職種がら目立つの自重してた幕末の人斬りが、異世界行ったらとんでもない事となりました

123. メリルちゃん

　
　結局、ベルゼブブ攻略レイドの決議は、『犬の肉球』と、Gデーモンのメリルが、聖剣エクスカリバーを、アマイモンが運営するダンジョンで手に入れてから行われるという事で、第1回目の冒険者ギルド会議は、終了したのだった。

　でもって、現在、塩太郎達『犬の肉球』は、Gデーモンのメリルと行動を共にしている。

　話によると、メリルは、大魔王ゴトウ・サイト専属メイドとして作られたGデーモンらしい。
　完全に見た目は、ゴトウ・サイトの趣味によって作られており、ガブリエルをお子様にしたような感じである。

　シャンティーによると、ガブリエルの子供の頃の容姿と瓜二つで、昔は、ガブリエルと双子の姉妹にしか見えなかったとか。

　簡単に言うと、ガブリエルの劣化版。しかし、強さは、ブリトニーと同等ぐらいという規格外のGデーモンであるらしい。

　元々は、モフウフ王宮に仕えるGデーモン筆頭メイド長だったが、ゴトウ・サイトが、異界の悪魔ベルゼブブに殺された後、ガブリエルの元を離れて、今迄1人きりで行動してたとの事。

　ガブリエルも本来なら、そんな事、絶対に許さないのだが、Gデーモンの中でもメリル位置付けは特別。
　何故なら彼女は、大魔王ゴトウ・サイト専属メイドでもあるのだ。
　例え、『漆黒の森』の女王のガブリエル・ゴトウ・ツゥペシュでも、ゴトウ・サイト専属メイドのメリルには、決して命令出来ない。

　唯一、メリルな命令出来る者がいるとしたら、それは、メリルの主人であるゴトウ・サイトだけ。
　それだけでも、ゴトウ族の中で、メリルは異質な存在なのである。

「ここからは、飛んで行きます」

　南の大陸、南東の最果てにあるという、アマイモンのダンジョンに一番近い城塞都市にある『ミノ一番』の移転装置から出ると、メリルが指示を出す。

「飛ぶって言っても、ワッシーもワシ子も連れて来てねーから、俺、飛ぶ事出来ないんだけど……」

　塩太郎は困惑しながら、メリルに話す。

「そしたら、私が塩太郎さんをおんぶしていきます」

「イヤイヤ、子供のお前じゃ無理だろ？
　ムネオさんも、空飛べねーし！」

「それじゃあ、ムネオさんも私が運びます。
　エリスさんとシャンティーさんは、ペガサスを召喚して、私に着いてきて下さい。
　ペガサスくらいじゃないと、私のスピードについてこれませんので」

　メリルは、淡々とシャンティーに指示を出す。

「分かったわ」

　なんか一言、嫌味の1つでも言うかと思ったけど、シャンティーは、メリルの指示に従うようだ。

　それにしても、シャンティーと、エリスの様子が少しおかしい。
　エリスとか、いつもムネオの後ろに隠れて、塩太郎の事を顔を真っ赤にして見てるだけなのに、今は、メリルから隠れている。

　まあ、メリルがそれ程の大物で、シャンティーとエリスがビビってるだけかもしれないけど、しかしながら、メリルより格上のガブリエルに、億さず喧嘩売るシャンティーまで大人しくしてるのは、やはりおかしい。

「シャンティーさん。昔みたいに接して下さると有り難いです。
　そんなに身構えられたら、私も喋りにくいです」

　メリルが、どう考えてもおかしいシャンティーに話し掛ける。

「だけれどもアンタは、私とエリスの命の恩人で、私とエリスが異界の悪魔に捕まえられなければ、ゴトウ・サイトも異界の悪魔ベルゼブブに殺されなかった訳だから……」

　どうやら、メリルとエリスとシャンティーの関係は訳ありだったようだ。

「エリスさんと、シャンティーさんは何も悪く有りません。
　私は、サイト様の指示に従っただけですから。サイト様の指示に間違いなどないのです。
　ただ、あの時、一番の問題だったのは、私がサイト様を救うだけの力が無かったのが、一番の問題だったのです。
　なので、その力を手に入れる為に、私は異界の悪魔ベルゼブブを倒す事が出来る聖剣エクスカリバーが必要なのです。
　その為に今まで、聖剣エクスカリバーを探し出す為に、世界中を旅して来たのです。
　悪いですけど、聖剣エクスカリバーが見つかったら、私が使わせてもらいますので、悪しからず」

　メリルは、ピシャリと、聖剣エクスカリバーの所有権を主張する。

「そ……それは、仕方が無いわね……」

　シャンティーは、メリルの言葉を簡単に受け入れる。

「オイ！ 嘘だろ！ お前が、人に高価な物を譲るって、気でもふれたかのか！？」

　塩太郎は、滅茶苦茶ビックリする。だって、シャンティーは、三度の飯より金が好きでガメツイ女なのだ。
　そんなガメツイシャンティーが、人に、どう考えても高価な聖剣エクスカリバーを譲る？
　これは、塩太郎にとって、天変地異が起こるほどの衝撃だった。

「いいのよ。メリルには、命を救って貰ったという恩があるの。
　あの時、私とエリスを救わなかったら、メリルはゴトウ・サイトを救う事が出来たのよ……。
　それなのに、メリルは、ゴトウ・サイトの指示を守り、私達を救ったの……」

「だからって……」

　だとしても、塩太郎は信じられない。
　だって、あのシャンティーなのだ。
　人の弱みや傷口を見つけては、平気に塩を塗りたくり、ケツの毛まで毟り取るのが、シャンティーという腹黒妖精なのである。

「それに、ウチには村正が有るから問題ないでしょ！
　聖剣エクスカリバーを手に入れても、どうせ、売り飛ばすだけだったしね！」

「お前、聖剣エクスカリバーを売り飛ばすつもりだったのかよ！」

　シャンティーの言葉に、塩太郎は、やはりというか驚愕する。

「当たり前でしょ！ 聖剣エクスカリバーがどんだけ高価な剣か分かってんの！
　しかも、ガブリエルは、異界の悪魔を殺す事ができる聖剣を、喉から手が出るほど欲しがっているのよ！
　私の言い値で、幾らでも買い取ってくれるに違いなかったのよ！」

　腹黒妖精、ここに極めたり。

「シャンティーは、やっぱりシャンティーだったわ……。それなら、メリルさんに渡す方が正解だよな。
　結局、ガブリエルに売り払ったとしても、メリルさんの元に聖剣エクスカリバーは、行く流れだったのだろ？」

「そうですね。もし、シャンティーさんが、聖剣エクスカリバーの所有権を主張しても、姫様が買い取って、私が使う事は決まってました。
　しかしながら、一応、言っておきますけど、聖剣エクスカリバーの持ち主は、他に居ます。私達は、聖剣エクスカリバーを借りるという立場を忘れないで下さいね！」

　シャンティーは、見た目幼女だけど見た目以上にしっかりしてるメリルに、強めに釘を刺された。

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　エリスとシャンティーとメリルの関係性を知りたい人だけ、R18『必ずイカせる！異世界性活』を見てね！まあ、最終話までしっかり読まないと分かんないんだけど。