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102 愛と嫉妬に身が竦む
しおりを挟むあたかも俺を侮蔑したかのようなセリフ、その媚びきった声も全て、俺のため――そうわかっていても、…死にたくなる。
…今に部屋の中へ乱入し、ジャスルを、…ユンファ様を殺してしまいたくなる――。
そのあとは四六時中、ずっと、ずっと、ずっとまぐわい、まぐわい、まぐわい、…いまだ、朝が来ようともいまだ、部屋の中でまぐわうジャスル様とユンファ様――「…あぁ、ジャスル様…ジャスル様…」とその人の名を艶っぽい声で呼び、ぱちゅぱちゅとひたすらに犯されているユンファ様のその声は、「…お慕いしております、ジャスル様…」――昨夜。
“「…っお、お慕いしております、ソンジュ様、…ぁ、♡ はあぁだめ…♡ きもちいい…♡」”
俺たちが一つとなったときと同じ――そのときと同じような声に思えては、あまりの悔しさに歯噛みをする、ただそれだけの、至って惨めな俺。
それもまた一つ、俺を庇うための、ただそれだけの媚態だと思いたいところだ。…ユンファ様は俺のため、ジャスル様に媚態を晒している、ただそれだけなのだと思いたい。――忘れろと言う。
昨夜の契りは甘き夢――一夜のみ許された、ただの夢。
もう、あの桃の香の甘い夜は俺に、忘れろと言う。
自分はもう、ジャスル様のものであると。もう俺のものにはなれぬと。…あの“永恋の誓い”さえも無かったことにしろ、と。その高潔な魂や心までもが、もう俺のものではないのだと。ならば、それら全てが、ユンファ様のその全てがあの、ジャスルのものである、と…――?
そして――俺には、好いてもいない妻と幸せになれ、と言うのだ。
後悔していることがある。
…先ほど、せめて浴室で――せめて最後に、ユンファ様のあの唇に、口付ければよかった、と。
最後の機会であったやもしれぬ。――あのユンファ様と接吻ができる、あれが最後の機会であったかもわからぬのだ。
なぜだ。
…なぜ俺と逃げてはくれなかったのだ。
なぜ貴方様は、あんな下劣な醜男と添い遂げようとしているのだ。
あわや…「お前のまんこは淫売じゃ、お前のまんこは貪欲じゃ、浅ましいおまんこじゃ、主人の魔羅がそんなに善いか、主人の魔羅がそんなに欲しいか、ユンファの体は犬のように浅ましいのぉ、お前は本当に淫蕩だのぉ」――そう…肉体のみならず、その清らかな自分の魂を蔑む男に、なぜ生涯の操を立てるというのだ。
「……、…、…」
許せぬ。
…俺が、俺がジャスル様のお立場であれば――ただその人と、なんの躊躇いもなくつがえたのか。
誰しもに咎められることもなく、ただユンファ様と、つがいになれたでもというのか。
俺は、何人もの女も男もいらぬ。――ただユンファ様のみが側に在れば、それでよい。
それとも、あの下劣な男に俺が負けたというのか。
…この俺が。――誇り高き狼の俺が、あの醜い男に奪われたというのか。…――美しき胡蝶の、その全てを。
いずれ切り捨ててやろう。
いや、今すぐに切り捨ててやろうか。
今ならば――此処には俺のみ。
容易いことだ。――つがうことに夢中の、ジャスルのぶよぶよと醜い、あの背を斬りつけることなど、実に容易いことだ。
「…………」
しかし、――やはり、…できぬ。
身を呈してまで、恥を忍び、媚態を晒してまで俺を庇ったユンファ様を――裏切ることは、できぬ。
いっそ俺は、自害してしまうほうがよいのかもしれぬ――。
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