ぼくはきみの目をふさぎたい

🫎藤月 こじか 春雷🦌

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恋は盲目 ※モブユン

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「……ごめんなさい、――それとこ、これも、僕にはやっぱり、相応しくないから……」
 
 僕は先ほどの勢いのまま、首に着けたままであったチョーカーを外し、――うつむき、震えながらも、ソンジュさんに腕を伸ばして、そのチョーカーを差し出した。
 
「…お返しします、こんなに高いものはいただけません、…それに、婚約指輪の代わりだとか、…そんな、本当に、は僕に相応しくないから……」
 
「……あぁそっか…ユンファさんはご存知ないんだね…」
 
 とは…どこか苛立ったような、あざけり笑っているような笑みを含ませた声で、ソンジュさんがそう言った。
 ――僕が差し出しているチョーカーは、受け取られないままだ。
 
「……何が、でしょうか……」
 
 僕は、その含みのある言い方がやけに気になって、恐る恐る顔を上げた。――僕とは五、六歩ほど離れたところに立っているソンジュさんは、狼らしいしゅっとした顔ながらも、神妙な表情を浮かべていた。――感情が読み取れない表情、どこか虚ろな水色の瞳はじっと僕のことを見て、据わっている。
 
「“狼化”の時期は、のですよ」
 
「……、だから…なんですか……」
 
 ゾク…ゾクゾク…とした、直感しているが、僕のうなじから生まれて、そして背筋を駆けてゆく。――つー…と、肩甲骨の真ん中から、汗も下へと伝ってゆく。
 掠れ、小さくそう反問した僕の、このチョーカーを差し出した腕は、カタカタ震えている。――ソンジュさんは冷ややかな氷の目をして、僕のことをやはり見据えている。
 
「…ですから…“狼化”はその実、のです。――もちろん完全に止めることはできませんけれどね…、月に一度迎えるべき時期は、ある程度コントロールができる……」
 
「……な、何が、言いたいんですか…?」
 
 ソンジュさんは、まるでふざけた様子ではない。
 泣きそうになるくらい、怖い。――ゾクゾクと粟立つ僕の背中、僕の頬、…うなじ。…ソンジュさんの口から、を聞きたくないような気がしているのだ。それなのに、僕はと直感しているのだ。――彼から、逃げるために、…だから、聞いたのだ。
 
 ――何が言いたいんだ、と、泣きそうになりながら。
 するとソンジュさんは、虚ろな目をすぅ…と柔らかく細めて、うっとりと僕へ微笑みかけてきた。
 
「…ふふ、もう貴方は、なのでしょうに…いえ、ちゃんと教えて差し上げましょうね…。…つまり俺は、のです…」
 
 そしてソンジュさんは、なぜかとても嬉しそうに目を細めて笑い、妖しげなその狼の微笑を――くい…と傾け、僕の目をその、ぬらりと光る淡い水色の瞳で見つめながら、至極ゆっくり、じっくりとした柔らかいながらも艶っぽい声で、こう言うのだ。
 
 
「――、“ように、ね…?」
 
 
「……、…、…」
 
 じゃ、じゃあ…ソンジュさん、
 僕はよた、よた、と廊下のほうへ後ずさる。――掴まれては、捕まっては、困る、と、チョーカーを持つ手を引きながら、…だが目を離しては後ろから、――ソンジュさんのそのあまりに美しくも、恐ろしい微笑みを凝視しながら、じり、じり、よた、よた、と後ずさる。
 
「…確かに俺は、ユンファさんのフェロモンに影響されたこともあり、今“狼化”してしまいましたけれど…――まさか、ん、ふふふ…貴方、俺が完全なる時期外れに“狼化”こうなっただなんて、思っていらっしゃったのですか…?」
 
「…、…、…――。」
 
 ソンジュさんははじめから、僕のことを、つがいにするつもりで…――。
 うろたえて目を白黒させている僕は、怯えて震える両手を前へ突き出し、ソンジュさんから距離を取るよう、更に後ずさる。――しかし彼は、おもむろに距離を詰めてくるのだ、体が大きく、ゆっくりの足取りでも一歩が大きいので、ソンジュさんはみるみる僕に近寄ってくる――怖い、
 
「…っごめんなさい、でもなれません、貴方のつがいにはなれませんから、無理ですから本当に、ごめんなさいでも、本当に僕、なれませ…、…ぁ…っ!」
 
「……どこに、行くの…?」
 
 
 僕の手首をパシっと掴んだソンジュさんに、僕は痛いほどグッと無理やり、引き寄せられた。
 
 
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