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仲間
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ポロポロと落ち続ける涙。
そんな俺を見て、三人はかなり焦っていた。
三人とも、座っていた椅子を立ち、俺の側へとよる。
テオは正面へしゃがみ、バーンとクリフトも左右から俺を覗き込む。
「どうしたの?どこか痛いの?」
「何か気に触ったのか?謝罪するから教えろ」
「とにかく、泣き止んで。その後、理由を教えて下さい」
俺は自分でもなぜ泣いているのかよく分からなかった。
泣く、という行為自体が意識下では初めてかもしれない。
「わりぃ。俺も、よく、分からないんだ」
本当によく分からない。
泣くほどのことじゃない。
三人が優秀で、俺はその足元にも及ばない。
それはもう分かっていたことで。
前世ではいつも皆から敬愛され、崇められていたから、この落ちこぼれという立場に慣れていない?
いや、それも田舎の木こりとして今世は生きると決めて、前世の自分とは切り離して考えると思ったばかりだ。
何が、俺は悲しかったんだろう……。
悲しいという感情を今まで感じてこなかった。
よく、分からない……。
俺も三人も困惑する中、涙だけがポロポロと流れる。
むしろ、涙ってこんなに簡単に流れるものなんだな、と感心した気持ちにすらなる。
ただ呆然と涙を流し続けている俺とそれをオロオロ見ている三人。
すると突然、テオがしゃがんでいた常態から少したちあがり、俺の目蓋に口付けた。
「へ?」
目の前ににっこり笑うテオの顔。
「涙、止まった。驚いたら、止まるかなって思って」
「テオドール!貴様、何を!」
「さすがに、それはやりすぎでしょう!」
俺の左右にいたバーンとクリフトに詰め寄られるテオを見ながら、俺は「確かに止まった!」とへへへと笑った。
「ルカ……」
笑った俺を三人が安心した顔で見る。
心配、かけたな。
「悪かったな。ホントに、何で泣いたか分からないんだ……寂しかった、のかな?」
「寂しかった?」
「なんか、俺だけ三人の中に入れないって感じが……んー、上手くは言えないんだけどな。ネラル先生にさ、お前は入ってないって言われて……」
慌ててクリフトが間に入る。
「いえ、それはネラル先生が教えたのが私達三人で、その中にルカが入ってないってだけで、ネラル先生に他意はないと……」
「いや、そうなんだけどな。それが俺にはさ、お前だけ別物って聞こえたんだ。俺が自分でそう思ってたんだろうな」
そうだ。
俺が今できることは、すべて前世のおかげだ。
今の俺は……何もない。
木こりの息子として生きていくために、特に必要ともしてなくて。
ただ、父さんに言われて、父さんにとっての母さんみたいに、将来的にもずっと一緒にいられる相手を探しに来たけど、それは女の子じゃなくて、こいつらで。
こいつらと出会って、友達になって、一緒に過ごしていると、いかに当然のごとく努力し、将来に向けて必死に足掻いているかを知った。
そして、俺も三人のように頑張ろうと決意したんだ。
でも、何のために……?
ただのルカにはない、目指すものがある三人が……俺には羨ましかった……あぁ、これが、羨ましいという感情なのか。
前世の俺じゃない、今のルカが体験して得た想いだ……だから、涙が出たのかもしれない。
心配そうに三人が俺を見ている。
「俺も頑張らないとなって思ったんだよ。三人みたいに」
俺も、三人みたいに、何か夢を探そう。
必死になれる物を。
笑顔を見せた俺に、三人はほっとしたように笑った。
「ルカは頑張ってるよ。僕たちが一番分かってる」
「ルカが泣くなんて、何事かと思ったではないか。心配させるな」
「一緒に、頑張るんでしょう?これからも」
そうだな。
まだまだ寄宿学校生活は始まったばかりだ。
これからだ。
「テオドール!ルカに謝罪しろ!肌に許可なく触れるなど、冗談ではすまんぞ!」
バーン、何を怒ってるんだ?
「えー?別にいいでしょ。泣き止んだじゃないか」
テオは飄々としている。
あぁ、目元に触れたやつか。
別に何とも思ってないが。
「あれはダメです……俺だって毎晩我慢してるのに……」
「意識ない時はダメでしょ」
クリフトはメガネを押し上げながら、ぶつぶつ言っているし、テオにも何か言われてる。
何だ?
何が問題だ?
「別にお前たちなら、何してもかまわないぞ?」
「なっ……」
三人が驚愕した顔でこちらを見る。
いや、本心だ。
「何してもって、ナニじゃないんだよ?バーン」
「なっ、私はそんなこと思っていない!」
「えっ……じゃあ、今晩……」
「「クリフト!!」」
三人がまた俺をおいて楽しそうにはしゃいでる。
「何かする時は、俺も入れてくれよ!」
俺は自分から三人の輪に入る。
もう、寂しくはない。
「えー?僕はルカにしか挿れたくないなぁ?」
「テオドール!ルカに何てことを!!」
「じゃあ、今晩俺がっ……」
「約束!」
「クリフト、貴様はっ……」
「ははっ」
内容はよく分からなかったが、バーンをからかうテオと、真顔でぶつぶつ言うクリフトを怒る二人に大声で笑った。
そんな俺を見て、三人はかなり焦っていた。
三人とも、座っていた椅子を立ち、俺の側へとよる。
テオは正面へしゃがみ、バーンとクリフトも左右から俺を覗き込む。
「どうしたの?どこか痛いの?」
「何か気に触ったのか?謝罪するから教えろ」
「とにかく、泣き止んで。その後、理由を教えて下さい」
俺は自分でもなぜ泣いているのかよく分からなかった。
泣く、という行為自体が意識下では初めてかもしれない。
「わりぃ。俺も、よく、分からないんだ」
本当によく分からない。
泣くほどのことじゃない。
三人が優秀で、俺はその足元にも及ばない。
それはもう分かっていたことで。
前世ではいつも皆から敬愛され、崇められていたから、この落ちこぼれという立場に慣れていない?
いや、それも田舎の木こりとして今世は生きると決めて、前世の自分とは切り離して考えると思ったばかりだ。
何が、俺は悲しかったんだろう……。
悲しいという感情を今まで感じてこなかった。
よく、分からない……。
俺も三人も困惑する中、涙だけがポロポロと流れる。
むしろ、涙ってこんなに簡単に流れるものなんだな、と感心した気持ちにすらなる。
ただ呆然と涙を流し続けている俺とそれをオロオロ見ている三人。
すると突然、テオがしゃがんでいた常態から少したちあがり、俺の目蓋に口付けた。
「へ?」
目の前ににっこり笑うテオの顔。
「涙、止まった。驚いたら、止まるかなって思って」
「テオドール!貴様、何を!」
「さすがに、それはやりすぎでしょう!」
俺の左右にいたバーンとクリフトに詰め寄られるテオを見ながら、俺は「確かに止まった!」とへへへと笑った。
「ルカ……」
笑った俺を三人が安心した顔で見る。
心配、かけたな。
「悪かったな。ホントに、何で泣いたか分からないんだ……寂しかった、のかな?」
「寂しかった?」
「なんか、俺だけ三人の中に入れないって感じが……んー、上手くは言えないんだけどな。ネラル先生にさ、お前は入ってないって言われて……」
慌ててクリフトが間に入る。
「いえ、それはネラル先生が教えたのが私達三人で、その中にルカが入ってないってだけで、ネラル先生に他意はないと……」
「いや、そうなんだけどな。それが俺にはさ、お前だけ別物って聞こえたんだ。俺が自分でそう思ってたんだろうな」
そうだ。
俺が今できることは、すべて前世のおかげだ。
今の俺は……何もない。
木こりの息子として生きていくために、特に必要ともしてなくて。
ただ、父さんに言われて、父さんにとっての母さんみたいに、将来的にもずっと一緒にいられる相手を探しに来たけど、それは女の子じゃなくて、こいつらで。
こいつらと出会って、友達になって、一緒に過ごしていると、いかに当然のごとく努力し、将来に向けて必死に足掻いているかを知った。
そして、俺も三人のように頑張ろうと決意したんだ。
でも、何のために……?
ただのルカにはない、目指すものがある三人が……俺には羨ましかった……あぁ、これが、羨ましいという感情なのか。
前世の俺じゃない、今のルカが体験して得た想いだ……だから、涙が出たのかもしれない。
心配そうに三人が俺を見ている。
「俺も頑張らないとなって思ったんだよ。三人みたいに」
俺も、三人みたいに、何か夢を探そう。
必死になれる物を。
笑顔を見せた俺に、三人はほっとしたように笑った。
「ルカは頑張ってるよ。僕たちが一番分かってる」
「ルカが泣くなんて、何事かと思ったではないか。心配させるな」
「一緒に、頑張るんでしょう?これからも」
そうだな。
まだまだ寄宿学校生活は始まったばかりだ。
これからだ。
「テオドール!ルカに謝罪しろ!肌に許可なく触れるなど、冗談ではすまんぞ!」
バーン、何を怒ってるんだ?
「えー?別にいいでしょ。泣き止んだじゃないか」
テオは飄々としている。
あぁ、目元に触れたやつか。
別に何とも思ってないが。
「あれはダメです……俺だって毎晩我慢してるのに……」
「意識ない時はダメでしょ」
クリフトはメガネを押し上げながら、ぶつぶつ言っているし、テオにも何か言われてる。
何だ?
何が問題だ?
「別にお前たちなら、何してもかまわないぞ?」
「なっ……」
三人が驚愕した顔でこちらを見る。
いや、本心だ。
「何してもって、ナニじゃないんだよ?バーン」
「なっ、私はそんなこと思っていない!」
「えっ……じゃあ、今晩……」
「「クリフト!!」」
三人がまた俺をおいて楽しそうにはしゃいでる。
「何かする時は、俺も入れてくれよ!」
俺は自分から三人の輪に入る。
もう、寂しくはない。
「えー?僕はルカにしか挿れたくないなぁ?」
「テオドール!ルカに何てことを!!」
「じゃあ、今晩俺がっ……」
「約束!」
「クリフト、貴様はっ……」
「ははっ」
内容はよく分からなかったが、バーンをからかうテオと、真顔でぶつぶつ言うクリフトを怒る二人に大声で笑った。
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