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93 胡蝶の護衛
しおりを挟む「お前だけよ。…ユンファのこの姿に逸物を膨らませず、まるで興奮もしておらんのは…――それどころか嫌悪までしておるとは、やはりお前しかおらんわなぁ…?」
「……、……」
その実、俺が憎むほど嫌悪しているのは…――このユンファ様に、ではない。
ジャスル…そして、いまだニチニチと聞こえる粘着音…吐きそうなほど籠った雄の匂い、まさにこの状況全てに目を逸らしたいほど、今に全てを切り捨ててぶち壊してやりたいほど、――お前らに、俺は、嫌悪しているのだ。
「…まああれだけの器量の嫁がいる堅物が、そうならんほうがおかしいわなぁ、ソンジュよ。――この淫売の体と、あの女の清らかな体…今もお前に操を立てておる妻を思えば、これに嫌悪して当然じゃ。」
「………、…」
妻が、なんだと…? 実際俺に操を立て、今それを守っているのやもわからぬ女が。――俺の寝込みを襲った女の何が清らかな体か、その女の何が清らかか、――たとえこうして穢され切っていたとしても――よほどこのユンファ様以上に清らかな人は、この世にはいない。
いや。――俺はジャスル様の思惑を察し、その人の目を見て慎重に頷いて見せた。
「ふっ…よかろう。――今日からお前は、このユンファにつけよ、ソンジュ。」
「……、は…、しかしそれは……」
俺は眉を寄せ、狼狽のふりをしてみせる。
…今に見ていろ…――歯の根が震えるほどのこの憎しみ、――いずれ必ずその太った体に噛み付いて、骨まで噛み砕き、ぐちゃぐちゃに噛み殺してやる。
俺の嫌悪の表情に、ジャスル様は舌なめずりをしてニヤリ、目を細め、暗く悪く笑うと。
「…何、ワシの護衛は、お前のほかにもおるわい。むしろお前以外の護衛をつけたところで、これはすぐ食っちまうに違いないからのぉ…――よいかソンジュ。命令だ。」
「……、…はっ…、か、かしこまりました…、……」
俺はジャスルに、頭を下げて見せた。
これでいい…――これで少しでも、俺はユンファ様のお側にいられる。
不幸中の幸いとはこのことよ…――。
「…ソンジュよ、このあとこれの身もお前が清めてやれ。しかし…くれぐれも、ワシの子種は掻き出すなよ? 清めるとはいえ、この栓をしたままだぞ。」
「…はっ…仰せのままに……」
忌々しい豚め。
…しかし、今はただ従うのみ。――そのほうが都合もよい。俺は低い声でその命を承った。
「…一滴もコレの体内から零すな…? しかと主人の子種を吸収させ身の一部とさせるか、受精させるのだ…。誰が自分の主人なのか、まずはこの体に分からせてやらんとな…、なあユンファ……」
ジャスル様は悍ましい笑顔で、ユンファ様の小さく震えている体を撫でさする。――「かしこまりました、ジャスル様」と俺は、無感情的に頭を下げたまま返事をした。
「…これは躾じゃ…、そうかからずコレもまた、自らワシの子種を求めるようになろう…なあ、なあユンファ…、お前もそうなれるよう努めろよ…?」
「…………」
ユンファ様の目は見えているのか――ただ虚ろな目をして、ジャスル様に抱えられたまま、ぼうっとその人の顔を見上げているだけである。
ジャスル様の太った茶色の手が、ユンファ様の白い下腹部をいやらしい手付きですり…すりと撫でる。
「…そうなれば、近いうち子もこの腹に宿そう…――身を清めたならば、ワシの部屋へ連れて来いよ、ソンジュ…。なあユンファよ、今宵は朝が来るまでたっ…ぷり……」
唇さえ半開きとなったユンファ様の顎を掴んで軽く上げ、ジャスル様は舌なめずりをした。
「…たあっぷり可愛がってやろうなぁ…? 今度は二人きり、じっくりと初夜を楽しもう…――お前が気を失うまでたっぷりとイかせ、たっぷり子壺にワシの子種を注ぎ、こってりと種付けしてやろうなぁ…、今宵のうちに一人目を孕ませてやるぞ、ユンファ……」
「…………」
そう語りかけられながら、下腹部を軽く押されているユンファ様は何も言わず、ジャスル様を虚げに見上げているだけだ。――もはや彼は、美しい人形そのものである。
しかしジャスル様は、ニヤリとしてまた舌なめずりをし、ねっとりとした猫なで声で続ける。
「…お前はそのうち、ワシの子種を注がれることで気を遣るようになるよ…? そして子壺にワシの精を注がれるたび、心から感謝するようになるのだ……」
「……はぁ…、は…、…は…」
虫の息…――ユンファ様はただ、ニマニマとしたジャスル様をぼんやりと見上げて、ただ息をしている。
「…お前は次第に、ワシの魔羅無しに生きてゆかれんようになり、いずれはお前から、ワシの魔羅をしゃぶりたい、挿れてほしいとまんこを濡らして、ワシを求めるようになるのだよ…――この腹が膨らむのが楽しみだ。…お前も楽しみだろう、なあユンファ……?」
「…………」
ユンファ様は返事をせず――ただぼんやりと、やはり静かに呼吸を繰り返していた。
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