【R18】童貞のまま転生し悪魔になったけど、エロ女騎士を救ったら筆下ろしを手伝ってくれる契約をしてくれた。

飼猫タマ

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71. お見積もり

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「早く、世界樹に、向かいましょう!
 世界樹の枝って少しくらい切っても良いんですかね?」

 どうやら、ヨネンさんは素材としての世界樹にも興味がありそうだ。

「ヨネンさん、その発言は森の民である私の前で言うのは、禁句ですよ!
 例え、ヨネンさんと言えども、ブッ殺しますからね!」

 センコーさんが、殺気を漲らせ、ヨネンさんを威嚇する。
 俺は、あまりの殺気に、おしっこを少し漏らしてしまった。

 流石は、最強の一角『漆黒の森』の女王ガブリエル·ツゥペシュの親戚筋である。

「じょ……冗談ですよ! やだなぁ!
 『世界樹で家具なんか作ったら、最高な物ができるんじゃないかな?』とか、思っただけですよぉ!」

 ヨネンさんは、必死に否定するが、本当は世界樹で家具を作ってみたいのだろう。

 多分、センコーさんがここに居なければ、ヨネンさんは勝手に世界樹の枝を切っていたに違いない。

「本当かねぇ」

 センコーさんは、未だにヨネンさんを睨み付けている。

 それにしても、センコーさんの凄まじい圧を直接受けているのに、飄々と受け流すとは……
 ヨネンさんも、恐るべき実力である。

 まあ、センコーさんもヨネンさんも最強の一角のDNAを受け継いでいるので、俺達とはモノが違うのであろう。

「主様! お帰りなさいませ!」

 城に向かって移動していると、アドがお迎えに現れた。

「これは世界樹の妖精様! お初にお目にかかります!」

 センコーさんが立ちどまって、片膝をつき、アドに頭を下げる。
 センコーさんの態度が、アドに対して恭しい。

「センコーさん……どうしたんですか?」

「馬鹿者! 森の民にとって、世界樹は信仰の対象なのじゃ!」

 俺の問い掛けに、センコーさんが答える。

「世界樹の精霊って……アドは魔物であるドライアドですよ?」

「確かに、ドライアドは魔物に分類されてはいるが、世界樹のドライアドとなると、最早、神に近い精霊と言っても過言ではないのじゃ!」

「神に近い、精霊って……
 アドは俺の配下ですよ?」

「クッ! 罰当たりな……」

 センコーさんは、俺まで睨みつけた。

「私は主様の配下で満足していますので、主様を虐めないで下さいませ!」

「精霊様がそう仰るなら、仰せのままに」

 センコーさんは、深々とアドに頭を下げる。
 アドの命令には、絶対のようだ。

 俺達は暫く歩いて、建築中の城に到着した。

「これは凄いですね!
 ダンジョンフロアーを合体させて、城を形成してるのですか!
 こんな事ができるのですね!」

 ヨネンさんが、俺達の城を見て感心している。

「多分、世界樹のドライアドのアドだからできる事みたいです」

「やはり、世界樹の精霊様となると凄いですね!
 世界樹の枝で、杖なんか作ったらトンデモナイ杖が作れそうです!」

「アンタ! まだ言ってるのかい!
 私の目の黒いうちは、世界樹様には指一本も触れさせないからね!」

 センコーさんは語義を強めて、もう一度ヨネンさんに釘を刺す。

「分かってますって!」

 これは、全然分かっていない言い方だ。
 俺も、これからヨネンさんの動向に気をつけなければ。
 目を離した隙に、世界樹の枝が盗まれる可能性が大である。

 俺は、ヨネンさんを警戒しながら、引き続き建築中の城を案内する。

「中々、良い間取りですね!
 ん? この床はセラミックスタイルですか?
 こんな真っ白で綺麗なセラミックスタイルをどこで仕入れたのですか?」

 ヨネンさんは、クモ達に張らせた床のセラミックタイルに興味を持ったようだ。

「これは、僕が『錬金』で、製作した物です!」

「エッ! エーサクさんは錬金術師だったのですか?
 今時珍しいですね!
 というか、このセラミックスタイルは中々の物ですよ!
 白さといい質といい、こんなに素晴らしいセラミックスタイルは見た事がありません!
 宜しかったら、材料を教えてくれますか?」

 ヨネンさんは、相当俺の製作したセラミックスタイルが気になるようだ。

「普通に、土ゴーレムの土と魔物の骨、それから水を混ぜて『錬金』したものを、セラミックスタイルに『錬金』しただけですよ」

「う……ん……普通ですね……
 もしかしたら、材料が特殊なのかもしれませんね……
 材料って見せてもらう事はできませんか?」

 ヨネンさんは、世界一の芸術家で建築家であるだけあって、素材にも興味があるようだ。

 俺は冒険者バックから、土ゴーレムの土と魔物の骨を取り出す。

「成程、このゴーレムの土は他のダンジョンの土と少し違いますね。
 やはり、世界樹のダンジョンが関係しているんでしょうか……
 それと、魔物の骨も何だか普通より白い気がしますし。
 ウーン……このダンジョンの魔物は、世界樹の影響を受けて少し特殊な進化をみせているのかもしれませんね」

 ヨネンさんは、頭を捻って考えている。

「確かに、このダンジョンは世界樹の精霊様の影響を過分に受けてるように見受けられるねえ。
 エーサク君やビー子ちゃんやクモちゃんなんか見てたら、どう考えても普通じゃないからねえ」

 センコーさんも持論を展開する。

「それしか考えられませんね!」

 センコーさんの意見に、ヨネンさんも同意する。

「エー君とビーちゃんとクモちゃんとアドちゃんは、私の大事な仲間だから当然よ!」

 アナ先生が鼻高々に、たわわな胸を張る。


 そんなこんなで、滞りなくヨネンさんに建設中の城をチェックしてもらい、見積もり金額を出してもらう事になった。

「材料は先程の打ち合わせ通り、全て『鉄血の乙女』様持ちで、城の外装、それから1階2階の内装、城の周りの城壁と庭のガーデニング全て併せて、1兆3000万マーブルになります!」

 ヨネンさんは、ニコニコ笑いながら見積もり金額を提示する。

「い……1兆3000万マーブル!」

 あまりの金額に、アナ先生はビックリして驚愕している。

「ヨネンさん! 正門と王の間の扉と、渡り廊下の装飾だけの見積もりですよ!」

 俺はヨネンさんに抗議する。

「そうでしたっけ? 1兆3000万マーブルぐらい、何とかなりますよ!」

「「「なるか!」」」

 俺とアナ先生の声が重なったのは、偶然では無かった。
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