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僕の話 後編
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前回の屋上で燃えるアレの夢から数ヶ月。
そんな事など忘れていた僕は、また寝れない夜にカーテンを開け
外を眺めていた。
カーテンを開けて夜に外を見る。
この行動が前回の看護寮の夢を思い出させた。
恐る恐る看護寮の方を見ると、屋上では何も燃えていなかった。
だが、看護寮の一室に明かりが点いているのだ。
また、見慣れない景色。
人とは不思議な物で、怖いと思っても確認したくなるものだ。
案の定、僕も目を凝らして部屋を見ていた。
その部屋の中には、窓に背を向け看護婦が立っていた。
その看護婦は微動だにせず、ただ部屋の中を見ているようだ。
なんだろう?
今回は怖くなかったからホッとしたのか、睡魔が襲ってきた。
布団に戻って眠り、朝を迎えてから身支度をしナースステーションに向かった。
一応説明しておくと、ナースステーションとは各階にある看護婦さん達が居る場所だ。
お見舞いに行ったりしてる人なら分かると思う。
『ねぇ、昨日看護寮の部屋の電気点いてたけど、何かやってたの?』
僕のその質問にナースステーションに居た看護婦二人が顔を見合わせた。
『やーねぇ、幸樹君。あそこは使われてないから電気なんて点かないわよ。怖い話はやめてよー』
看護婦二人は怖いわと話ながら談笑し始めた。
そうか、そうだよな。
なんで使われてない看護寮の電気が普通に点くなんて思ったのだろう。
今思えば、電気が点いていたのが部屋だけなのもおかしい。
電気が点いてた部屋は3階で1階の入り口は真っ暗だった。
そうなると、あの看護婦は真っ暗な廊下を進み
真っ暗な階段を歩いて3階まで行った事になる。
『おーい、早く朝御飯食べて学校行こう』
ナースステーションの近くにある食堂から中学生の友人に呼ばれ、考えるのを止めて朝御飯を食べたら昨晩の事が
どうでも良くなってしまった。
きっと、なんかしてたのだろう。
そう思いながら、僕はまたいつも通りに戻っていった。
でもね、終わらなかった。
昔の人は凄いよね。
二度あることは三度ある。
まさに、この通りだった。
また数ヶ月後の話になる。
さて、これも入院してないと知らない人が多いかもしれないが
病室のベッドの場所を変える事がある。
まぁ、学校とかで言う席替えみたいな物だ。
窓際の場所から、今度は廊下側の一番端になった。
トイレは近いし、廊下を歩く人などが見れるので好きな場所だ。
ただ、今回は眠れない時に窓の外が見れないのだ。
これは、困った。
窓際のベッドには女の子が寝てるので尚更近寄れない。
やることもなく眠る事も出来ないのでナースステーションに行こうと僕は廊下に出た。
部屋から出て右に行けば、すぐにナースステーションがあるのだが
左から何か気配を感じたので目をやると看護婦が立っていた。
誰だあれは?この階の看護婦にあんな人は居ない。
それに、こんな夜中に違う階の看護婦が他の階に来る事は無いはず。
看護婦は下を向き、黒く長い髪のせいで余計顔が見れない。
この時代には無かったけど、貞子を想像してくれればイメージしやすいと思う。
ソレを見た瞬間から空気が冷たくなったような気がした。
鳥肌が止まらない、冷や汗が出る、怖い。
ヤバいヤバいヤバい、逃げろ逃げろ。
もう、恐怖でおかしくなりそうだった。
幸いにも広い病院なので、廊下の端と端に居る形になっていたからソレとの距離は50メーター以上ある。
ソレの動きを警戒し目を離さないように自分の部屋に入ろうとした時、ソレの肌の色等がハッキリ確認出来た。
硬そうにヒビの入った茶色っぽい肌、汚れて破れているナース服、、、
えっ?
ソレは僕の目の前に居た。
1度も目を離して居ないのに。
そこからの記憶はない。
こんなに長い話に付き合ってもらって本当に申し訳ないのだが、本当に記憶がないのだ。
気付いたら朝だったんだ。
小学生の僕が怖い怖いと思ってたから見た夢だったのかもしれない。
寝る前にベッドのそばに揃えて置いたはずのスリッパが、何故か廊下の方に落ちているのも誰かが蹴っただけかもしれないし。
左右が離れて落ちてて脱いだと言うよりも慌てていて脱げたように見えるのも、きっと気のせい、、、
ここまで読んでくれて、本当にありがとうございます。
実は、病院では他にも霊体験をしているんですが
それは、思い出したり話のネタが詰まった時にでも。
後日談
あの看護寮であった自殺について、教えてもらった事がある。
看護婦と医者が付き合っていたのだが、医者には奥さんが居た。
それを知った看護婦は灯油だかガソリンだかを頭からかぶり
自分に火を着けたらしい。
これが、僕の初めての霊体験。
そして、始まりでもある。
そんな事など忘れていた僕は、また寝れない夜にカーテンを開け
外を眺めていた。
カーテンを開けて夜に外を見る。
この行動が前回の看護寮の夢を思い出させた。
恐る恐る看護寮の方を見ると、屋上では何も燃えていなかった。
だが、看護寮の一室に明かりが点いているのだ。
また、見慣れない景色。
人とは不思議な物で、怖いと思っても確認したくなるものだ。
案の定、僕も目を凝らして部屋を見ていた。
その部屋の中には、窓に背を向け看護婦が立っていた。
その看護婦は微動だにせず、ただ部屋の中を見ているようだ。
なんだろう?
今回は怖くなかったからホッとしたのか、睡魔が襲ってきた。
布団に戻って眠り、朝を迎えてから身支度をしナースステーションに向かった。
一応説明しておくと、ナースステーションとは各階にある看護婦さん達が居る場所だ。
お見舞いに行ったりしてる人なら分かると思う。
『ねぇ、昨日看護寮の部屋の電気点いてたけど、何かやってたの?』
僕のその質問にナースステーションに居た看護婦二人が顔を見合わせた。
『やーねぇ、幸樹君。あそこは使われてないから電気なんて点かないわよ。怖い話はやめてよー』
看護婦二人は怖いわと話ながら談笑し始めた。
そうか、そうだよな。
なんで使われてない看護寮の電気が普通に点くなんて思ったのだろう。
今思えば、電気が点いていたのが部屋だけなのもおかしい。
電気が点いてた部屋は3階で1階の入り口は真っ暗だった。
そうなると、あの看護婦は真っ暗な廊下を進み
真っ暗な階段を歩いて3階まで行った事になる。
『おーい、早く朝御飯食べて学校行こう』
ナースステーションの近くにある食堂から中学生の友人に呼ばれ、考えるのを止めて朝御飯を食べたら昨晩の事が
どうでも良くなってしまった。
きっと、なんかしてたのだろう。
そう思いながら、僕はまたいつも通りに戻っていった。
でもね、終わらなかった。
昔の人は凄いよね。
二度あることは三度ある。
まさに、この通りだった。
また数ヶ月後の話になる。
さて、これも入院してないと知らない人が多いかもしれないが
病室のベッドの場所を変える事がある。
まぁ、学校とかで言う席替えみたいな物だ。
窓際の場所から、今度は廊下側の一番端になった。
トイレは近いし、廊下を歩く人などが見れるので好きな場所だ。
ただ、今回は眠れない時に窓の外が見れないのだ。
これは、困った。
窓際のベッドには女の子が寝てるので尚更近寄れない。
やることもなく眠る事も出来ないのでナースステーションに行こうと僕は廊下に出た。
部屋から出て右に行けば、すぐにナースステーションがあるのだが
左から何か気配を感じたので目をやると看護婦が立っていた。
誰だあれは?この階の看護婦にあんな人は居ない。
それに、こんな夜中に違う階の看護婦が他の階に来る事は無いはず。
看護婦は下を向き、黒く長い髪のせいで余計顔が見れない。
この時代には無かったけど、貞子を想像してくれればイメージしやすいと思う。
ソレを見た瞬間から空気が冷たくなったような気がした。
鳥肌が止まらない、冷や汗が出る、怖い。
ヤバいヤバいヤバい、逃げろ逃げろ。
もう、恐怖でおかしくなりそうだった。
幸いにも広い病院なので、廊下の端と端に居る形になっていたからソレとの距離は50メーター以上ある。
ソレの動きを警戒し目を離さないように自分の部屋に入ろうとした時、ソレの肌の色等がハッキリ確認出来た。
硬そうにヒビの入った茶色っぽい肌、汚れて破れているナース服、、、
えっ?
ソレは僕の目の前に居た。
1度も目を離して居ないのに。
そこからの記憶はない。
こんなに長い話に付き合ってもらって本当に申し訳ないのだが、本当に記憶がないのだ。
気付いたら朝だったんだ。
小学生の僕が怖い怖いと思ってたから見た夢だったのかもしれない。
寝る前にベッドのそばに揃えて置いたはずのスリッパが、何故か廊下の方に落ちているのも誰かが蹴っただけかもしれないし。
左右が離れて落ちてて脱いだと言うよりも慌てていて脱げたように見えるのも、きっと気のせい、、、
ここまで読んでくれて、本当にありがとうございます。
実は、病院では他にも霊体験をしているんですが
それは、思い出したり話のネタが詰まった時にでも。
後日談
あの看護寮であった自殺について、教えてもらった事がある。
看護婦と医者が付き合っていたのだが、医者には奥さんが居た。
それを知った看護婦は灯油だかガソリンだかを頭からかぶり
自分に火を着けたらしい。
これが、僕の初めての霊体験。
そして、始まりでもある。
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