前世は救国の騎士だが、今世は平民として生きる!はずが囲われてます!?

文字の大きさ
78 / 146

悪夢の果てに~フォルクス視点~

しおりを挟む
「ふーん」
ルカは少し考え込むような顔をした後、満面の笑みを見せる。
「よし、まかせとけ!ちょっと時間かかるけど、明日までには俺がなんとかする」
「いや、なんとかって……」
さすがのルカでも、なんとかできる問題では……。
「大丈夫だ!フォルクス、相談してくれてありがとな。お前に頼ってもらえて……俺は嬉しい」
去り際にその銀糸の髪を揺らしながら振り返ったルカの笑顔は……本当に美しかった。
この後の悲劇を微塵も感じさせない、神々しい笑顔。
「ルカ!」
笑顔で去るルカを止めたくて手を伸ばす。
その手を取りたくて。


「ルカー!」
叫びながら飛び起きると、そこは見知らぬ一室の寝台の上だった。
寝て……いたのか。
「起きたか」
声のする方を見ると、今のルカが寝台の横の椅子に座っていた。
「けっこう、深く眠れていた。良かった」
安心した顔で頷いている。
「側に……いてくれたのか」
「離してくれなかったしな?」
私がルカの手を握りしめたままだったらしい。
「すまない」
「いーよ。少し隈も薄くなった、かな?やっぱり、悪い夢は見たのか?」
「悪い……夢では、なかった。お前に私のせいじゃないと、ルカ自身が決めたことだと言われて、最後に話したときのことを思い出していた。ルカは……美しかった……」

そうだ。
崩れ落ちるルカの夢ばかり見ていた。
何度も何度も。
眠る度に飛び起き、またあの夢を見るくらいなら、と極力眠りにつくことをやめた。
ルカは毎日あの悲惨な姿で長年私の側にいた。
そうではない。
ルカはあんなにも美しかったんだ。

「美しいかどうかはちょっと分からないけど、嫌な思い出ばかりじゃないよな?そっちを思い出してやった方がルカ?も喜ぶ」
「そうだな……」

やはり私は貴方には敵わない。
もう、悪夢など見ない。
今日からは、今の貴方の夢を見よう。

「ルカ。この国を救ってくれて、ありがとう」
「へ?」
「貴方にそう、伝えなければいけなかったな」
「いや、あのっ」

ルカがオロオロし始める。
「俺は、その救国の騎士ではなく、平民のただのルカなのでっ……」
「今さらか?」
私への対応も過去のことの言及もルカ本人でなければ無理だ。
なぜ、それで誤魔化せると思っているのだろう?
慌てているその姿が少し可笑しくて、思わず笑ってしまう。
「あのっ」
「いや、いい。貴方が……いや、お前が救国の騎士でも、ただのルカでも」
「はぁ」
「私はこの国の宰相になった。もう、誰の隣にも、立てる」

私の発言の意味が分かっていないのだろう。
小首を傾げている。

もう少し、分からないふりをしていてあげよう。

「……しかし、ルカ。シュルツを止めるための口付けはダメだ。お前ならば、テオドールの側まで転移して防護壁を張れば良かっただろう?」
「いや、あの……転移、得意じゃなくて。確実な方法をって……」
言いにくそうな顔でルカが額を掻く。
あの、ルカが、転移が不得意……思わず吹き出してしまう。
「ちょっ、そんな笑うこと……」
「すまない」

良いことを聞いた。
私が分からないふりができなくなったら……連れ去ってしまおう。
転移でしか逃げられないような、遠くまで。

「迷惑かけておいて、楽しそうね?」
シュルツが部屋の入り口に仁王立ちしている。
「ルカ、少し席をはずしてくれる?二人で……話があるの」
「あ、あぁ。あの、手を……」
まだ、私はルカの手を握ったままだった。
離しがたいな。

握ったルカの手をすっとあげ、その掌に口付けする。
「え?」
「ちょっ……」

「今は、ここで」
そう、今はまだ。

ゆっくりその手を離す。

困惑した表情のまま、ルカは部屋を後にし、睨み付けたシュルツと二人になる。

「さて、話を聞きましょうか?宰相閣下」
しおりを挟む
感想 64

あなたにおすすめの小説

寄るな。触るな。近付くな。

きっせつ
BL
ある日、ハースト伯爵家の次男、であるシュネーは前世の記憶を取り戻した。 頭を打って? 病気で生死を彷徨って? いいえ、でもそれはある意味衝撃な出来事。人の情事を目撃して、衝撃のあまり思い出したのだ。しかも、男と男の情事で…。 見たくもないものを見せられて。その上、シュネーだった筈の今世の自身は情事を見た衝撃で何処かへ行ってしまったのだ。 シュネーは何処かに行ってしまった今世の自身の代わりにシュネーを変態から守りつつ、貴族や騎士がいるフェルメルン王国で生きていく。 しかし問題は山積みで、情事を目撃した事でエリアスという侯爵家嫡男にも目を付けられてしまう。シュネーは今世の自身が帰ってくるまで自身を守りきれるのか。 ーーーーーーーーーーー 初めての投稿です。 結構ノリに任せて書いているのでかなり読み辛いし、分かり辛いかもしれませんがよろしくお願いします。主人公がボーイズでラブするのはかなり先になる予定です。 ※ストックが切れ次第緩やかに投稿していきます。

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新! Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新! プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

【完結】国に売られた僕は変態皇帝に育てられ寵妃になった

cyan
BL
陛下が町娘に手を出して生まれたのが僕。後宮で虐げられて生活していた僕は、とうとう他国に売られることになった。 一途なシオンと、皇帝のお話。 ※どんどん変態度が増すので苦手な方はお気を付けください。

お前らの目は節穴か?BLゲーム主人公の従者になりました!

MEIKO
BL
 本編完結しています。お直し中。第12回BL大賞奨励賞いただきました。  僕、エリオット・アノーは伯爵家嫡男の身分を隠して公爵家令息のジュリアス・エドモアの従者をしている。事の発端は十歳の時…家族から虐げられていた僕は、我慢の限界で田舎の領地から家を出て来た。もう二度と戻る事はないと己の身分を捨て、心機一転王都へやって来たものの、現実は厳しく死にかける僕。薄汚い格好でフラフラと彷徨っている所を救ってくれたのが完璧貴公子ジュリアスだ。だけど初めて会った時、不思議な感覚を覚える。えっ、このジュリアスって人…会ったことなかったっけ?その瞬間突然閃く!  「ここって…もしかして、BLゲームの世界じゃない?おまけに僕の最愛の推し〜ジュリアス様!」  知らぬ間にBLゲームの中の名も無き登場人物に転生してしまっていた僕は、命の恩人である坊ちゃまを幸せにしようと奔走する。そして大好きなゲームのイベントも近くで楽しんじゃうもんね〜ワックワク!  だけど何で…全然シナリオ通りじゃないんですけど。坊ちゃまってば、僕のこと大好き過ぎない?  ※貴族的表現を使っていますが、別の世界です。ですのでそれにのっとっていない事がありますがご了承下さい。

虚ろな檻と翡翠の魔石

篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」 不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。 待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。 しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。 「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」 記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。 ----------------------------------------- 0時,6時,12時,18時に1話ずつ更新

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜

飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。 でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。 しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。 秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。 美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。 秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。

妹を救うためにヒロインを口説いたら、王子に求愛されました。

藤原遊
BL
乙女ゲームの悪役令息に転生したアラン。 妹リリィが「悪役令嬢として断罪される」未来を変えるため、 彼は決意する――ヒロインを先に口説けば、妹は破滅しない、と。 だがその“奇行”を見ていた王太子シリウスが、 なぜかアラン本人に興味を持ち始める。 「君は、なぜそこまで必死なんだ?」 「妹のためです!」 ……噛み合わないはずの会話が、少しずつ心を動かしていく。 妹は完璧令嬢、でも内心は隠れ腐女子。 ヒロインは巻き込まれて腐女子覚醒。 そして王子と悪役令息は、誰も知らない“仮面の恋”へ――。 断罪回避から始まる勘違い転生BL×宮廷ラブストーリー。 誰も不幸にならない、偽りと真実のハッピーエンド。

悪役令息上等です。悪の華は可憐に咲き誇る

竜鳴躍
BL
異性間でも子どもが産まれにくくなった世界。 子どもは魔法の力を借りて同性間でも産めるようになったため、性別に関係なく結婚するようになった世界。 ファーマ王国のアレン=ファーメット公爵令息は、白銀に近い髪に真っ赤な瞳、真っ白な肌を持つ。 神秘的で美しい姿に王子に見初められた彼は公爵家の長男でありながら唯一の王子の婚約者に選ばれてしまった。どこに行くにも欠かせない大きな日傘。日に焼けると爛れてしまいかねない皮膚。 公爵家は両親とも黒髪黒目であるが、彼一人が色が違う。 それは彼が全てアルビノだったからなのに、成長した教養のない王子は、アレンを魔女扱いした上、聖女らしき男爵令嬢に現を抜かして婚約破棄の上スラム街に追放してしまう。 だが、王子は知らない。 アレンにも王位継承権があることを。 従者を一人連れてスラムに行ったアレンは、イケメンでスパダリな従者に溺愛されながらスラムを改革していって……!? *誤字報告ありがとうございます! *カエサル=プレート 修正しました。

処理中です...