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57 見つめ合うだけで、つがい合う
しおりを挟むするりと離れれば、うっとりと熱を孕むユンファ様の薄紫色の瞳がじっと…俺の目を見つめてくる。
「……ソンジュ様…しかし僕は、ソンジュ様のあのお言葉、端から貴方様を恨んでなどおりませんでした…。そのように思われても致し方ないと、本当に思っております……」
「…どうか勘違いをなさりませぬよう…、あれは全て、嫌われようというための、俺の嘘でございます。――俺の本音など欠片も無い、嘘なのです。」
俺が真剣な気持ちでそう言えば、ユンファ様はくすりとその白いまぶたをやわく緩めて微笑み――そ、と俺の頬に、ひやりとした手の指先を触れさせては、その美しい微笑をやや傾ける。
「…もしソンジュ様と想い合うことで、僕が殺されてしまうとしても…――ジャスル様との婚姻は、元より僕の死を含めた上でのもの…。何も悔いはありません……」
「…俺とて、そもが死に損ないでございます、ユンファ様…。悔いなどあるはずがないのだ、むしろ本望に違いありませぬ…、…」
俺は自然とまぶたの力を緩めながら顔を傾け、ユンファ様に口付けようと、この薄く開いた唇を寄せてゆく。…すると、何とも可愛らしいことに――接吻されると察したのだろう――ユンファ様はぴくんっと小さく体を跳ねさせると、きゅっと目を瞑り、ややその美しい眉の根を寄せるのだ。
「ふふ…なんとお可愛らしいのか…、ユンファ様のこの可愛らしいお顔、いくらでも見ていたいほどです……」
「……、…意地悪を、なさらないでくださいませ…」
俺は特に意地悪をしたわけではなかったのだ――いや、俺にはそのつもりこそなかったが、…白かった顔をうす赤くしたユンファ様の薄目は俺を見て、困りきっている。
可愛い…――俺の人生で、今が一番幸福かもしれぬ。
「…はは…、…では、ユンファ様…どうか、俺の目を見つめていてください……」
「……はい、ソンジュ様……」
「…………」
俺とユンファ様は、うっとりと見つめあう。
…蝶と狼は、見つめあうだけでつがい合える――。
ぽうっとした熱を宿すユンファ様の、その美しい薄紫色の瞳――小さく揺らぐ瞳の上、うっとりと緩んだ切れ長のまぶたは、まばたきも忘れている。…長く黒々としたまつ毛は、この瞳に翳りの色気をもたらしている。
なるほど、そういうことか、とにわかに納得した俺である。
「…んっ…、……っ?」
――俺は、本能のままにユンファ様の唇に噛み付き、貪るようにはむはむとその人の唇を食む。…柔らかく、濡れたようなその唇は震え、ただ…俺の接吻を、受け入れていた。……あのお伽噺、何も絵空事ばかり記していたわけではなかったらしい。
「…っは、…ソンジュさ、…んむ、ん…っ」
顔の角度を変えようと離れれば、ユンファ様はわかりやすく困り顔をして俺を見てきたが、それも一瞬――俺はまた彼の唇に噛みつき、そして貪る。
確かに――目を見つめあうだけで、つがい合える。
…いや、厳密にいえばそうじゃない。――ただ、ユンファ様の瞳をじいっと…それこそ想い合っていると自覚した上でその人の目と見つめあうと、――クる。
どうしようもないほど、ムラムラとクる。
…襲いたい、抱きたい、この美しく愛おしい人を、めちゃくちゃにしたい――。
「…んん…っ」
「……、……」
見たい、見たい――快感に歪み、乱れるその美貌を。
見たいのだ――雪白のその細い体を余すことなく、潤んだ粘膜、肌がうっすらと染まる様、恍惚の表情、熱にうかされ潤むだろう、その薄紫色の瞳。
聞きたい…――上擦るあえかな吐息、湿った甲高い声、生々しい水音。
舐めて、口付けてやりたい…――肌、胸、秘所、髪の先から爪の先まで、この体の全てに。
たっぷりとその全身を潤ませ――モノを押し込み、激しく揺さぶって、めちゃくちゃに喘がせたい。
そしてそのまま――子を孕ませたい。
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