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126. まさかの『鷹の爪』
しおりを挟む「アマイモン様。そろそろ本題に入られては?私は、約束通り、『犬の肉球』の皆さんを連れてきましたので」
シャンティーとアマイモンのやり取りに、痺れを切らしていたメリルが、話に割って入る。
「そうでしたね!早速、本題に入りましょう!
塩太郎君。ハッキリ言うと、貴方はとても弱い!
そんなに弱っちかったら、絶対に、僕の地球での同僚であったベルゼブブさんには、絶対に勝てません!」
アマイモンは、塩太郎にドーン!!と指を差し、笑うせーるすまんの喪黒福造のように言い放った。
「なんだと! 剣聖である俺が弱い筈ないだろうが!」
「それはどうでしょう?」
アマイモンの言葉と同時に、塩太郎は突然、地べたに這いつくばる。
「塩太郎君、どうですか?貴方は、立ち上がれますか?
これくらいの重力魔法に耐えられなければ、とてもじゃありませんが、ベルゼブブさんと戦えませんよ!
なんせ、ベルゼブブさんは、僕より少しだけ強いですからね!」
「クソ……」
塩太郎は、立ち上がろうと必死に悶えるが、今の塩太郎の力ではどうする事もできない。
「という訳で、塩太郎君。貴方には僕のダンジョンで鍛えてもらいます。
僕も、ガブリエル姫様に、貴方を紹介した手前、活躍してもらわないと面目つかないですからね!
そして、そのついでに、このダンジョンの最下層の岩に刺してある聖剣エクスカリバーを、メリルさんと一緒に抜いてきて下さい。
聖剣エクスカリバーを、メリルさんに貸すお約束をしてしまいましたので、お願いしますね!」
「グッ……」
「ちょっと待って! 聖剣エクスカリバーって、アマイモン、アンタの所有物な訳?」
シャンティーが、凄く気になったのかアマイモンに質問する。
「いえ、違いますよ。聖剣エクスカリバーは、ある人物から預かってるだけです。
まあ、僕のダンジョンで生まれて育った者の中で、聖剣エクスカリバーを使いこなせる者がでたら、自由に使ってもいいという契約をしてるんですよ。
まあ、その対価として、聖剣エクスカリバーの本物の所有者が窮地に陥った時に、必ず助けないといけないという契約もありますけどね!」
「アンタの所有物じゃない訳ね……」
なんか知らないが、シャンティーがとてもがっかりしている。もし、アマイモンが、聖剣エクスカリバーの所有者だったら、どうするつもりだったのだろう……。
「因みに、僕の約束を何でも1つだけ聞くという約束で、聖剣エクスカリバーを貸し出していた『犬の肉球』の勇者さんには、丁度、赤龍アリエッタさんとこのダンジョンに遊びに来てた時に、本物の所有者が窮地に陥っていたので、僕の代わりに本物の所有者を助ける事で、約束を履行してもらいましたけど」
「エッ! やっぱり、勇者とアリエッタは、このダンジョンに駆け落ちしてたの!」
シャンティーが、アマイモンの言葉に反応して、アマイモンのすぐ近くまで詰め寄る。
「ええ。駆け落ちしましたよ。 ですが勇者さんは寿命で、とっくに死んでますけど……その後、100年後ぐらいに、赤龍アリエッタさんは世話になったと、僕のダンジョンを出ていってしまいましたけど!」
「グッ……アリエッタの奴、何百年も、何処に消えてたか、絶対にゲロ吐かなかったのに、アマイモンのダンジョンに居たなんて!」
シャンティーは、苦虫を噛み潰したような顔をして、空中で地団駄を踏む。
「それは、僕がアリエッタさんに口止めしてましたから、アリエッタさんが僕のダンジョンから出ていった時期は、モフウフ地下王宮の1階カジノの便所掃除置き場をダンジョンの入口にしてましたから、勝手に部外者を、トイレ掃除置き場の中になんか入れませんからね!」
「そんな理由?」
「そんな理由って、当たり前じゃないですか!誰が大事な仕事道具を保管してる場所に、部外者入れるんですか!」
アマイモンは、テンション高めに真顔で答える。
「あの……盛り上がってる所、悪いんですが、そろそろ聖剣エクスカリバー取りに行きたいんですが……」
早く、聖剣エクスカリバーを手に入れたいメリルが、シャンティーとアマイモンの話に、再び割って入る。
「そうでしたね。それでは、いつでも挑戦しても良いですよ!
それから、何か困った事があったら、ムネオさんが元『鷹の爪』だと言えばなんとかなるでしょう。
私のダンジョンにも、『鷹の爪』で、唯一、ハラダ家、ハラ家の者以外で団長を務めた事がある者が、『鷹の爪』のアマイモンダンジョン支部の団長をしてますので、多分、力になってくれるでしょう!」
アマイモンの口から、突然、南の大陸の有力冒険者パーティー『鷹の爪』の名が飛び出でる。
「その人物の事は、聞いた事ありますな。250年ぐらい前に、一時期ハラダ家、ハラ家以外の者が、団長をしてた事があると。
そして、その人物が、ベルゼブブ討伐レイドで、唯一、聖剣を持つ者以外で、異界の悪魔の中の下っ端を倒したと」
ずっと黙ってたムネオが、『鷹の爪』の話題に入ってくる。
「異界の悪魔を倒したって、それ、絶対に、聖剣エクスカリバー使ってるでしょ!」
シャンティーが、前のめりに指摘する。
「ですね。その人物は、ベルゼブブ討伐レイドが終わった後、忽然と姿を消したと言われています。
ガブリエル殿とかも、その人物が持ってた剣が、実は、聖剣エクスカリバーじゃなかったのかと随分探していたようですし……。
まあ、当時は、聖剣エクスカリバーの実物を見た事ある人物が、1人もベルゼブブ討伐レイドに参加してなかったので、真偽は分からなかっのですけどね」
「だから、私達『犬の肉球』を、ベルゼブブ討伐レイドに参加させろと、言ってたのよ!
『犬の肉球』なら、私もエリスも、一目見れば聖剣エクスカリバーかどうか分かったんだから!」
なんかよく分からんが、シャンティーがプンプン怒っている。
「その人物は、『鷹の爪』アマイモンダンジョン支部の団長さんで間違いないですね!
その人物は、昔、僕のダンジョンから聖剣エクスカリバーを持ち出し、南の大陸に武者修行に行ってた時期があって、『鷹の爪』に所属してたと言ってましたから。
まあ、その勢いで、アマイモンダンジョンに帰ってきた後に、『鷹の爪』アマイモンダンジョン支部を作ってしまったんですけどね!」
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