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119 ひらひらか弱い蝶の羽、僕のまぶたを優しく撫ぜて
しおりを挟む「……ソンジュ…、ふふ……」
「……、ユンファ様…」
俺は今、ユンファ様のその細い腿の上に後ろ頭を乗せて――すなわち彼に膝枕をしてもらい――、好き勝手、彼に三角の耳やら、頭やらを撫で回されて、弄くり回されている。…まるで動物を可愛がる幼子のそれだが、…俺を見下ろしてくるユンファ様のその美しい微笑みは、慈しみに満ち溢れて、俺にとってはとても嬉しいものである。
先だって俺は、ユンファ様に――頭が撫でにくいから、自分の腿に頭を預けてくれ、と言われたのだ。
またとない蜜月の機会――俺は素直に従い、体を横たえて、ユンファ様の腿の上に頭を置いた。
しかしユンファ様は、恋人としてそうしたかった…というよりか――ただ本当に、俺のピンと立った三角の耳やら、頭やらを撫でたかっただけのようである。
「……可愛い…」
「……、…、…」
くりくりと長い指で、三角の耳をこねくり回されるとどうも擽ったい。――しかし、ピクンピクンとその耳を俺が跳ねさせれば、そうするほどにユンファ様、先ほどから可愛い、可愛いとクスクス笑う。
今もなお完全にユンファ様は俺を、動物――狼そのものだと思っているようだ。
「……うぅん…本当に綺麗だ、なんて綺麗な毛皮だろう…。黄金の毛皮だ、本当に綺麗だ……」
「…………」
いや…まあ、かなり幸せなのには違いない。
…とはいえ、これほど美しき慕う相手に膝枕をされ――あまつさえその濃い完熟桃の香りを嗅ぎながら、その人に頭を撫でられているこの状況、…クる。
ユンファ様は、なで…なでと俺の頭を愛おしげに撫でつつ、うっとり、とろんとした目をして俺を見下げ――ほんのりと微笑みながら、くいと少し顔を傾ける。
「…近頃は、よく眠れている…?」
「……ええ、まあ……」
俺の長くなった顎の下を撫でさすり始めた、ユンファ様の片手のひら。――そして彼は、俺の目を閉ざさせるようにもう片手のひらで、俺の両まぶたをそっと撫でる。
俺は自然まぶたを閉ざした。――する…する…と俺のまぶたを撫で続ける、その優しい手のひらは、とても甘く良い匂いがする。
「……ソンジュは、いつも頑張っているから…このまま少し、眠ったら…?」
「………、…」
なんて蠱惑的な、甘い声だ。
「…いい子だね、ソンジュ…いい子だ、いつも本当にありがとう……おやすみ……」
「…………」
なんと愛しき声…――俺を夢に誘うこの優しい手のひら、やわい胡蝶の羽、その甘い匂い、美しい声。
――俺は今、もうすでに夢を見ているのかもしれない。
…幸せな夢だ。――まるで今は、俺たちが誰しもに認められている、伴侶同士となったかのような夢だ。
何度だって見たい夢だ…――いつまでだって、見ていたい夢だ。
朝にだって、昼間にだって、いつだって見ていたい――そんな穏やかで、この身が蕩けてしまうほどに幸せな夢だ。
微睡んでゆく俺の意識を、引き留めようとする理性がある。――このまま眠ってしまえば、仮に誰かが…ジャスル様がこの部屋に訪れたとき、ユンファ様に膝枕をされている俺の姿を見られてしまったら…――そう強張る理性の糸は、ピンと張っているが。
「…………」
「…………」
する…する…と優しく撫でるその桃の香の手のひらが、あまりにも心地良く――ゆるんでは…ピンと張り直して、またゆるむ。
ゆるみ……――張ろうとしては、…張れぬまま。
円かな月に照らされた、この円かなときに――ゆるみきり。
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