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48話 五十路、気合入れる。
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キッチンへと向かうと、既に綺麗に片づけを終え、静かな空間が広がっていました。
「静か、ですね」
キッチンスタッフも最近は料理をあの人たちに残されることもあり、気落ちが目に見える程だったので、帰りが早かったようです。
静かなキッチンの中で珈琲の音だけが聞こえます。
「お待たせしました」
「十分早いんだけどな……」
「ついでに、サンドイッチどうぞ」
「完璧か」
千金楽さんはキッチンとホールの入り口に椅子を二脚、ホールの方に向けて並べて下さっていました。
私は試作予定で持ち込んでいた材料で作った和風サンドイッチを一つ千金楽さんに渡します。
珈琲の匂いとサンドイッチを食べる音だけがゆったりと広がり、静かな時間が流れていました。
「俺は、さ」
「はい」
「此処が好きなんだよ」
「私もです」
「あんな奴らに負けたくない」
「私もです」
「……蒼樹、さ」
「はい」
「昔はあんな奴じゃなかったんだよ」
「はい」
「俺なんかの事慕ってくれて、ずっと付いてきてくれた」
「はい。でも、千金楽さんは『なんか』じゃないですよ」
「細け。……なんで、こうなっちまったかなあ」
珈琲の苦みを味わいながら飲み込むと、私は、ふとある思い出を話したくなりました。
「……私は、幼い頃から顔も中身もじじくさいと言われていました」
「……うん? うん」
「だから、同級生の皆さんと話が合わず、祖父の知り合いのおじいさんおばあさんが友達みたいなものでした」
「ふふ……うん」
「皆さん、人生経験が豊富ですので、珈琲や紅茶を飲みながら、色んなお話をしてくださいました。でも、どなたも、何もかも順風満帆だったという方はいらっしゃいませんでした」
「……そっか」
「でもね、そこにいる皆さんは笑うんです。『こんなこともあった』『あんなこともあった』って言って笑うんです。笑って前を向くんです」
「わらう……」
千金楽さんが俯きます。カップの中に映る自分を見ているようでした。
「一人のおばあちゃんが話してくれました。そのおばあちゃんは、ご主人に文句を言わせないために美味しいと言わせる料理を毎日出したいそうなんです。ですが、アレンジしてうまくいかないことが良くあるそうです」
「料理のアドリブは料理ベタあるあるだな」
「でも、おばあちゃんは終わり良ければすべて良しで、なんとかしてしまうんですって。これは新しい料理だと言って」
「肉じゃがの話してる?」
「ふはっ。ああ、肉じゃがってそんな話でしたね。……おばあちゃん曰く、料理がうまくなる最高の隠し味は、『失敗』だそうです。失敗しても失敗しても取り返せるって信じてるから、取り返す方法を学んだから、それに、ご主人に今日も美味いと言わせたいから、美味しい料理が作れるんですって。人生も一緒よ……だから、失敗は良いけど後悔は死んでからしなさいって。失敗は成功のもとって言うでしょ、成功の材料には失敗があった方がうまくなるのよって。おばあちゃんは言ってました」
「……おばあちゃんが言うと重みがちがうなー。でも、そっか……そっか。ちなみにさ、そのばあちゃんは凄い人?」
「ご主人が有名な割烹料理店の元店長で、二人とも私の料理の師匠です」
「うん、化け物だな。そりゃ、このサンドイッチうめえわ」
「ああ、あと、そのご主人が『せいいっぱい、と、しっぱいは似てるしな。せぃっぱい、しぃっぱい』って言って、おばあちゃんに関係ないって怒られてました」
「くはは! なんだ、そりゃ……! いや、でも、似てるよな?」
「似てはいます」
「似てるよ、精一杯と失敗は……紙一重だ……」
「そうかもしれませんね……」
私達は暫くの間、真っ暗になった【GARDEN】のホールを見つめながら珈琲を飲み続けました。
とても、静かで。
でも、お嬢様やお坊ちゃん、そして、執事達の笑顔が、私の中では此処には溢れていて、
「若井さん」
「ん?」
「最後まで諦めないでください」
「……」
「【GARDEN】は私が守ります。だから、若井さんは若井さんの守りたいものを守ってください」
「……わかった」
千金楽さんはサンドイッチを口の中に入れ、呑み込み珈琲を流し込みます。
「けど、お前も一人でしようとするなよ。俺は、お前の教育係だからな、拓」
「はい、頼りにしています、先生。では、明日」
「ああ、明日……」
片づけは若井さんがするというので、任せてスタッフルームに向かおうとすると、そこには南オーナーが部屋から出てくるところでした。
「南さん」
「白銀……お疲れ様」
「お疲れ様です」
「あのね、白銀……ううん、なんでもない」
「……南さん、私に出来ることはなんでもさせてください」
「……! わかった。ちゃーんと覚えておくから、絶対にその約束忘れないでね。ゆびきり!」
そう言って小指を立てた南さんと指切りを交わします。
それが、なんだかお別れの儀式のような気がして……
「ありがと! じゃあ、おつかれ! また明日ね!」
「はい、また明日……」
南さんと別れ、家に帰り、手帳を開き今日を振り返り、明日の予定を確認します。
赤い丸で囲まれたその日。
奇しくも運命の日となったようです。
南さんと指切りした小指がなんだか熱いような気がしてぎゅっと握りしめ、私は眠りにつきました。
**********
そして、九月二日、朝。
「おはよう! 諸君!」
何故か横河さんが強引に店に入ってきたようです。
黄河さんが止めているにも関わらず無理やり入ってきたようで、黄河さんは泣きそうな顔をしています。
「何か御用でしょうか? まだ、空いていませんし、不法侵入ですよ」
黒鶴がすぐに前に出て横河に話しかけます。
他の執事もかなり殺気立って出ていきます。
「うるせえな。すぐ出ていくよ。迎えに来ただけだからよ」
「迎え?」
「おい、詩織。行くぞ」
「は?」
私と話していた南さんが、その言葉を聞き、俯きながら横河の方へ。
私は、思わず南さんの手を握っていました。
「南さん」
「福家さん、ごめんね……」
南さんは私の顔を潤んだ瞳で見つめ、それに戸惑う私の手を振りほどくと、横河の方へ。
しまった。
私の背中に汗が流れます。
横河の隣に南さんは並ぶと、執事たちに動揺が走ります。
「ど、どういうことですか!? オーナー!」
緋田さんの叫び声にびくりと身体を震わせながら、南さんは口を開きます。
「わ、私は、この店を、【GARDEN】のオーナーを辞めます。次のオーナーについてはまた後で発表します。みんな、今まで、ありがとう」
「はっはっは! まあ、そういう事らしいぜ。じゃあな! また、あとでコイツと一緒に邪魔するからよ。精々、良い仕事するようにな」
そういうと、横河さんは南さんを連れて【GARDEN】を出ていきます。
私は、先ほど振り払われた右手を握ります。
自分のか彼女のかじっとりと濡れたその手は嫌な湿度を持って私の心を掻きむしるのでした。
「白銀」
「千金楽さん」
気付けば、千金楽さんが私の近くに。
「大丈夫だ。俺を信じろ」
「え?」
「俺もお前を信じてるから。大丈夫だろ?」
「……はい」
「九月二日やるって聞いてる。なら、俺達が指を咥えたままぼーっとしてるわけないだろ?」
「……あ」
「やろうぜ、相棒」
「……はい」
千金楽さんとは、どうして、こんなにも分かりあえるんでしょうか。
こんな状況なのに、笑ってしまいました。
いけません。気を引き締めねば。勝負は、これからなんですから。
「皆さん、聞いてください」
私は動揺走る皆さんに向かってお話させていただきました。
ジジイの長話になってしまいましたが、皆さん、じっと私を見て聞いてくださいました。
「……というわけで、【GARDEN】は通常営業です。ご理解ください」
見回せば皆さん、しっかりと頷いてくださっています。
本当に、私は、此処に来られて良かった。
そして、此処に連れてきてくださったのは……。
取り返す。必ず。
私は、背筋をぴんと伸ばし、胸を張り、執事白銀として皆さんに声を掛けます。
「では、皆さん、誠心誠意お嬢様お坊ちゃんにお仕えしましょう」
「「「「「はい」」」」」
では、始めましょう。お嬢様、お坊ちゃん、そして、南さんや小鳥さん、皆さんの笑顔の為に。
「さて、大掃除の時間です。皆で、綺麗にして差し上げましょう」
「静か、ですね」
キッチンスタッフも最近は料理をあの人たちに残されることもあり、気落ちが目に見える程だったので、帰りが早かったようです。
静かなキッチンの中で珈琲の音だけが聞こえます。
「お待たせしました」
「十分早いんだけどな……」
「ついでに、サンドイッチどうぞ」
「完璧か」
千金楽さんはキッチンとホールの入り口に椅子を二脚、ホールの方に向けて並べて下さっていました。
私は試作予定で持ち込んでいた材料で作った和風サンドイッチを一つ千金楽さんに渡します。
珈琲の匂いとサンドイッチを食べる音だけがゆったりと広がり、静かな時間が流れていました。
「俺は、さ」
「はい」
「此処が好きなんだよ」
「私もです」
「あんな奴らに負けたくない」
「私もです」
「……蒼樹、さ」
「はい」
「昔はあんな奴じゃなかったんだよ」
「はい」
「俺なんかの事慕ってくれて、ずっと付いてきてくれた」
「はい。でも、千金楽さんは『なんか』じゃないですよ」
「細け。……なんで、こうなっちまったかなあ」
珈琲の苦みを味わいながら飲み込むと、私は、ふとある思い出を話したくなりました。
「……私は、幼い頃から顔も中身もじじくさいと言われていました」
「……うん? うん」
「だから、同級生の皆さんと話が合わず、祖父の知り合いのおじいさんおばあさんが友達みたいなものでした」
「ふふ……うん」
「皆さん、人生経験が豊富ですので、珈琲や紅茶を飲みながら、色んなお話をしてくださいました。でも、どなたも、何もかも順風満帆だったという方はいらっしゃいませんでした」
「……そっか」
「でもね、そこにいる皆さんは笑うんです。『こんなこともあった』『あんなこともあった』って言って笑うんです。笑って前を向くんです」
「わらう……」
千金楽さんが俯きます。カップの中に映る自分を見ているようでした。
「一人のおばあちゃんが話してくれました。そのおばあちゃんは、ご主人に文句を言わせないために美味しいと言わせる料理を毎日出したいそうなんです。ですが、アレンジしてうまくいかないことが良くあるそうです」
「料理のアドリブは料理ベタあるあるだな」
「でも、おばあちゃんは終わり良ければすべて良しで、なんとかしてしまうんですって。これは新しい料理だと言って」
「肉じゃがの話してる?」
「ふはっ。ああ、肉じゃがってそんな話でしたね。……おばあちゃん曰く、料理がうまくなる最高の隠し味は、『失敗』だそうです。失敗しても失敗しても取り返せるって信じてるから、取り返す方法を学んだから、それに、ご主人に今日も美味いと言わせたいから、美味しい料理が作れるんですって。人生も一緒よ……だから、失敗は良いけど後悔は死んでからしなさいって。失敗は成功のもとって言うでしょ、成功の材料には失敗があった方がうまくなるのよって。おばあちゃんは言ってました」
「……おばあちゃんが言うと重みがちがうなー。でも、そっか……そっか。ちなみにさ、そのばあちゃんは凄い人?」
「ご主人が有名な割烹料理店の元店長で、二人とも私の料理の師匠です」
「うん、化け物だな。そりゃ、このサンドイッチうめえわ」
「ああ、あと、そのご主人が『せいいっぱい、と、しっぱいは似てるしな。せぃっぱい、しぃっぱい』って言って、おばあちゃんに関係ないって怒られてました」
「くはは! なんだ、そりゃ……! いや、でも、似てるよな?」
「似てはいます」
「似てるよ、精一杯と失敗は……紙一重だ……」
「そうかもしれませんね……」
私達は暫くの間、真っ暗になった【GARDEN】のホールを見つめながら珈琲を飲み続けました。
とても、静かで。
でも、お嬢様やお坊ちゃん、そして、執事達の笑顔が、私の中では此処には溢れていて、
「若井さん」
「ん?」
「最後まで諦めないでください」
「……」
「【GARDEN】は私が守ります。だから、若井さんは若井さんの守りたいものを守ってください」
「……わかった」
千金楽さんはサンドイッチを口の中に入れ、呑み込み珈琲を流し込みます。
「けど、お前も一人でしようとするなよ。俺は、お前の教育係だからな、拓」
「はい、頼りにしています、先生。では、明日」
「ああ、明日……」
片づけは若井さんがするというので、任せてスタッフルームに向かおうとすると、そこには南オーナーが部屋から出てくるところでした。
「南さん」
「白銀……お疲れ様」
「お疲れ様です」
「あのね、白銀……ううん、なんでもない」
「……南さん、私に出来ることはなんでもさせてください」
「……! わかった。ちゃーんと覚えておくから、絶対にその約束忘れないでね。ゆびきり!」
そう言って小指を立てた南さんと指切りを交わします。
それが、なんだかお別れの儀式のような気がして……
「ありがと! じゃあ、おつかれ! また明日ね!」
「はい、また明日……」
南さんと別れ、家に帰り、手帳を開き今日を振り返り、明日の予定を確認します。
赤い丸で囲まれたその日。
奇しくも運命の日となったようです。
南さんと指切りした小指がなんだか熱いような気がしてぎゅっと握りしめ、私は眠りにつきました。
**********
そして、九月二日、朝。
「おはよう! 諸君!」
何故か横河さんが強引に店に入ってきたようです。
黄河さんが止めているにも関わらず無理やり入ってきたようで、黄河さんは泣きそうな顔をしています。
「何か御用でしょうか? まだ、空いていませんし、不法侵入ですよ」
黒鶴がすぐに前に出て横河に話しかけます。
他の執事もかなり殺気立って出ていきます。
「うるせえな。すぐ出ていくよ。迎えに来ただけだからよ」
「迎え?」
「おい、詩織。行くぞ」
「は?」
私と話していた南さんが、その言葉を聞き、俯きながら横河の方へ。
私は、思わず南さんの手を握っていました。
「南さん」
「福家さん、ごめんね……」
南さんは私の顔を潤んだ瞳で見つめ、それに戸惑う私の手を振りほどくと、横河の方へ。
しまった。
私の背中に汗が流れます。
横河の隣に南さんは並ぶと、執事たちに動揺が走ります。
「ど、どういうことですか!? オーナー!」
緋田さんの叫び声にびくりと身体を震わせながら、南さんは口を開きます。
「わ、私は、この店を、【GARDEN】のオーナーを辞めます。次のオーナーについてはまた後で発表します。みんな、今まで、ありがとう」
「はっはっは! まあ、そういう事らしいぜ。じゃあな! また、あとでコイツと一緒に邪魔するからよ。精々、良い仕事するようにな」
そういうと、横河さんは南さんを連れて【GARDEN】を出ていきます。
私は、先ほど振り払われた右手を握ります。
自分のか彼女のかじっとりと濡れたその手は嫌な湿度を持って私の心を掻きむしるのでした。
「白銀」
「千金楽さん」
気付けば、千金楽さんが私の近くに。
「大丈夫だ。俺を信じろ」
「え?」
「俺もお前を信じてるから。大丈夫だろ?」
「……はい」
「九月二日やるって聞いてる。なら、俺達が指を咥えたままぼーっとしてるわけないだろ?」
「……あ」
「やろうぜ、相棒」
「……はい」
千金楽さんとは、どうして、こんなにも分かりあえるんでしょうか。
こんな状況なのに、笑ってしまいました。
いけません。気を引き締めねば。勝負は、これからなんですから。
「皆さん、聞いてください」
私は動揺走る皆さんに向かってお話させていただきました。
ジジイの長話になってしまいましたが、皆さん、じっと私を見て聞いてくださいました。
「……というわけで、【GARDEN】は通常営業です。ご理解ください」
見回せば皆さん、しっかりと頷いてくださっています。
本当に、私は、此処に来られて良かった。
そして、此処に連れてきてくださったのは……。
取り返す。必ず。
私は、背筋をぴんと伸ばし、胸を張り、執事白銀として皆さんに声を掛けます。
「では、皆さん、誠心誠意お嬢様お坊ちゃんにお仕えしましょう」
「「「「「はい」」」」」
では、始めましょう。お嬢様、お坊ちゃん、そして、南さんや小鳥さん、皆さんの笑顔の為に。
「さて、大掃除の時間です。皆で、綺麗にして差し上げましょう」
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