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13. マール王立学園
しおりを挟む「トト! 今日も腕相撲やるの!」
今日も朝から、サクラ姫が俺の部屋に乗り込んできた。
因みに、俺の部屋はサクラ姫の隣の部屋だったりする。
まだ、呪いが解けてないサクラ姫の事が、心配で心配でしょうがない王様が、俺の部屋をサクラ姫の隣の部屋にしてしまったのだ。
王様は、サクラ姫の部屋と俺の部屋の壁をぶち抜いて、繋げてもいいぞ。とか言ってたが、丁重に断った。
だって、そんな事したら既成事実になって、本当にサクラ姫と結婚させられてしまいそうだし。
因みに俺の部屋は、サクラ姫の部屋と同じサイズ。20畳ぐらいあって、真ん中に天蓋付きの巨大なベッドが置いてある。本当に、どこぞの王様の部屋かよ?っていった感じ。
まあ、本物のお姫様の部屋と同じ造りの部屋なので、ほぼ王様の部屋といっても良い感じ。
本当に、つい最近まで住んでたカスタネット準男爵家の俺の部屋が、あばら家に思える錯覚に陥りそうである。
それなりに、ちゃんとした部屋だったのにね……
「ねーねー! 今日も自由市場に行くんだよね?」
どうやら、サクラ姫は、庶民に化けて俺と一緒に商売する事に、ハマってしまったようだ。
それより、もしかしたら、仕事終わりの串肉が美味しかっただけかもしれないけど。
本来、王族は、その辺に売ってる屋台の串肉なんか絶対に食べれないのだけど、俺と一緒に居る時だけはOKなんだとか。
完全に、俺の『握手』スキルの派生スキルである『癒し手』の力を当てにしてるよね。
俺は、サクラ姫の騎士になるに当たって、現在持ってる『握手』スキルの派生スキルを、全て王様に書類として提出させられた。
まあ、王様としても、大切なサクラ姫の側に俺を置くのなら、俺のスキルを把握しときたいもんね。
俺も、拒否したかったんだけど、王様の圧が強過ぎて思わずゲロってしまった。
本当に、子を思う親の気持ちは偉大である。
俺の両親にも、王様の爪の垢でも煎じて飲んで欲しいよね。
てな訳で、今日もサクラ姫と伴って自由市場に、ゴー!
今日は、クレア姫は付いてこないらしい。
まあ、クレア姫も年頃の女の子だし、勉学やら花嫁修業があるのかもしれない。
話によると、学校を休学して、サクラ姫の病気を治す為に奮闘してたとか。本当に、妹思いの良いお姉さんである。
ん?クレア姫と同じ13歳なのに、学校に行かないのかって?バッキャロー!田舎の貧乏貴族の三男なんて、学校なんかに行く訳ないでしょ?親にも、学校行くか?なんて聞かれた事ないし。そんなの、家督を継ぐ長男だけ通っとけばいいんだよ!
因みに、勉強嫌いなカスタネット準男爵家の長男カークは、たった半年で学生寮から逃げ出し、そのまま辞めちゃったけど。
本当に、この国の長男至上主義はどうかしてる。
次男のニコルなんて学校行きたかったのに、金が無いとかなんとか言われて、行けなかったんだぜ。長男のカークより、ヤル気も才能もあるのに。
本当に、ニコル兄可哀想だよな……
俺が親だったら、絶対に、カークなんかよりニコル兄を学校に入れてやるのに……
それもこれも、カスタネット準男爵家が貧乏貴族なのがいけないのだ。
ていうか、俺、結構、金持ってたぜ!
手相占いでも、結構、稼いでたし、俺って子爵様になったんだよね。
しかも、領地を持たない法衣貴族って奴。領地を持たない代わりに、王国がお金をくれるのだ。しかも、結構な額を。
その金で、ニコルを学校に行かせてやればいいじゃん!
そうと決まれば、自由市場になんて行ってらんない。
俺は、ニコル兄の為なら、金など惜しくないのだ。
「サクラ! 今からマール王立学園に行くぞ!」
俺は、俺の傍で、いつ出かけるのかと、ソワソワしてたサクラ姫に話し掛ける。
「エッ!ついに、呼び捨て!?なんか、彼氏、彼女みたいで、ちょっと興奮しちゃうよ……」
なんかモジモジしながら言ってるが、俺はサクラ姫を捕まえて、そのままマール王立学園に向かう。
俺は、行動する時、いつもサクラ姫と一緒に居る事を義務付けられてるのだ。
10メートル以上離れると、王様からキツいお仕置があるらしい。
どんなお仕置か、少しだけ興味があるが、今はそんな事より、ニコル兄をマール王立学園に入学させる方が先決。
俺って、結構、ニコル兄に助けられてるんだよね。継母やカール兄に嫌がらせされてる時も、それとなく間に入って取り持ってくれるし。たまに、井戸掘りも手伝ってくれたりしてたから。
ニコル兄は、カスタネット準男爵家の良心。
しかも優秀で、人柄も良く、領民にも人気がある。そして、一番重要な事。学校で学びたい気持ちもあるのだ。
俺は、ニコル兄が泣きながら、学校に行かせて欲しいと必死に両親に直談判してるの見てたし。
だけど、その当時、カールが学校辞めたばかりで、入学金を丸々無駄にしてたんだよね……
そんな理由もあり、両親としては、また、無駄金を払う羽目になるかもと思ったのか、ニコル兄が学校に行くのを認めなかったのだ。
結局は、全部、アホ過ぎるカーク兄が原因なのだけど。
そんな事もあり、俺は世話になったニコル兄に、是非、マール王立学園に入学して欲しいのだ。
俺は、時間も惜しいので、サクラ姫を脇に抱え、そのまま王都内にあるマール王立学園に向かう。
「そんな……彼氏、彼女になったばかりなのに、お姫様抱っこなんて……」
俺は、ただ、サクラ姫を脇に抱えてるだけなのだが、どうしてお姫様抱っこになるのだ?
まあ、サクラ姫自体が、お姫様なので、お姫様抱っこでも正しいのか?
取り敢えず、顔を真っ赤にさせてるサクラ姫を、お姫様抱っこ?して、俺はマール王立学園に、急いで向かった。
ーーー
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