
「偉いか偉くないかはさておき、努力はしていると自負しております」
そう告げると、いつもであれば、苦虫を噛みつぶしたような顔で私を追い払うのですが今日は、我が意を得たりという様子で笑っています。
何か、嫌な予感がします。
そして、それを考える間もなく、事件は起きてしまいました。
「ねえねえ、そこのお嬢様、俺と一緒におしゃべりしない?」
若者グループの一人が席を立ち、他のお嬢様の所へ向かおうとしていました。
目を光らせていた黒鶴が慌てて止めに入ろうとしたその瞬間、
「お前! いい加減にしろよ!」
そう叫んだ蒼樹さんが、その男性に向かって飛びこみ殴りつけていました。
殴られた男性はその拍子にしりもちをついてしまいます。
「おーい! お前、俺の後輩殴るとはいい度胸してんなあ」
「う、うるさい! ……っくそ!」
蒼樹はその勢いのまま殴りかかろうとするので止めに入ります。
が、何故か後ろから衝撃が。
横河さんが押されたのか押したのか私にぶつかってきたのです。
油断していました。かばったつもりの人間が前に出てくるとは思わず、バランスを崩してしまいます。
「うわあああ!」
「来いよ!」
大きな叫び声と共に入った蒼樹のお腹への一撃は、横河さんの気合への恐怖のせいかあまり強く入っていないようで、横河さんはにやりと笑うと、
「俺を倒すにはちょっと弱かったな」
そういうと、両手を頭上で組み、その固めた拳を蒼樹の背中に叩きつけました。
「あぐう!」
蒼樹は、地面に倒れ込み、咳き込みながら起き上がれない状態になってしまいました。
場は騒然としています。
それもそのはずです。
悪そうな男性グループの存在、声かけ、そして、それに対し怒った執事の暴走、そして、横河さんの一撃。
執事喫茶にはあり得ない光景が広がっています。
更に、蒼樹に殴られた男性が、やりかえそうとして、押さえつけられ、蒼樹も執事たちに押さえつけられています。
「蒼樹、テメエ何してやがる!」
「か、かは……! す、すみません……つい」
「ついじゃねえんだよ!」
止めに入った赤さんの声が響き渡ります。
「いってええ、くそ! おいごら! こうた! いきなり!」
「一也ぁあ!」
「はい! 市原! お前、もう帰れ! 琉偉さん怒らせたいのか!?」
「……ち。アイツ、ぶっ殺す。おい、何こっち見てんだよ!」
「おい! やめとけって行くぞ」
横河さんの一撃を喰らった上で、赤さんに取り押さえられ動けなくなった蒼樹。
一也さんに呼び止められて苛々した表情を浮かべ、周りのお嬢様に悪態をつきながらも友達に連れられて出ていく殴られた男性。
そして、殴られた腹をさすりながらどかりと座り込む横河さん。
「さてと、人を殴っちゃいけねえっていうのはマナー以前の問題じゃねえのか? 立派な犯罪行為だぜ、これ。なあ、白銀」
あまりにも出来過ぎたタイミングですが、事実は事実。頭を下げるほかありません。
「申し訳ありませんでした」
「こうなると、てめえみたいな雑魚はお呼びじゃねえんだよ。責任者出せ。いるんだろ、オーナーさん」
「しかし……」
「白銀、いいわ」
南さんが、騒ぎを聞きつけてかこちらに来ていた様です。
「この度は、私共【GARDEN】の執事が大変申し訳ありませんでした」
南さんは私の前に出て深々と横河に対して謝ります。
「まあ、アイツにも悪い所はあった。けどな、オーナーさん、これ、広まったらヤバいよな? なら、それ相応の誠意ってもんが必要だよなあ?」
「……と、言いますと?」
「まあ、あなたも、騒ぎにしたくないだろうし、連絡しますから。お話ししましょうや」
横河はそう告げると、一也さん達を連れて帰ろうとしました。
その時です。他のテーブルに居た一人の女性が立ち上がり、道を阻みます。
「一也、ちょっと待ちなさい」
小鳥さんでした。一也さんは気づいていなかったようで大きく目を見開いて驚いています。
「あ、あんた……!」
「カルムは良いの?」
「……知らねえよ、あんなところ」
「あんなところ? じゃあ、もういいのね。もうあんたが継ぐ気はないのね」
「いいよ、勝手にしろよ」
「そう。じゃあ、あの店はまた私がやるわ」
「ボロボロだけどな」
「それでも、やるわ。私にとっては、大切な場所だって気付いたから」
「……! だから、勝手にしろよ!」
一也さんが叫ぶように言うと、その肩を組んで横河が笑いながら言います。
「そうそう、お姉さん。コイツはもう俺の秘書になるんで。ま、店には行ってあげますよ。……サービスしてくれたら、ですけど。じゃあ、また。お前もまたな、詩織」
横河は、舐めるように小鳥さんと南さんを見て、スマホを掲げ、笑いながら去って行きます。
小鳥さんは悔しそうに顔を歪め、帰っていかれました。
他のお嬢様達も皆同じような顔でした。
そして、南さんは何も言わずオーナーの部屋へ向かい、その日は業務時間中出てくることがありませんでした。
「おい! 蒼樹どういうつもりだよ!?」
スタッフルームでは、緋田さんが蒼樹さんに詰め寄っていました。
「どういうつもりってなんだよ? 俺は店の為に……」
「店の為にみんな我慢してきたんだろうが、なんで……! なんでお前は……」
「……! お前みたいに単純馬鹿には何言ってもわかんねえよ!」
蒼樹さんが掴みかかる緋田さんを振りほどき声を荒げていました。
その様子をじっと見てた千金楽さんが蒼樹さんに声を掛けます。
「おい、公太」
「……!」
「大原公太。お前の本名だよな。お前が殴りかかったヤツ。『こうた』って言ってたよな? お前、あん中に知り合いもいるって言ってたし……わざと、じゃないよな?」
「はあ? 俺を、疑うんですか? 蒼汰さん……俺を……! なんだよ、みんなこっち見て……ふざけんなよ! 俺は、俺は……! 俺のせいじゃない!」
そこで言葉を区切ると、蒼樹さんは急にこちらを見て、
「全部コイツのせいでしょ! コイツがオーナー狙ってる横河さんに逆らうから! 全部お前のせいだ! 蒼汰さんがこうなっちまったのも! 緋田も! 俺も! 全部! お前のせいで!」
大声で叫んだ蒼樹さんは、肩で息をしながら怒りに震えていました。
「おい、公太。俺は、今、お前に聞いてるんだよ。誰のせいとかじゃない。お前がわざとやったのかやってないのかだ。それに、白銀は関係ないだろ」
蒼樹さんは大きく深呼吸をして、まるで別人のように冷たい目をして、みんなに言い放ちます。
「……もういいっすわ。そうです。俺は、あっちの人間です。でも、もう起きた事実は覆らない。仮に真実が明るみに出ても噂は、嫌なイメージは出てしまえば、ずっとまとわりつく。……明日です。明日から、この店は変わってしまいます。この店と心中するか、横河について見逃してもらうか、二つに一つです。みんな、よーく考えといてください。んで、じいさん」
誰よりもどす黒い瞳が私を捉えます。
「あんたはどちらにせよ、あの人に睨まれた以上、もう終わりだ。じゃあな」
誰も言葉を発しませんでした。
理不尽な悪。理不尽な選択。理不尽な攻撃。
誰もが疲れているように見えました。
明日。
九月二日。
何が起きるのか。
それぞれが明日の悪いイメージを振り払うように、駆け足で帰途につこうとします。
千金楽さんだけは一人、眉間に皺を寄せ、苦しそうに俯いていました。
「千金楽さん」
「悪い……白銀。俺が甘かった。アイツを、助けたかったんだけどな。……もう終わりだよな?」
「そう、ですね……これ以上は。もう、終わりですね」
「だよな……。くそ……!」
千金楽さんから悲鳴のような声。
私は、私が出来ることは。
「千金楽さん……珈琲、飲みますか?」
「え?」
「『珈琲の時間に出ない案なら、悩まず動け、と神様が言っている』……私の信条です」
「誰の言葉だよ……なんかの映画?」
「私の祖父です」
「あっそ」
千金楽さんは漸く微笑み、
「じゃあ、一杯頼む」
「はい」
私は珈琲を淹れる為にキッチンに入ります。
キッチンメンバーも連日の嫌がらせに疲れていたのか、早めに帰ったようです。
「では、千金楽さんの為に誠心誠意、一杯の珈琲淹れさせていただきましょう」
「マナーマナーうるせえな。じゃあ、お前の所の執事はちゃんと出来るのかよ」
今日もまた、横河さんと一也さんが二人でご帰宅。
そして、知り合いであろう若者の五人組グループが、やってきました。
今日は、横河さんは大分ご機嫌の様で、自分で女性に絡みに行ったり、騒いでいたので注意させていただくと先程の言葉を浴びせかけられました。
「【GARDEN】の執事は、お嬢様お坊ちゃんを支えるべく日頃より勉強を重ねております。マナーに関してもです」
「ほおーん、そうかあ。偉いんだなあ」
「偉いか偉くないかはさておき、努力はしていると自負しております」
そう告げると、いつもであれば、苦虫を噛みつぶしたような顔で私を追い払うのですが今日は、我が意を得たりという様子で笑っています。
何か、嫌な予感がします。
そして、それを考える間もなく、事件は起きてしまいました。
「ねえねえ、そこのお嬢様、俺と一緒におしゃべりしない?」
若者グループの一人が席を立ち、他のお嬢様の所へ向かおうとしていました。
目を光らせていた黒鶴が慌てて止めに入ろうとしたその瞬間、
「お前! いい加減にしろよ!」
そう叫んだ蒼樹さんが、その男性に向かって飛びこみ殴りつけていました。
殴られた男性はその拍子にしりもちをついてしまいます。
「おーい! お前、俺の後輩殴るとはいい度胸してんなあ」
「う、うるさい! ……っくそ!」
蒼樹はその勢いのまま殴りかかろうとするので止めに入ります。
が、何故か後ろから衝撃が。
横河さんが押されたのか押したのか私にぶつかってきたのです。
油断していました。かばったつもりの人間が前に出てくるとは思わず、バランスを崩してしまいます。
「うわあああ!」
「来いよ!」
大きな叫び声と共に入った蒼樹のお腹への一撃は、横河さんの気合への恐怖のせいかあまり強く入っていないようで、横河さんはにやりと笑うと、
「俺を倒すにはちょっと弱かったな」
そういうと、両手を頭上で組み、その固めた拳を蒼樹の背中に叩きつけました。
「あぐう!」
蒼樹は、地面に倒れ込み、咳き込みながら起き上がれない状態になってしまいました。
場は騒然としています。
それもそのはずです。
悪そうな男性グループの存在、声かけ、そして、それに対し怒った執事の暴走、そして、横河さんの一撃。
執事喫茶にはあり得ない光景が広がっています。
更に、蒼樹に殴られた男性が、やりかえそうとして、押さえつけられ、蒼樹も執事たちに押さえつけられています。
「蒼樹、テメエ何してやがる!」
「か、かは……! す、すみません……つい」
「ついじゃねえんだよ!」
止めに入った赤さんの声が響き渡ります。
「いってええ、くそ! おいごら! こうた! いきなり!」
「一也ぁあ!」
「はい! 市原! お前、もう帰れ! 琉偉さん怒らせたいのか!?」
「……ち。アイツ、ぶっ殺す。おい、何こっち見てんだよ!」
「おい! やめとけって行くぞ」
横河さんの一撃を喰らった上で、赤さんに取り押さえられ動けなくなった蒼樹。
一也さんに呼び止められて苛々した表情を浮かべ、周りのお嬢様に悪態をつきながらも友達に連れられて出ていく殴られた男性。
そして、殴られた腹をさすりながらどかりと座り込む横河さん。
「さてと、人を殴っちゃいけねえっていうのはマナー以前の問題じゃねえのか? 立派な犯罪行為だぜ、これ。なあ、白銀」
あまりにも出来過ぎたタイミングですが、事実は事実。頭を下げるほかありません。
「申し訳ありませんでした」
「こうなると、てめえみたいな雑魚はお呼びじゃねえんだよ。責任者出せ。いるんだろ、オーナーさん」
「しかし……」
「白銀、いいわ」
南さんが、騒ぎを聞きつけてかこちらに来ていた様です。
「この度は、私共【GARDEN】の執事が大変申し訳ありませんでした」
南さんは私の前に出て深々と横河に対して謝ります。
「まあ、アイツにも悪い所はあった。けどな、オーナーさん、これ、広まったらヤバいよな? なら、それ相応の誠意ってもんが必要だよなあ?」
「……と、言いますと?」
「まあ、あなたも、騒ぎにしたくないだろうし、連絡しますから。お話ししましょうや」
横河はそう告げると、一也さん達を連れて帰ろうとしました。
その時です。他のテーブルに居た一人の女性が立ち上がり、道を阻みます。
「一也、ちょっと待ちなさい」
小鳥さんでした。一也さんは気づいていなかったようで大きく目を見開いて驚いています。
「あ、あんた……!」
「カルムは良いの?」
「……知らねえよ、あんなところ」
「あんなところ? じゃあ、もういいのね。もうあんたが継ぐ気はないのね」
「いいよ、勝手にしろよ」
「そう。じゃあ、あの店はまた私がやるわ」
「ボロボロだけどな」
「それでも、やるわ。私にとっては、大切な場所だって気付いたから」
「……! だから、勝手にしろよ!」
一也さんが叫ぶように言うと、その肩を組んで横河が笑いながら言います。
「そうそう、お姉さん。コイツはもう俺の秘書になるんで。ま、店には行ってあげますよ。……サービスしてくれたら、ですけど。じゃあ、また。お前もまたな、詩織」
横河は、舐めるように小鳥さんと南さんを見て、スマホを掲げ、笑いながら去って行きます。
小鳥さんは悔しそうに顔を歪め、帰っていかれました。
他のお嬢様達も皆同じような顔でした。
そして、南さんは何も言わずオーナーの部屋へ向かい、その日は業務時間中出てくることがありませんでした。
「おい! 蒼樹どういうつもりだよ!?」
スタッフルームでは、緋田さんが蒼樹さんに詰め寄っていました。
「どういうつもりってなんだよ? 俺は店の為に……」
「店の為にみんな我慢してきたんだろうが、なんで……! なんでお前は……」
「……! お前みたいに単純馬鹿には何言ってもわかんねえよ!」
蒼樹さんが掴みかかる緋田さんを振りほどき声を荒げていました。
その様子をじっと見てた千金楽さんが蒼樹さんに声を掛けます。
「おい、公太」
「……!」
「大原公太。お前の本名だよな。お前が殴りかかったヤツ。『こうた』って言ってたよな? お前、あん中に知り合いもいるって言ってたし……わざと、じゃないよな?」
「はあ? 俺を、疑うんですか? 蒼汰さん……俺を……! なんだよ、みんなこっち見て……ふざけんなよ! 俺は、俺は……! 俺のせいじゃない!」
そこで言葉を区切ると、蒼樹さんは急にこちらを見て、
「全部コイツのせいでしょ! コイツがオーナー狙ってる横河さんに逆らうから! 全部お前のせいだ! 蒼汰さんがこうなっちまったのも! 緋田も! 俺も! 全部! お前のせいで!」
大声で叫んだ蒼樹さんは、肩で息をしながら怒りに震えていました。
「おい、公太。俺は、今、お前に聞いてるんだよ。誰のせいとかじゃない。お前がわざとやったのかやってないのかだ。それに、白銀は関係ないだろ」
蒼樹さんは大きく深呼吸をして、まるで別人のように冷たい目をして、みんなに言い放ちます。
「……もういいっすわ。そうです。俺は、あっちの人間です。でも、もう起きた事実は覆らない。仮に真実が明るみに出ても噂は、嫌なイメージは出てしまえば、ずっとまとわりつく。……明日です。明日から、この店は変わってしまいます。この店と心中するか、横河について見逃してもらうか、二つに一つです。みんな、よーく考えといてください。んで、じいさん」
誰よりもどす黒い瞳が私を捉えます。
「あんたはどちらにせよ、あの人に睨まれた以上、もう終わりだ。じゃあな」
誰も言葉を発しませんでした。
理不尽な悪。理不尽な選択。理不尽な攻撃。
誰もが疲れているように見えました。
明日。
九月二日。
何が起きるのか。
それぞれが明日の悪いイメージを振り払うように、駆け足で帰途につこうとします。
千金楽さんだけは一人、眉間に皺を寄せ、苦しそうに俯いていました。
「千金楽さん」
「悪い……白銀。俺が甘かった。アイツを、助けたかったんだけどな。……もう終わりだよな?」
「そう、ですね……これ以上は。もう、終わりですね」
「だよな……。くそ……!」
千金楽さんから悲鳴のような声。
私は、私が出来ることは。
「千金楽さん……珈琲、飲みますか?」
「え?」
「『珈琲の時間に出ない案なら、悩まず動け、と神様が言っている』……私の信条です」
「誰の言葉だよ……なんかの映画?」
「私の祖父です」
「あっそ」
千金楽さんは漸く微笑み、
「じゃあ、一杯頼む」
「はい」
私は珈琲を淹れる為にキッチンに入ります。
キッチンメンバーも連日の嫌がらせに疲れていたのか、早めに帰ったようです。
「では、千金楽さんの為に誠心誠意、一杯の珈琲淹れさせていただきましょう」
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