前世は救国の騎士だが、今世は平民として生きる!はずが囲われてます!?

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大反省会

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テオの部屋でいつものようにクリフトにお茶を淹れてもらう。

「たまたまバーンと寄宿学校で会ってね。でも、まだ授業の内容は聞いてないんだ。報告会するってルカが楽しみにしてたから、先に聞いちゃうとね」
テオもバーンも特に疲れている様子はない。
ネラル先生のあのげっそり感は一体……。
俺はネラル先生の「ルカは入ってない」であまりにショックを受けてしまって、先生の話は聞いてなかったが、三人が何をしたんだろう……。

「誰から報告する?」
「あぁ、それなら俺から」
全員分のお茶を淹れ終わったクリフトが座りながら軽く手を挙げた。
「たいした内容じゃないので、先の方がいいかと」

えっ。
それなら、俺が一番じゃあ……?

「じゃあ、クリフトからどうぞ」
テオが返事をしてしまった……!
次は俺にしよう。
絶対最後はツラい。

「俺の方は話術というか、論破というか、そういったことを目的とした授業だったと思うんですが、寄宿生のレベルが低くて、そうはならなかったんですよね」
やれやれ、といった感じでクリフトは苦笑している。
「どんな内容だったんだ?」
「自分がこの中で一番優れている点をあげて、それをより優れている他者が否定せよ、ということだったんですが、まずそのレベルが低くて。主要都市の交通を網羅してるとか五言語習得してるとか各地の名産農作物の知識とか……」

へ?
すごくないか??
主要都市ってことは、王都だけじゃないんだろ?
王都だけでも俺は把握しきれていない。
五言語も、王都で通訳として働けるレベルだろう。
各地の名産農作物なんて、どうやって知り得たんだろう?
そんな書籍なんて見たことないし、中央も把握しているのかどうか……。
領主はその土地のことは隠したがるし、そもそも農作物について知ろうと思ったことがない。
着眼点がすごい。

「クリフト、それは……」
テオが言い淀んでいる。
だよな?すごいよな??
クリフトはレベルが低いと言ったが、普通に考えて、他の者よりも優れていると胸を張っても良い内容だ。
クリフトが優秀すぎるからそう思うだけだろう。

「本当にレベルが低いね」
「嘆かわしいな」

え……。
テオもバーンもクリフトを気の毒そうに見ている。
あ、あれ?

「僕でも六言語できるよ?」
「交通網など、知っていて当然の知識だ。路地裏すら、敵に利用されるかもしれないんだぞ?名産農作物など、興味があれば子供でも調べ得る」
「そうですよね」

三人は頷きあっている。
そこまで求められるのか!?
そんな……俺、一生無理だ。

「じゃあ、次は僕が話すね」
はっ。
二番目をテオに取られた!

「僕はクリフトと違って自分が不甲斐なくてね。ちょっと落ち込んだんだ」

そうなのか……。
それなら、二番目を譲っても良かった。

「回復魔法を初めて使ったんだけどね。流れ出た血液を全て元に戻すつもりが、最初に床に落ちた一滴を忘れていて。ネラル先生に指摘された時は本当に悔しかった」

テオは悔しそうに顔を歪めているが、話が入ってこない。
「テオ、流れ出たってそれは、自分で刺した、のか?血液を戻すって……」
「あぁ、そうだよ。掌を短剣で突いたんだ」
「大胆だな」
バーンは笑っているが、いや、笑えない。
「それ、回復魔法で修復できなかったらどうするんだよ!」
「ルカ……心配してくれてありがとう。でも、それくらいの傷が治せないようじゃあ、魔法士は名乗れないからね」
「さすがですね」
クリフトも頷いている。

いや、最初だろ?
最初の回復魔法を、自傷でやらせるのもどうかしてると思うが、掌を短剣で突く必要ない。
しかも、血液をすべて元に戻すのは魔力をかなり使う。
それをやるなんて……魔力量もだが、技量もかなりのものだ。
それが床に残った一滴で落ち込むって……。

「私はネラル先生に止められてしまってな」
バーンが続けて話し出した!

「剣術は各々の技量を見るということで、勝ち抜き戦だったのだが、毒を入れたと思われるライルがいてな。手を抜いてやるつもりで武器はつまらない物を選んだが、つい、な。ライル相手に追撃すると、勝負がついている相手に攻撃をしかけるなと言われてしまった。私情を挟むとは、私もまだまだだ」
「つまらない物って何?」
「木の枝だ」

いや、木の枝って!
武器じゃない!
ネラル先生もよくそれでやらせたな……。
それは相手も自尊心を傷つけられただろう。
毒の件があるから、俺ももちろんその場にいたら平静ではいられなかったかもしれないが、バーンにしては珍しいな。
しかも、何も知らない寄宿生たちにはバーンがかなり凶暴に写ったのでは……?

「それから、誰も私の相手をしようとせず、不戦勝だ。情けない」
やはり。
あぁ、この辺がネラル先生が疲れてた原因か。

「僕の方も誰も怯えて自傷しようとしなくてね。ネラル先生が小さな傷でいいからってやらせようと必死だったよ」
テオもか。
ネラル先生がぐったりしていた原因が分かった。

「で、ルカは?」

あっ。
どうしよう。
俺……結局最後じゃないか!
大爆発はさすがに言えないが、みんなも話してくれた以上は俺も報告しないと。

「あ、俺は、シュ…シュラ先生に教えて貰ったけど、その、まだテオみたいに回復魔法は使わせて貰えなくて、攻撃魔法を使ったけど、ちょっと大きさ失敗してさ、すげー怒られた」

三人が驚愕の表情で俺を見る。
「すごいよ!攻撃魔法ができたなんて!大きさなんて、関係ないよ!」
「一日でか!すごいではないか!」
「詠唱も覚えられなかったのに、もう使えるようになったなんて、ルカはすごいですね!」

……え?
俺、詳しくは話してないけど、大したこと学んでないって笑われるかと思ったのに?
なんで、三人とも俺のことをすごい、すごいって……。
それまで高度な会話してたのに、俺のことになると突然こんなことで褒められるって……。

ネラル先生の「ルカは入ってない」の声が俺の頭をぐるぐると流れる。

「「「ルカ!?」」」

俺は気づけば、ポロポロと涙を溢していた。
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