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声の支配_1
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火曜日の朝、目覚めた時から何かがおかしかった。
枕元のイヤホンから、高瀬教授の声が流れ続けている。昨夜セットしたタイマーは作動せず、音声がリピート再生されていた。
『鈴さん、おはようございます。今日も一日、私の声を心に留めて過ごしてください』
寝起きでぼんやりした頭に、教授の声がするりと入り込んでくる。体が自然に反応し、下腹部にじんわりとした熱を感じた。
(あれ……?また濡れてる……)
慌ててイヤホンを外そうとするが、なぜか手が止まってしまう。教授の声をもっと聞いていたい、そんな欲求が湧き上がってくる。
『あなたは私の声なしには、一日を始めることができません』
その言葉が心の奥深くに響いた。
(ま、別にBGMみたいなものか)
朝食の時にも音楽を流してるし、いちいち気にする必要はない。
朝食を摂りながらも、頭の中では教授の声がリフレインしている。コーヒーを飲む音、スプーンが皿に当たる音、すべてが教授の声のリズムと重なって聞こえてくる。
『あなたは今日も、私のことを考えて過ごします』
そこで音声は止まった。
(こんな音声……いつの間にとったんだっけ?)
イヤホンを外し、音楽データを確認する。
(あ、そっか。昨日実験についてもっといろいろデータが欲しいからって言って……)
プレイリスト名を見て思い出した。教授から音声データを受け取っていたんだった。
(まぁ朝声を聴くくらいならいっか……)
大学へ向かう電車の中でも、教授の声が頭から離れない。車輪の音、アナウンスの声、すべてが教授の声のトーンと混ざり合って、不思議な音楽のように響いてくる。
そしてそのたびに股間の奥の方がじんわりと熱を持つのを感じた。
(これ……実験の……。ちょっと……変……なのかな?)
変なことがあったら言ってください、教授はそうも言っていた。
理性の片隅でそう思いながらも、この感覚を手放したくないという気持ちの方が強かった。
それから毎朝教授の声を聴きながら食事をとるのが日課になった。
午前中の講義は、偶然にも高瀬教授の社会心理学だった。教室に足を踏み入れた瞬間、空気が変わったような気がした。
「おはようございます、佐倉さん」
「ひっ……!」
教授が私を見つけて声をかけてくれた。その生の声を聞いた瞬間、全身に電流が走った。
「お、おはようございます……」
答える声が震えてしまう。教授の声の威力は、録音された音声の比ではなかった。
講義が始まると、私は必死にノートを取ろうとした。しかし、教授の声を聞いているうちに、意識がどんどん朦朧としてくる。
「……今日は、条件付けについて学習しましょう。特定の刺激に対して、予期せぬ反応が生じる現象です……」
(集中しなきゃ……)
そう思うのに、体の奥がきゅうきゅうと疼いてくる。太ももを擦り合わせて、なんとか感覚を紛らわせようとするが、逆効果だった。
「条件付けされた反応は、刺激が与えられるたびに強化されます。そして、いずれは刺激を予期するだけで反応が起こるようになります」
教授の声を聞くたびに、私の体は無意識に反応してしまっていた。
「刺激と反応の関係が確立されると、被験者は自分の意思とは関係なく反応するようになります」
下をうつむきながら浅い呼吸を繰り返す。少しでも気を抜けば手が股間に伸びてしまいそうだった。
講義が終わるまでの時間が、永遠のように感じられた。教授の声一つ一つが、私の敏感な場所を直接刺激しているかのようだった。
ようやく講義が終わると、私は逃げるようにトイレに駆け込んだ。個室で確認すると、下着はぐっしょりと濡れていた。
(こんなの……講義中に……)
でも、恥ずかしさよりも満足感の方が大きかった。教授の声を聞いて、こんなにも反応できる自分に、なぜか誇らしさすら感じてしまう。
鏡を見ると、先日の手鏡で見た時のような、潤んだ表情を浮かべていた。
(私は……琴音なの?それとも鈴……?)
境界線がどんどん曖昧になっていく。でも、今はそんなことより、顔を洗って火照りを抑える方が先決だった。午後には実験のセッションが待っているのだから。
枕元のイヤホンから、高瀬教授の声が流れ続けている。昨夜セットしたタイマーは作動せず、音声がリピート再生されていた。
『鈴さん、おはようございます。今日も一日、私の声を心に留めて過ごしてください』
寝起きでぼんやりした頭に、教授の声がするりと入り込んでくる。体が自然に反応し、下腹部にじんわりとした熱を感じた。
(あれ……?また濡れてる……)
慌ててイヤホンを外そうとするが、なぜか手が止まってしまう。教授の声をもっと聞いていたい、そんな欲求が湧き上がってくる。
『あなたは私の声なしには、一日を始めることができません』
その言葉が心の奥深くに響いた。
(ま、別にBGMみたいなものか)
朝食の時にも音楽を流してるし、いちいち気にする必要はない。
朝食を摂りながらも、頭の中では教授の声がリフレインしている。コーヒーを飲む音、スプーンが皿に当たる音、すべてが教授の声のリズムと重なって聞こえてくる。
『あなたは今日も、私のことを考えて過ごします』
そこで音声は止まった。
(こんな音声……いつの間にとったんだっけ?)
イヤホンを外し、音楽データを確認する。
(あ、そっか。昨日実験についてもっといろいろデータが欲しいからって言って……)
プレイリスト名を見て思い出した。教授から音声データを受け取っていたんだった。
(まぁ朝声を聴くくらいならいっか……)
大学へ向かう電車の中でも、教授の声が頭から離れない。車輪の音、アナウンスの声、すべてが教授の声のトーンと混ざり合って、不思議な音楽のように響いてくる。
そしてそのたびに股間の奥の方がじんわりと熱を持つのを感じた。
(これ……実験の……。ちょっと……変……なのかな?)
変なことがあったら言ってください、教授はそうも言っていた。
理性の片隅でそう思いながらも、この感覚を手放したくないという気持ちの方が強かった。
それから毎朝教授の声を聴きながら食事をとるのが日課になった。
午前中の講義は、偶然にも高瀬教授の社会心理学だった。教室に足を踏み入れた瞬間、空気が変わったような気がした。
「おはようございます、佐倉さん」
「ひっ……!」
教授が私を見つけて声をかけてくれた。その生の声を聞いた瞬間、全身に電流が走った。
「お、おはようございます……」
答える声が震えてしまう。教授の声の威力は、録音された音声の比ではなかった。
講義が始まると、私は必死にノートを取ろうとした。しかし、教授の声を聞いているうちに、意識がどんどん朦朧としてくる。
「……今日は、条件付けについて学習しましょう。特定の刺激に対して、予期せぬ反応が生じる現象です……」
(集中しなきゃ……)
そう思うのに、体の奥がきゅうきゅうと疼いてくる。太ももを擦り合わせて、なんとか感覚を紛らわせようとするが、逆効果だった。
「条件付けされた反応は、刺激が与えられるたびに強化されます。そして、いずれは刺激を予期するだけで反応が起こるようになります」
教授の声を聞くたびに、私の体は無意識に反応してしまっていた。
「刺激と反応の関係が確立されると、被験者は自分の意思とは関係なく反応するようになります」
下をうつむきながら浅い呼吸を繰り返す。少しでも気を抜けば手が股間に伸びてしまいそうだった。
講義が終わるまでの時間が、永遠のように感じられた。教授の声一つ一つが、私の敏感な場所を直接刺激しているかのようだった。
ようやく講義が終わると、私は逃げるようにトイレに駆け込んだ。個室で確認すると、下着はぐっしょりと濡れていた。
(こんなの……講義中に……)
でも、恥ずかしさよりも満足感の方が大きかった。教授の声を聞いて、こんなにも反応できる自分に、なぜか誇らしさすら感じてしまう。
鏡を見ると、先日の手鏡で見た時のような、潤んだ表情を浮かべていた。
(私は……琴音なの?それとも鈴……?)
境界線がどんどん曖昧になっていく。でも、今はそんなことより、顔を洗って火照りを抑える方が先決だった。午後には実験のセッションが待っているのだから。
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